表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡令嬢、夢を掴む  作者: 海ほたる
12/51

フォーサイス公爵邸(1)


 その後は横にいるギルバート様とか、シンディー先生を眺めていた。そうして馬車に乗っていると、思っていたよりもすぐに公爵邸に到着した。


 ギルバート様が先に降りて、シンディー先生、私、とエスコートしてくれた。すごい、本物の紳士だ。


 そのまま、私はギルバート様にエスコートされながら屋敷を進んで行く。シンディー様は、相変わらず私たちの前を歩いている。


 前世の記憶を思い出してしまったからなのか、今のこの状況、だいぶ恥ずかしい。


 だってさ、こんな風にイケメンにエスコートされるとか、無いじゃない??気持ちからすると、すごいアイドルにVIP扱いされてる気分だよ。ちらりと隣を見ると、とても綺麗な顔。ふわぁ、イケメン。すごくイケメン、そして紳士。エスコートとか、紳士すぎる。思わずぽーっとしてしまう。


 はっ!!だめだめ、しっかりして私!!ちゃんと歩くのよ!!またここでこけたりしたらダメよ!!私だって、今はものすごい美人だもん!!金髪美女だもんね!!私も芸能人側に入れるよ!!


 そうやって思考を捻じ曲げているうちに、応接室に到着した。公爵邸の凄さを見ている余裕とかなかった。残念だ。帰りにしっかり見ておこう。


 各々が座り、紅茶の準備などがされる。そして、人払いがされると、ギルバート様が防音の結界を展開した。おお、やっぱりすごいな。そして、シンディー様が口を開く。


「ごめんなさいね、ここまで来てもらって。さて、話をしましょうか。それじゃあ、まずは、あなたが馬車の中で聞こうとしていたことから、でいいかしら??」


「はい。お願いします。」


「ではまず、なんであなたのことを、この子を使って守る、と言ったかについてね。スピネットさん、魔法、解いてくれる??」


「は、はい。」


 私は言われた通り、髪の色をもどす。


「ちょっと失礼。」


 そう言うと、シンディー先生は立ち上がって、私の前に来た。そのまま流れるように少し屈んで、私の髪を1束持ち上げた。そして、それを口元に持っていき、キスをした。


 え??なんでキス??ぎゃあ!!美人!!近い!!距離が近いよ!!惚れちゃう!!女子だけど惚れちゃう!!かっこいいんだけど!!


 もちろん、心の中だけで叫びましたとも。ええ。どれだけ混乱していようと、声に出すなんて真似はしていませんよ。ふふん、これでも私、淑女ですから!!


「これは……」


 先生は、難しい顔になる。


「??あの、シンディー先生、今ので何か分かったのですか??」


「ふふ、ええ。勝手にキスしちゃってごめんなさいね。」


「いえ、全然大丈夫です!!先生美人さんですから!!こんな美人さんにキスされたら、誰でも惚れちゃいます!!」


 あ、やばい、つい本音が。私は慌てて口を押さえたけど、遅かった。言った瞬間、先生の目が見開かれていく。私は、パッと下を向いた。


「……」


 無言が怖い……


 私が恐る恐る顔を上げると、先生は、口元を押さえて下を向いていた。しかも、肩を震わせているように見えるのだが。


 ん??あれ??もしかしなくとも、先生、笑いを堪えていませんか??あれれ??


「っ、ふふ、ふふふふ、あはは、」


 とうとう堪え切れなくなったのか、先生は声を上げて笑い出した。


「せ、先生、何もそこまで笑わなくても…」


 つい拗ねた感じになってしまう。だって、本当に美女じゃないですか、先生。私は本心を言ったまでですよ。


「っふ、」


 あれ??なんか、隣からも笑いを堪えている雰囲気がするんだけど、気のせい??


 そろりそろりと隣を見ると、こちらも口元を手で覆っている。


 って、うそ!!ギルバート様が笑いを堪えるとか、何事!?この人、ほんとに氷の魔導士さんなの!??嘘でしょ!!もうそうとしか考えられない!!


 私は2人のことをねめつけてしまう。


「んんっ。ふふ、ごめんなさいね、スピネットさん。ふふふ、ねえ、あなたのこと、レイラさんって呼んでもいいかしら??」


「全然構いませんけど……」


 それは本当に全然良いのだけれど、そんなに面白かったか??そんな笑うことでもなくない??


 まあいっか。無礼だ、とか言われなかったし。うん。いや、言われるとは1ミリも思ってなかったけどさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ