学級委員の役割
翌日。
僕は、いつも通り莉夜さんと一緒にシェアハウスを出て、途中で苺と健に合流し学校へと向かった。
苺と健もだいぶ莉夜さんと仲良くなったみたいだ。
学校に着くと、階段の前で莉夜さんと別れ、僕らは教室へ向かった。
教室に入ると、なぜだかみんな黒板の前に集まり,ざわついていた。するとそこに、ある男子生徒が僕らのとこに近付いてきた。バレー部の石井亮だった。
石井君はとても嬉しそうな笑顔で
「二人ともあれはみたかい?」
そう言って黒板のほうを指差す。
そこには、一枚の紙が張り出されていた。僕らは石井君に連れられ黒板の前に行き、その紙の内容を見てみるとそこには、再来週行われる新入生歓迎会の競技内容が書かれていた。
その紙にはこう記されていた。
『新入生歓迎バレーボール大会』
それでみんな嬉しそうに黒板前でざわついていたのか。僕はてっきり莉夜さんと同じシェアハウスに住んでいることがばれたのかと思ったが、そうでないと分かりほっとした。
バレーボールか。
どおりでバレー部の石井君が張り切っているはずだ。
そして、僕は決めた。
今回の新入生歓迎会で活躍して、莉夜さんにかっこいいところを見せる!
そんなことを考えているとチャイムが鳴り、僕らは全員席に着いた。
ホームルームが始まってから、数分後、僕と苺は目を大きく見開き、机の上に手をつき、同じ体勢で立っていた。なぜこの状態なったのかというと、それは先生のある一言のせいであった。僕らは数分前までいつも通りのホームルームだった。だが、新入生歓迎会の話になって間もなくして、先生はこう言い放ったのだ。
「学級委員の二人は、これから新入生歓迎会が始まるまでの約二週間、放課後は学校に残って準備を手伝ってもらう。」
そう、この一言によって僕ら二人は今の状態に至ったのだ。
同じ体勢で目を見開いて固まっている僕らを見た先生は真顔で、
「なに二人でシンクロしてるんだ? 席に着きなさい。」
その一言で教室内は爆笑の渦に包まれた。
僕は、みんなの笑い声で我に返り、急に恥ずかしくなったので、静かに席に着いた。だが、苺は納得がいかないようで、
「なんで私たちが準備をしなきゃいけないんですか!」
と、反抗し始めた。
そんな苺の反抗も虚しく、先生の一言で終わりを告げることとなる。
「お前ら二人は学級委員だ。学級委員はクラスの代表なんだ。その代表がいちいち反抗するな。」
その一言で苺は反抗をやめ、静かに席に着いた。
この先生、生徒の扱い方をよく知ってるなあ。
その後の授業は、憂鬱だった。
授業内容が憂鬱だったわけではない。もちろん、今朝の出来事のせいだ。授業中は、授業の内容なんか頭に入らず、頭の中は新入生歓迎会のことしか考えていなかった。
僕と苺は、終礼まで終わると新入生歓迎会の準備をするために嫌々ながら体育館へ向かった。
体育館に着くと、そこにはなんと莉夜さんがいたのだ。その瞬間、僕は今までの憂鬱な気分が嘘のように飛んで行った。
「莉夜さん、なんでここにいるんですか?」
莉夜さんは可愛らしい笑顔で
「もちろん、新入生歓迎会の準備でだよ~」
それを聞いた僕は初めて学級委員になってよかったと思った。それは、苺も同じだったようだ。横にいる苺の方を見てみると、さっきまでの嫌そうな顔から一変、満面の笑みを浮かべていた。
そして、僕ら三人を含む学級委員は準備にとりかかった。
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