中間テスト二日目(最終日)
僕がシェアハウスに着き、ドアを開けると、そこには莉夜が立っていた。そして莉夜は僕が帰ってきたのを確認すると、軽く腕を組みながらこう言った。
「じゃあ、明日のテスト勉強しよっか」
「え? 莉夜が教えてくれるのは昨日までのはずじゃ……?」
「誰がいつそんなこと言ったの?」
「てことは、今日もテスト勉強に付き合ってくれるんですか!」
「当たり前でしょ! それじゃあ、部屋で待ってるから着替えたら勉強道具持って私の部屋に来てね」
「う、うん! ありがとう!」
そう言うと、莉夜は自分の部屋へと向かって行った。
まさか今日も一緒にテスト勉強をできると思ってなかった僕はついスキップをしながら自分の部屋へと向かってしまっていた。僕は自分の部屋に着くと、すぐに着替え、勉強道具を持ち、莉夜の部屋へと向かった。
莉夜の部屋の前に着き、僕はノックをする。
コンコンッ
「開けていい?」
「うん! いいよ~」
僕はドアを開け、部屋に入る。
部屋に入ると、莉夜はすでに勉強を始めていたようで、机の上に勉強道具が出されていた。
「じゃあ、早速始めようか」
「うん」
僕と莉夜はこうしてまたいつものように二人きりでテスト勉強を始めたのだが、僕は未だにこの莉夜と二人きりで勉強するというこの状況に慣れない。
だが、僕は今日も莉夜にテスト勉強を教えてもらうのであった。
莉夜に分からないところを教えてもらっていたはずなのだが、気づいたときにはもう朝になっていたのだった。
「僕は、教えてもらってる途中に寝てしまったのか」
自分の部屋に戻った記憶はないのだが、僕はなぜかちゃんとベッドの上で寝ていたようだ。
だが、僕は少しばかり違和感を感じた。ちゃんとベッドの上にいるのに、自分のベッドじゃないような……。ん? 僕は周りを見渡す。僕がいたのは、莉夜の部屋の、莉夜のベッドの上にいたのだ。
「え! 僕は好きな人のベッドで寝ちゃったのか! ……はっ!」
僕は自分が「好きな人」と言ってしまったことに気が付き、慌てて口を押さえる。が、その部屋に莉夜はいなかった。僕は少し安心し、布団から出て、リビングへと向かう。すると、キッチンの方で莉夜が朝食を作っていた。僕が少し立ち止まっていると、莉夜が僕に気づき声をかける。
「あ! おはよう! 昨日はよく眠れた?」
「う、うん。僕は昨日、途中で寝ちゃったみたいだね、べ、ベッド使わせてくれてありがとう」
僕は少し顔を赤くしながら、莉夜にお礼を言った。
そして、その後、僕は顔を洗い、歯を磨き、着替えも済ませ、みんなで朝食を食べ終えた後、莉夜と一緒に学校へと向かった。
「今日でテスト終わりだよ! 新も頑張ってね!」
「うん! 莉夜も頑張ってね!」
「うん! ありがとう! このテストが終わって、テスト返却までされたら、すぐゴールデンウィークだから、今日を頑張って乗り切ろうね!」
そんなことを話しているうちに、僕たちは学校に着き、自分たちに教室へと向かった。
教室に入ると、そこには一生懸命テスト勉強をしている苺の姿があった。
「苺、おはよう」
「……」
返事がない。珍しく、苺がかなり集中しているようだ。一流のスポーツ選手が稀になったりする「ゾーン」ってやつか。邪魔するのも悪いし、僕も勉強しようかな。
そして、僕もテスト勉強を始めた。
僕がテスト勉強を始めてから約十分ほど経った頃、
「あ~、やっとできた~」
隣の席から声が聞こえてきた。
隣を見ると、苺が今日のテストはまだ始まってもいないのに「やり切った感」を醸し出していた。
「お、苺、テスト勉強終わったの?」
「ひゃっ! あ、新、いつから居たの? 居たなら声くらいかけてよね」
「声はかけたんだけど、苺が気付かなかったんだよ」
「あ、本当に? ごめんね、集中してたんだと思う」
「でも、苺もこんなに集中することあるんだね」
「どういうことよ! 失礼だな~。まぁ、いいけど。新もテストの準備は完璧?」
「まぁね。莉夜がいなかったら、やばかったと思うけどね」
僕と苺がそんな話をしている間に、ほかの生徒も続々と登校し始め、テストの時間が訪れた。
本日最初の教科は、化学だ。チャイムの鳴る十分前になると、昨日と同様、先生はテスト用紙を配り始める。そして、教室中に緊張感が漂う中、チャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン
「始めっ!」
僕たちは、一斉にテストの問題を解き始める。そして今日も莉夜に教えてもらった箇所ばかりが出題されていた。そのおかげで、僕は問題なくすべての問題を解き終わることができたのだった。
化学のテストを終えた二十分後にはもう生物のテストを解き始めていた。なんで理科科目だけ二教科もあるんだろう。そんなことを考えているうちに生物のテストも解き終えたのだった。
生物のテストも終わり、中間テストも残すところ数学だけとなった。
中間テストが始まる前までは数学は最も苦手な教科だったのだが、莉夜に勉強を教えてもらい始めてからは、数学の問題を解くのが苦ではなくなっていた。莉夜のおかげで、数学も無事全部解き切ることができた。
キーンコーンカーンコーン
「解答やめっ!」
先生の声とともにみんなの鉛筆を置く音が教室中に響く。
先生はテスト用紙を集め終え、人数分あるか確認し、少し笑顔になった。
「よし、これで中間テストは終了です。お疲れさまでした。帰る準備のできた者から気を付けて帰ってください」
「やったぁぁああ! やっと終わった!」
みんなの歓喜と安堵の声が教室中に響き渡った。
そしてみんな帰る準備をし、学校を去っていった。
「やっと終わったね。苺、どうだった?」
「まぁ、なんとか乗り切ったって感じかな」
「そっか、じゃあ、僕たちも帰ろうか、健と莉夜が待ってるかもしれないし」
「そうだね」
僕と苺は、帰る準備をして、教室を出るとそこには予想通り健と莉夜が待っていた。
そして僕たちはテストの話などの話をしながら、帰路についたのだった。