新はどこ? ※莉夜視点
私はキャンプから帰り着くと、1時間ほど部屋で休んだ後、お風呂に入った。
ああ、楽しかったなぁ。
また、みんなで行けるよね、きっと。
私はお風呂から上がると、自室に戻り、窓を少し開けて涼んだ。
でも、少し違和感を感じた。いつもなら聞こえてくるはずの新の声が聞こえてこないような気が……。
私は少し気になり、見に行く。
「あっ」
私は途中で梨音と遭遇した。
そこで私は梨音に尋ねる。
「ねえ梨音、新の声が聞こえないんだけど今、新いる?」
「あ、あぁ、今日は健君の家に泊まりに行ってるみたいだよ、ははは……」
なんかよそよそしくない?
なにか隠してる?
「ほんとに健君のとこに行ってる?」
「う、うん! ほんとだよ! じゃあ、私はお風呂に入ってくるね、はは……」
梨音はそのまま風呂場へと向かって行った。
***
私は梨音と別れた後、リビングに向かった。
そして、ソファに座ろうとしたとき、ソファの前のテーブルの上にスマホが置かれていた。
梨音のものだ。
梨音は今、お風呂に入っていてここにはいない。
もしかしたら、今なら梨音が何を隠しているか突き止めることができるかも!
私は梨音のスマホを手に取り、ホームボタンを押す。
ロックはかかっておらず、すぐにホーム画面が開かれた。
私はすぐに、梨音と新のやり取りを確認する。
ちょうど、数分前に新から梨音にメッセージが送られてきていた。
二人のやり取りはこうだった。
『どう? 苺ちゃんの家に着いた?』
『はい! 着きました』
『よかった。それじゃあ、楽しんでね!』
『はい! ところで莉夜には、健の家に行ってるって伝えてくれました?』
はい? どういうこと?
新は健君の家じゃなくて、苺ちゃんの家に行ってるってこと?
これは、梨音に問い詰める必要がありそうです。
***
私は梨音がお風呂から出てくるのを待った。
出てくるなりすぐに、スマホの画面を見せながら問い詰めた。
「これはどういうこと? 新は健君の家に行ったって言わなかった?」
「ああ……えっと……その……、ごめん! 嘘つきました!」
梨音は証拠を掴まれていることもあり、すぐに白状した。
「それで? 詳しく教えてもらえる?」
「詳しくって言われても、苺ちゃんの家に泊まりに行くってしか聞いてないんだよ……」
「へー」
「ほんとだって! とりあえず帰ってくるのは明日になると思うよ」
私は今にも発狂しそうだった。
苺ちゃんが嫌いってわけじゃないよ? むしろ好きな方だ。
でもね、新のことは恋愛的な意味で好きなんだよ? 好きな人が別のこの家に泊まってるって考えたら……考えただけでもう……うわあああああああああああ!
私は再び問い詰める。
「なんで止めなかったの?」
「なんでって言われても……、なんか理由があるみたいだったし」
「そっか、ならしょうがないのか、な」
「とりあえず明日まで待とうよ、ね?」
「うん……そうだね」
どんなに問い詰めたところで、新は明日までは戻ってこないらしい。それなら、もう寝よっかな。
「じゃあ私はもう寝るね」
「あ、うん。おやすみ」
「おやすみ」
私はしばらく眠りにつけなかった。
疲れているはずなのに、新が今、苺ちゃんのいると考えるとどうしても寝れない。
新は今、何をしてるんだろう。苺ちゃんと夕飯を食べてるのかな? それとも、二人で寝て――
私はそんなことばかり考えてしまっていた。
***
翌朝、私が目を覚まし部屋を出ると、梨音が自分のスマホの画面を見せながら教えてくれる。
「新君、もうすぐ帰ってくるって!」
「ほんと?! じゃあ玄関に行かなきゃ」
「あ、私も行くよ。謝らなきゃいけないし」
私と梨音は、玄関へ向かった。
玄関へ着くと私は無意識に仁王立ちで立っていた。
腕も組んでいた。
……ムッとした表情で。
初の莉夜視点です!
面白い!
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