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平凡令嬢、夢を掴む  作者: 海ほたる
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学園食堂にて(3)


 私がメトカーフ様にそう返したら、またみんなに笑われた。何故なんだ、解せぬ。


 んん??あれ、私、ギルバート様と手、繋いだままじゃない??あれ??


 んーと、そろそろ、いや、さっさと離さないと周りが怖い。


 あ、今日の私、やばくない??メトカーフ様に手を取られ、中々離してくれず、その手を次はギルバート様に取られるって言う……あ、これ、もしかしなくても、詰んだのでは??


 ギルバート様に手を離しましょう!、と伝えようとそちらを見ると、ぱちっと目があってしまった。


 うわぁ、ほんと、綺麗な紫の瞳だなぁ。目が離せない。なんでこんなに綺麗なんだろうなぁ。顔もだけど。ほんま、美術品やぁ〜。


「ん"んっ。」


 王太子様の咳払いではっとする。


「くく、レイラ嬢、ギルバートのことをよろしく頼むよ。」


「え??」


 え、王太子様まで何言ってんの??あっ、やば……


 私は慌てて口を押さえる。


 めっちゃくちゃ生返事してしまった。いや、でもこれは不可抗力!!だって、王太子様の頭がおかしくなったから!!


 私が1人うんうん納得していると、またしても王太子様に笑われた。でも、今回ばかりは笑ってくれて良かった!!生返事、許してくれてありがとう!!心の広い王太子様、素敵です!!はい!!ありがとうございます!!


「ん?なんだ、ギルバート??今の会話に文句でもあったか??」


 そりゃありまくりでしょうよ!!勝手に私みたいなの押し付けられて、ギルバート様は迷惑でしょうよ。


 あ、自分で考えてて悲しくなってき…ん??


 首を横に振っているギルバート様を、私は目撃してしまった。そして、王太子様に向いていた目線が私の方へやってくる。


 ぱちっと目が合うと、何故かギルバート様の瞳が不安に揺れているように見えた。


「……レイラ、俺のこと、どう思ってる??」


「え??」


 どうしたの、ギルバート様!?いやぁ、相変わらず良い声!!とても好き!!


 って、いや、それどころではないです!!私、そんな言い方されたら、勘違いしちゃうんだけど!?


 ダメ、ダメダメダメ!!


 私はそっと視線を逸らした。


 私、もう、勘違いして傷つきたくないんだ……


 ああ、あなたみたいな素敵な人のこと、好きになったら辛いって。そう分かってたのに。


 分かってたのに、私、完全にギルバート様に惹かれてるんだ。それは、もう隠しようもない、事実で。


 ギルバート様のことが、私、好きなの。


 って、ダメダメ!!出会って何日目か考えなさい!!お母様の言うことも一理あるぅ、とか思っちゃったけど、それな!!って思ってしまったけど!!さすがにこんなとこで告白とか、できない!!恥ずかしい!!無理!!


 あれ??いや、待て待て。ちょっと待つんだ。そもそもそんなことを聞かれてたんじゃないよ!?どう思ってるか、を聞かれたんだよ!!


 私ってば、あっぶなーい。ははははは。


 うーんと、ギルバート様、なんか不安そうに見えたし、自分が他人からどう思われているかは誰しも気になることだし……


 ええい!!こうなったら女は度胸!!ギルバート様に、あなたは周りの人から素敵だって思われてるって、伝えなくちゃ!!


 そう意気込んで私が顔を上げると、何故か片手で顔を覆い、目線が床に下がっているギルバート様がいた。


 え?何があったの??ええ??なんか、ギルバート様、真っ赤に見えるんだけど……


 慌てて周囲を確認すると、みんなポカン、と、唖然とした表情をしていた。


 私と王太子様の目が合うと、彼ははっとしたようにギルバート様に告げる。


「おい、ギルバート??大丈夫か??」


 うん、私も心配です。なんでそんな赤くなってるんですか??まさか、熱ですか!?はっ!!立ってて大丈夫なの??


「……っ、ごめ、ん。ベネット、先、戻ってて。」


「ギルバート、本当に大丈夫か??」


 王太子様が本当に心配そうに尋ねる。


 私も堪らず席を立ち、ギルバート様を座らせた。


「あの、ギルバート様、大丈夫ですか??熱が出たんですか??すいません、ちょっと失礼します。」


 そう告げた私は、少し屈んでギルバート様のおでこに手をやろうとした、が、それは失敗に終わった。何故なら、ギルバート様にその手を取られてしまったから。


「あの、ギルバート様??お熱を測りたいの、です、けど……」


 話している側から、ギルバート様が私の肩に頭をぽすっと置いて来た。


 かと思えば、私の体は反転させられ、後ろから抱えられる様にして、ギルバート様の膝の上に座っていた。頭は肩にセットされたまま。


 いや、頭がショートしちゃいそう、本格的に。


 すごく、すごくすごくすごくよく分からない!!なんで病人になってしまったギルバート様に抱えられて座ってるんだ私は!!せめて立ってようよ!!


 そしてこの体勢中々にまずいと思う!!ギルバート様、あなた、ほんとに私の婚約者に据えられちゃいますよ!?嫌ですよね!?私みたいなの押し付けられたくないでしょう!??


 はっ!わかった!!熱のせいで、よく分かんなくなってるんだ!!そうかそうか、私のこれは看病だ!!そう主張すれば大丈夫に違いない!!よし、これでいこう!!


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