意外な関係
「あら! いらっしゃ〜い」
ドアを開けるとそこには、若々しい苺のお母さんがいた。だが、誰かに似ている──ような気がした。
「お邪魔します」
「そんなに緊張しなくてもいいのよって言っても緊張しちゃうよね」
「まぁ、はい」
僕が作り笑いをしながら答えると、苺のお母さんは少し残念そうな顔をした。
「じゃあ、入って入って〜」
僕は苺のお母さんに連れられ、リビングまで移動した。
「じゃあ、食べよっか!」
僕たちがリビングに着くと、テーブルの上に豪華で美味しそうな料理が並べられていた。
「こ、これって、僕も食べていいんですか?」
僕がそう聞くと、苺のお母さんは笑顔で答える。
「もちろん! 新君が来るから私、頑張っちゃった!」
「あ、ありがとうございます」
僕たちは豪華な料理の前に座り、手を合わせる。
「いただきます!」
「うん! どうぞ〜、おかわりもあるから遠慮しないでね〜」
「はい! ありがとうございます」
苺のお母さんは僕がご飯を食べるのを見ながらにっこりと笑顔を見せる。もし、同じ年代に生まれていたら、惚れてしまいそうなくらい可愛い笑顔だった。本当に高校生の母親なのかと疑いたくなるほど若く見える。
僕がご飯を食べ終わると、苺のお母さんが僕にあることを聞き始める。
「新君、私のこと覚えてない?」
僕は真剣に思い出そうと考える。
だが、何度考えても思い出すことができない。
「すいません、思い出せないです……」
すると、苺のお母さんは自分の顔を指差す。
「私の顔をよく見て、誰かに似てると思わない?」
僕は真剣な顔で苺のお母さんの顔を見る。
そして──僕は無意識に一言、こう発していた。
「……お母さん」
僕がそう言うと、苺のお母さんが嬉しそうに僕の手をつかみ、若々しい笑顔を見せる。
「思い出してくれたのね! そうよ! 私は新君のお母さんの妹よ! つまり、新君の叔母ってことになるわね」
僕は驚きのあまり硬直していたが、僕以上にら驚いている人が一名いるようだった。
僕の隣に座っていた苺が石のように固まっていた。
「おーい? 苺、大丈夫か?」
僕が苺に声をかけると、苺はすぐさま彼女のお母さんに問いただす。
「どういうこと?! お母さんが新のお母さんの妹ってことは、私と新はいとこ同士ってこと?!」
「あぁ、そういうことになるわね」
「え、えぇぇぇぇ!!!」
苺が問いただしたことにより、僕は新たな真実を知ることとなったのだった。
だが、僕は苺が僕以上に驚いてしまったせいもあり、何故か冷静だった。
「だから、僕のお母さんに顔が似てたんですね。誰かに似ているとは思いましたけど、まさかお母さんの妹だったなんて」
「新君はそこまで驚かないのね」
「いえ、驚きましたよ。でも、僕以上に驚いてる人が僕の隣にいるみたいなので」
僕は苺の方に目を向ける。
苺は驚いた顔のまま、僕に聞く。
「新、よく受け入れられるね。今、私と新がいとこ同士ってことが分かったんだよ?」
「まぁ、びっくりはしたよ」
僕と苺が話していると、苺のお母さんがトンチンカンなことを言い出す。
「二人とも安心して! いとこ同士なら、結婚できるわ!」
苺は、急に顔を真っ赤にして反論する。
「な、な、なんでそうなっちゃうのよ!」
だがそれに対し、苺のお母さんはきょとんとした顔で首を傾げる。
「え? 二人ともそういう関係じゃないの?」
「ち、違うわよ!」
「あら、残念」
こうして苺と苺のお母さんによる口論(?)は幕を閉じたのであった。
話も終わり、僕が皿をキッチンに持って行き、洗おうとすると、
「新君、皿はそこに置いとくだけでいいからね〜」
「あ、はい、わかりました」
「あぁ、それと今日は泊まっていくよね?」
「はい、今日はお世話になります」
「ふふ、いいのよ、いつでも泊まりにいらっしゃい」
「はい、ありがとうございます」
「でも今日は、苺に新君を呼んでってお願いしたら、どうしても泊めたかったみたいで──」
苺のお母さんの最後の一言を聞いた苺は、また慌てふためきながら、反論を始めた。
「ち、ちがうよ! そういうことじゃないから!」
「はいはい、分かったから、新君を部屋に案内してあげなさい」
苺の反論も虚しく、苺のお母さんに軽く受け流されてしまったのである。
僕と苺は、部屋へと向かう。
そして、部屋に着くとそこにはいかにも女の子の部屋という感じの部屋があった。
「ここは苺の部屋?」
「うん、そうだよ。ごめんね、私の家、部屋が少ないから床に敷布団とか引くからそこで寝てもらってもいいかな?」
「わかった、ありがとうね」
最近、何かと女の子の部屋に入ることが多い気がするのは気のせいだろうか。
そして、僕たちは敷布団や枕を準備し、床に敷く。普通よりも分厚い敷布団だったので運ぶのが少し大変だった。
その後、時間が過ぎ、お風呂に入り、歯も磨き、寝る時間になった。
僕は敷布団の上に。
苺はベッドの上に横になる。
横にはなったものの、全然眠気が来ないため、僕は苺に小さな声で話しかける。
「苺、起きてる?」
すると、苺から小さな声で返事が返ってくる。
「うん、起きてるよ。もしかして、新も眠れないの?」
「うん、なんか眠気が全然来なくて」
「じゃあ、なんか話しよ」
そして、僕と苺は色んな話を始めるのであった。
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