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中間テスト初日

 高校最初のテストの教科は、国語だった。

 今までは僕にとって国語は得意でも苦手でもなく、いたって平均的だった。だが、今回は違った。

 僕はテストが始まってすぐに気づいた。今回のテストの内容のほとんどが莉夜と勉強した範囲から出題されていたのだ。

 中学の頃は、毎回時間ギリギリに終わっていた国語のテストが、今回は十分も時間が残った。そして、僕はその十分で書き間違いがないか見直しをして国語のテストを終了させた。

 国語のテストが終わったとき、僕は自信しかなかった。それほどまでに良い出来だった。これもすべて莉夜のおかげだな。

 

キーンコーンカーンコーン


 チャイムが鳴った後、先生は全員のテスト用紙を集め、次のテストの準備に取り掛かるように言って教室を出て行った。

 先生が教室を出て行った後、苺の方を見てみると、一教科しか終わっていないというのにすでに力尽きたような顔をしていた。


「苺、大丈夫? まだ一教科しか終わってないけど?」

「あぁ~、それ以上言わないで~。頭が爆発しそう。それに比べて新は全然辛そうじゃないね、国語のテスト、良い出来だったの?」

「まぁね。今回の国語のテストの内容が莉夜と勉強したところがほとんどだったから」

「いいなぁ。私も莉夜さんに教えてもらいたかった~」

「それは健に失礼じゃない? 健も教えてくれたんでしょ?」

「そうなんだけど、数学ばっかり教えてもらって、ほかの教科を教えてもらうの忘れてたんだよね」

「自業自得じゃん」


 そんなことを話しているうちに、先生が次のテストの問題と解答用紙を持って教室に入ってきた。

 確か次の教科は、英語だ。まさか同じ日に国語と英語という正反対の教科のテストを受けることになるとは思いもしなかった。でも、僕は自分と莉夜の教えてくれたものを信じて、頑張るだけだ。


 先生はすぐに英語のテスト用紙を配り、テスト開始の合図をした。


「始めっ!」


 英語のテストも問題なく解き進んでいくことができた。国語の時は、莉夜と勉強した内容がほとんどで驚いたが、英語に至っては文章問題、単語、文法など全てが莉夜と勉強した内容だった。莉夜は予知能力が使えるのではないかと思うほどだった。

 そして、英語のテストも難なく解き終わり、僕は終了の合図を待った。


「解答やめっ!」


 英語のテストも先生は集め終えると、また教室を出ていき、次の教科のテスト用紙を取りに行った。次の教科は、世界史だ。世界史は元々得意な方だったのでかなり自信はあるが、油断しすぎないように気を付けないとな。

 そして、先生がまたテスト用紙を取りに行き、戻ってきて配り終え、先生のテスト開始の合図で今日最後のテストが始まった。


 テストが始まって二、三分が経った頃、ちらっと苺の方を見るとまだ世界史のテストが始まって間もないのにも関わらず、すでに苺の意識はここにはないような状態だった。

 苺はテスト終了の合図まで今のままの状態になるような気がしたので、僕は先生にバレないように軽く苺の机をたたいた。すると、苺は目を覚まし、自分のテスト用紙を見て慌ててテストを再開した。

 僕は、順調にすべての問題を解き終え、見直しを行う。

 

 そして、


キーンコーンカーンコーン


「解答やめっ!」


 先生は、テスト終了の合図をするとすぐさま全員のテスト用紙を集めた。集め終えると、先生は黒板の前に行き、こう言った。


「では、これで今日のテストは終わりです」


 その一言で、全員が歓喜の声を上げた。まぁ、明日もテストはあるんだけど。


「やったぁぁあ! やっと帰れる~」


 誰かがそう言ったのを聞いた先生はすぐにみんなのテンションを下げる一言を発した。


「お前ら、もう帰れると思っていたかもしれないが、四時間目もあるからな。授業ではないが、四時間目はロングホームルームだ」


 その後、誰一人として歓喜の声をあげる者はいなかった。

 聞こえてくるのはため息だけである。


 そして、下がりきったテンションのまま僕たちはロングホームルームを迎えた。

 ロングホームルームは特にやることがないので授業の終わりのチャイムが鳴るまで自由時間だという。自由時間をするくらいなら、家に帰してくれてもいいのではないだろうか……

 自由時間ということで、みんな何かしらしていた。

 明日のテストの勉強をする者。

 友達同士で今日のテストの確認をする者。

 お喋りをする者。

 眠る者。

 僕は恐らく、「友達同士で今日のテストの確認をする者」に入ると思う。僕は、ロングホームルームが始まると、苺と今日のテストの出来などを話し合っていた。


「苺、今日のテストどうだった?」

「んー、世界史以外はまぁまぁかな」

「世界史の時、始まってすぐに意識飛んでたもんね」

「あ、あの時は起こしてくれてありがとう。新が起こしてくれなかったら世界史で一桁代の点数をたたき出すところだったよ」

「次からは気を付けてよ~」

「う、うん」


 そんな話をしている間にもうチャイムが鳴る時間が迫っていた。

 そして眠り始める人が増えてきだした時、


キーンコーンカーンコーン


「はい、それじゃあ、みんな帰る準備ができた人から帰っていいぞ」


 先生がそう言うと、みんな一斉に教室を出て帰路についた。

 僕も変える準備を済ませてすぐに帰路についたのだった──。


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