剣技・魔法大会(1)
『………、わた、し、あ、……………てる、ありが、とう。…………』
「……さま、お嬢様、お嬢様、……」
「……ぅん、アル、マ、……」
「お嬢様、お目覚めになりましたか??」
目を覚ますと、アルマが私をひどく心配そうに覗き込んでいた。
「あ、れ??わた、し、……」
泣いてた、のか。
「少々お待ちくださいね。タオルを持ってきますから、すぐに冷やしましょう。」
そう言って、アルマはタオルを取りに行ってくれた。
あぁ、アルマを心配させちゃったな。
「ありがとう、アルマ。」
「お嬢様……」
「大丈夫よ。何か、懐かしいものを見た気がするのだけれど、何も覚えてないの。ふふ、夢って、おかしなものよねぇ。」
何か、胸がぎゅっと苦しくなるような、切なくなるような、そんな気持ちだった様な気がするのだけれど……
「……お嬢様、今日はお嬢様も楽しみにしていた剣技・魔法大会の日です。楽しむためにも、きっちり準備いたしましょう!!」
そう言ったアルマにされるがまま、普段より入念に準備され、学園へ向かった。
朝、学園へ入ると、どこもかしこもいつもより賑やかだった。そして、いつもより視線が和らいでいる!!
なぜなら、今日は剣技・魔法大会の日だから!!
そう、今日は大会の日なのである!!何も思い出せない夢を見たし、私は出ないけどね!!
この大会は、剣技オンリーの対戦、魔法オンリーの対戦、剣技・魔法、両方OKの対戦の3タイプに分けられている。
ルールはとってもシンプル。場外に出てしまうか、かけられている感知魔法が死亡判定をしたら負け。それから、剣技オンリーの対戦なのに魔法を使ってしまったり、魔法オンリーの対戦なのに剣を使ったらアウト。
保護魔法が使われるので、死ぬことはないと言うけれど……私は普通に怖い。
これの魔法部門にケイトは出場する。ケイトは相当な魔法の使い手だから、結構良いとこまで行くんじゃないかな、と思ってる。けど、心配なものは心配だ……
そんなことを考えていると、前から声が掛かった。
「レイラ、おはよう!!」
「サラ!おはよう!!」
「…………」
「……サラ??どうかしたの??」
なんだろう、サラにものすごく睨まれてるんだけど……
「……ううん、なんでもないわ。レイラ、今日は私たち、応援組ね。」
「うん、そうだね。ケイト、大丈夫かな。」
「ケイトならきっと大丈夫よ。そう言えば、レイラのお兄様も出られるのよね。」
「うん、そうだよ。剣技・魔法両方のやつに出るって言ってた。」
「ふふ、楽しみだわ。レイラのお兄様、強い上に女子に優しくて、とってもかっこいいって評判だもの!!そんな人が兄で羨ましいわ〜。」
「サラ、たしかにお兄様は優しい人だけど、妹になったらただ単にうざいだけだよ……」
まさしく、アレはうざいと表現するに値するものだろう。
「あらまあ。でも、兄妹ともなるとそんなものなのかしらね〜。」
「うん、そうだよ……たしかに強いけど……」
お兄様は、たしかに強い人なのだ。なぜなら、お母様やおじ様に、辺境でこってこてに鍛え上げられているから。去年、数多の上級生をのして、この学園で2位だったらしい。ちなみに1位は、1つ上の辺境伯家出身の人だったらしい。
お兄様は幼い頃から辺境での魔物討伐に参加させられ、実戦経験は十分。しかも、師事している人がお母様とおじ様なのだ。これで強くならないわけがない。
ちなみに私が弱いのは、お母様とおじ様に、後方支援向きだと判断され、こってこてに鍛えられることが無かったためである。
自分でもよくわかっている。私みたいなとろくてのろい人に、戦闘は向いていない。前線にいたりしたら、間違いなく足手纏いになるタイプの人間だ。
私にできるのは、闘って疲れた人たちにお水を配ったり、タオルを渡したり、ご飯を渡したりすること。それから、後ろから隙を見つけて、遠距離の攻撃魔法をぶっ放すこと。それぐらいしかできない。
だから私は今日の大会には出ないのである。サラも出ないので、一緒に応援組だ。
「レイラ、それじゃ行きましょうか!!」
「うん!!」
そのまま、私たちは今日の会場へ向かう。
会場は、普段は剣技や魔法の授業の時に使われている、大きな大きなグラウンドコロシアム。なんでドームみたいな形してるんだろうって不思議に思ってたんだけど、この大会を行うためだったようだ。やったら開くて周りを席に囲まれていて、まるでそのために作られた場所みたい。
まさか、本当にそのために作られたものだったりして……ありえる……
「レイラ、あそこよ!!」
私たちは円形ドームの選手の出入り口になっている場所の、斜め前あたりに腰を下ろした。
「入場者がよく見えるし、お手洗いも近いし、すぐ隣が通路の席だし、不足なし!!めっちゃ良い席だね〜。」
「ふふ、そうでしょう??前々からここがいいなって思ってたのよ。」
「それにしてもサラ、よくこんな場所取れたね。」
「あら、話を持っていったのは私だけど、こんな良い席が取れたのはあなたのおかげよ?」
「へ??どういうこと??」
「あなたが食堂で、フォーサイス様を助けたからよ〜。」
「え??」
「だから、あなたがいつもフォーサイス様を避けまくってる時に頼んでおいたのよ〜。レイラがこの大会をとっても楽しみにしてますよ、だから、良い席を取っておいてくださったら、レイラ、喜ぶと思いますよ〜、って。」
「サ、サラ!!な、なんてことを……」
こっちがお礼したいくらいなのに!!
「あら??別にいいじゃない、これくらい。考えても見なさいよ。あなたがフォーサイス様に食堂でぎゅっもがっ、」
「サ、サラ、分かったから、分かったから皆まで言わないで!!」
「……」
私はゆっくりとサラから手を外した。
「レイラ、もう。ほんとに、なんで今日までず〜っと、避け続けていたのよ。」
「だ、だってさぁ〜。」
「はぁ。レイラ、今日の夜会、ギルバート様にエスコートしてもらうんでしょう??」
「うっ。そ、そうなんだけども……」
そう、いつの間にか頷かされていたアレ、有効だったらしく……
一昨日の夜、私の寮の部屋にとっても素敵なドレスが届いていたのだ。これだけ避けてたし、エスコートとか気のせいだったかなって思ってたのに……
それが、ドレスまでプレゼントされてしまうなんて……
すみません、編集途中で投稿してました……




