表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡令嬢、夢を掴む  作者: 海ほたる
10/51

学園へ(4)


「へ??」


 ふわあああ!ア、アイドルが話しかけてきたぁ!!


 というか、な、なんでここにいるの!?あなた、さっきまで人垣の中にいたじゃないか!!なんかみんなこっち見てますよ!!


 ちらっと横を見ると、サラとケイトは興味津々にこちらを見ていた。あ、なんか勘違いしてる。絶対してる。


「レイラ、行こう。」


「いや、あのフォーサイスさ、」


 そんな目をしないで!!そして良い声!!


 って、そうじゃなくて!!周りに人がいるでしょう!!私は自ら女子の怒りを買いたくはないのよ!!それに、私たち、今朝初めて話したばかりですよね!!


 そんなことを心の中で訴えていると、ギルバート様はさっさと私の荷物を奪い、私の手を取り歩き始めてしまった。


 ああ、問答無用なのですね……


 私は無罪です。みなさん、それだけは主張させてください……


 仕方がないので、歩きながらとりあえず尋ねてみる。


「…行くって、どこに行くんです??」


「ん。来れば分かるから。」


 えぇ、行き先くらい教えてくれてもよろしくないですか。ねえ、ギルバート様。めっちゃ無表情なギルバート様……


 はっ!!私が助けなかったからこんな目に!?


 いや、ないよそれは。うん。こんな小娘に何ができるって言うんだ。そう、何もできないさ!!ははははは!!


 そんなことを考えているうちに、保健室の前に到着した。そしてそのまま中に入っていく。


「え、ギルバート様、保健室に来るなら、普通に言ってくれてもよかったんじゃ……」


「ん、違う。ここにはおばさ」


「あらぁ、ギルじゃないの??」


 ウルトラ笑顔なシンディー先生がやってきた。ねえ、ギルバート様、やめましょうよ、シンディー先生のことをそう呼ぶのは……


「ふふ、きちんと連れてきたわね。それじゃ、行きましょう。」


「え??どこかに行くんですか??」


 私はシンディー先生とギルバート様の顔を交互に見る。


「…俺の家だ。」


「え、はい??あの、今なんと??」


「……俺の家だ。」


 衝撃発言が聞こえました。えっと、俺の家っておっしゃいました?!おっしゃいましたよね!?私、なんかしましたっけ?!してないよね!!


 あ、待って、気絶したわ。そして、支えてもらった上に、お姫様抱っこされ、転移で運ばれた……


 ん??あれ??そういえば、なんか、私、ギルバート様に、手、取られて、ません??


 ついついそのままギルバート様の顔を見てしまい、目があった。あ、無理、イケメン、うわぁ。


 私は思考することを放棄した…


「お待たせ。それでは行きましょう。」


 私が青くなったり赤くなったりしているうちに、シンディー先生は準備を終わらせたようだ。先生は、さっさと私たちの前を歩いていく。


 やっと思考力が戻ってきた私は、もう一度確認してみる。


「すみません、あの、私、本当にフォーサイス公爵家に行くんですか??」


「そうよ??ああ、寮の方にもあなたの家の方にも連絡は入れてあるから、心配いらないわよ。」


 いつの間にやら、私の準備はばっちりに整えられていたらしい。これが外堀から埋める、と言うやつなのか……私はシンディー先生に話を聞いて、そのまま帰る予定だったのに……


  私としては非常に、非常に困惑しているのだけれど、どうすることもできない。そのままギルバート様に手を引かれ、立派な馬車に乗せられ、公爵邸へと向かった。


 馬車の中ではシンディー先生が1人で座り、私とギルバート様が隣で座った。ギルバート様が隣に座った時は、ちょっと驚いた。驚いたところで、特にどうすることもできないのだけれど、やめてくれや、という念を送っておいた。


 だって、声も良くて顔も良い、爵位も高くて高魔力保持者、おまけに私のことを助けてくれたものすごく良い人が隣に座ってたら、いろんな意味でドキドキするじゃないか。まるで美術品みたいに綺麗な人が隣にいるんだよ??これ、ドキドキしない方が無理。


 しかも、これから向かう先はギルバート様のお宅。公爵邸。絶対豪華、綺麗。あ、思考力飛びそう、世界へ羽ばたけるわ。


 そんなことを思っていると、シンディー様に話しかけられた。


「突然連れ出す形になってしまって、ごめんなさいね。あそこで話すよりも、公爵邸で話す方が都合がいいのよ。」


 それにギルバート様も頷く。


「そうなんですか。あの、それは、どうしてなのでしょう??それにあの時、なんで私をまも、」


 シンディー様は唇に人差し指を立てて言う。


「それはついてから、ね??」


 そう言われたら、黙るしかない。私は綺麗なお姉さんに対し、無言で頷いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ