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苺の反応

「新ってどうして莉夜さんのことを好きになったの?」


 苺は僕に以前にも答えたことのある質問をしてくる。


「莉夜の部屋に集まった時に言ったと思うけど?」

「それはわかるよ、一目惚れでしょ? そうじゃなくて、場所とか会ったきっかけとかの話よ」


 ん〜、これは難しい、非常に難しい。さすがにここで「夢で会って好きになった」なんて言えるはずもない。それ以前に信じてもらえるはずがない。


「さすがにそれは言えないかな」

「どうして?」

「なんて言うか、説明しづらい感じなんだよね」


 苺は少し考えた後、納得したようだった。


「説明しづらいならいいよ、また別の機会に聞けるのを楽しみしとく」

「そうしてもらえると助かるよ」


 そして、僕も苺に恋愛についての質問をすることにした。まぁ、聞いたところですぐに顔を赤らめて恥ずかしそうに照れ隠しを始まるのは目に見えているけどね。


「ねぇ、次は僕からも質問していい?」

「うん、いいよ」

「苺は健のことが好きなんだよね?」

「うん、ま、まぁね、ははは……」


 あれ? 何かおかしい。予想していた反応と全然違う。暗くて顔は見えないが、苺は苦笑いをしているような気がした。

 僕はもう一つ質問をすることにした。


「じゃあ僕も同じ質問をさせてもらうけど、どんなきっかけで好きになったの?」

「私も言えないかな、ははは……」


 やっぱり、何かがおかしい。

 苺は健のことが好きなんだよな? じゃあ何故いつものように照れ隠しをしない? 何故なんだろう……

 僕はそんなことばかり考えてしまい、他の質問を考えるのをやめてしまっていた。


「はい! 恋愛に関する話題はここまでね! 他の話しよ」


 苺は、いつもは乗り気な恋愛の話題を自ら止めた。

 僕もこれ以上聞くことも思いつかなかったので、それに従う。


「じゃあ、なんの話する?」

「ん〜、宿泊研修の話とか?」

「宿泊研修? なにそれ?」

「そっか新は知らないかってならないわよ。ゴールデンウィークが終わったら、一週間もしないうちにあるよ、忘れたの?」

「ご、ごめん……」

「まぁ、いいか、教えてあげる。宿泊研修って言うのは、高校一年生みんなで行く一泊二日の研修のことよ」


 みんなで一泊二日かぁ、楽しみだな。ここに来てからは、楽しい行事ばかりだ。研修って言うのがどんな事をするのかよく分からないけど、みんなで一泊二日ってだけで楽しみだ。


「あ、でも、みんなで一泊二日ってのは楽しいんだけど、宿泊研修の初日に、校長先生の長い話があるから心の準備はしておいてね」


 ま、まじか、あの意識が飛びそうになるくらい長くてつまらない校長先生の話をこんな楽しそうな行事の初日にやるのか。


「やっぱり、楽しいだけの行事じゃないんだな」

「まぁね、でもその分、夜は楽しいから安心していいよ」

「そっか、楽しみにしとくよ!」

「じゃあ、どうする? もう寝る?」

「そうだね、少し眠くなってきたし、寝ようかな」

「だよね、じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみ」


 こうして僕と苺はようやく眠りについたのだった──。



 そして翌朝──


「ふぁ〜、よく寝たぁ」


 僕が目を覚ます。

 だが、苺はまだ眠っているようだ。

 僕は自分のスマホを確認する。スマホを電源をつけると、そこには一件だけメッセージが届いていた。

 りっちゃんからだった。

 一言だけこう送られてきていた。


「ごめん」


 え? ごめんって何? 何があったの? シェアハウスで何か問題があったのだろうか。

 今すぐにでも、シェアハウスに帰って何があったのか確認したいところだが、苺がまだ寝ているため、今はまだシェアハウスに向かうことができない。

 

「ふぁ〜」


 僕がどうしようかと悩んでいると、ちょうど苺が目を覚ました。僕は慌てて、苺にりっちゃんからのメッセージを見せる。


「りっちゃんからこんなメッセージが届いてたから、シェアハウスに帰ってもいいかな?」


 苺は目をこすりながら、僕のスマホに届いたりっちゃんからのメッセージを見る。


「そんな事なら私に聞かないでもいいのに。いいよ、なんかあってからじゃ遅いし、急いで向かって」

「うん! ありがとう!」


 苺の了承を得た僕は、急いで玄関へと向かう。

 玄関に着き、靴を履いていると、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえる。


「新君、ちょっといい?」


 僕は後ろを振り向く。

 そこには、苺のお母さんがいた。


「これ作ったから、持って行って食べて」


 そう言うと、苺のお母さんは僕に弁当を渡す。


「いいんですか? ありがとうございます!」

「うん、新君に食べてもらえると私も嬉しいわ、じゃあ、気をつけてね」

「はい! ありがとうございました!」


 僕は苺のお母さんから受け取った弁当を持ち、苺の家を出て、走ってシェアハウスへと向かう。


 それにしても、僕と苺がいとこ同士だったなんてな。昨日はすごい事を聞いちゃったな。あとで、お母さんに電話で確認してみようかな? 僕は慌てているはずなのに、そんな事を考えながら走っているうちにシェアハウスに着いた。


 そして、僕はドアを開ける。

 

ガチャ


 すると、そこには少しムッとした顔をした莉夜と苦笑いをしているりっちゃんが待っていたのだった──。

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