表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/25

仲直りと勉強

 翌日の放課後、僕は今日も苺と健と一緒にカフェに向かう。

 もちろん今日はりっちゃんたちに連絡はしておいた。

 そんなことよりも昨日の莉夜の反応が気にかかる。なんで莉夜はあんな悲しそうな顔をしたんだろう。よし、カフェに着いたら、苺たちに相談してみよう、苺は女子だから、その辺のこともよく知っているかもしれない。

 そんなことを考えているうちにカフェに着いた。

 僕はカバンを置き、すぐに苺たちに昨日のことを話した。

 

「昨日、こんなことがあったんだけど……」


 苺と健に昨日のことを話すと、健も僕と同じようになんでそんな顔をしたのかわからないようだった。だが、苺はそんな僕らを見て、呆れながらこう言った。


「新、なんで莉夜さんからの誘いを断ったの?」


 莉夜もテストがあるんだから、この誘いは断るのが普通じゃないのだろうか……


「莉夜も中間テストのテスト対策があるから、迷惑かけちゃいけないと思ったから断ったんだけど」


 僕の返答を聞いた苺はため息をついた。


「はぁ、その誘いは断っちゃだめだよ。莉夜さんは頼ってほしかったから新にその誘いをしたんだと思うよ」


 そうだったのか。ということは、僕は莉夜の気持ちを踏みにじってしまったのか。今更、「やっぱり、勉強を教えてください」って言っても、もう遅いだろうし、どうしたらいいんだろう……


「苺、僕はどうしたらいい?」

「どうしたらいいって、そんなの決まってるじゃない。莉夜さんのところに行って一緒に勉強してきたらいいの。でも、最初に謝ることを忘れないでよ!」

「でも、今更行っても、もう遅いでしょ」

「何言ってるの!? 遅いことなんてない! その気持ちが大事なんだから!」

「そっか……そうだよな! 今から行ってくる! 二人ともありがとう!」


 僕はカバンを取り、カフェを出ると、走ってシェアハウスへと向かった。

 シェアハウスに着くと、僕は急いで莉夜の部屋へと向かった。

 莉夜の部屋の前に着き、呼吸を整え、ドアをノックした。


「莉夜……いる?」


 だが、返事はない。


「開けるよ……?」


 ゆっくりとドアを開けると、そこにはベッドの上で体育座りをしながら顔をうつむかせた状態の莉夜がいた。莉夜は顔を上げず、そのままの状態でこう言った。


「苺ちゃんたちと勉強してたんじゃないの?」


 その声は少しばかり震えているような気がした。


「うん、さっきまでしてたけど、僕はやっぱり莉夜に勉強を教えてほしい。昨日は、せっかく誘ってくれたのにごめん。今更、遅いとは思うけど、それでも僕は莉夜に勉強を教えてほしい。」

「そっか、でも本当に私でいいの? 教えるの下手でも文句言わないでよ?」

「うん」

「よかった」


 莉夜は、「よかった」と言うのと同時に顔を上げた。その顔は安堵したような笑顔とともに涙で顔が濡れていた。

 

「莉夜、大丈夫?」

「うん、大丈夫。新、戻ってきてくれてありがとう」

「うん、僕はどんなことがあっても必ず莉夜のところに戻ってくるよ」


 僕は、自分自身でも恥ずかしいことをさらっと口にしたと気づくと、急激に恥ずかしくなり、顔が真っ赤になった。

 それを見て、莉夜がくすっと笑いながらこう言った。


「ありがとう。じゃあ、勉強始める?」


 そして僕らは、二人でテスト勉強を始めた。

 分からないところがあったら、莉夜に聞き、教えてもらった。

 よく考えてみたら、二人きりで莉夜の部屋にいること自体、初めてのことだった。勉強している間、莉夜はよく笑顔を見せていた。

 改めて、僕はこんな天使のような笑顔を見せてくれる人を泣かせてしまったのかと思うと自分に対して無性に腹が立ち、もう二度と莉夜を悲しませるようなことはしないと心に決めた。

 その後も僕らはテスト勉強を続け、勉強が終わった後、僕は苺に電話し、莉夜と仲直りしてこれからは莉夜に勉強を教えてもらうことになったと伝えた。


「よかったじゃん!」


 苺は、まるで自分のことのように喜んでくれた。

 そして電話を切る直前、苺は一言だけこう言って電話を切った。


「じゃあ、これ以上、好きな人を悲しませちゃだめだよ?」

「うん、ん? ちょ、まっ!」


 僕が聞き返すより先に苺は電話を切ってしまった。

 それにしてもなんで苺は俺が莉夜のことが好きって知ってるんだろう。少なくともこの間の恋バナをした時まではバレてなかったと思う。まぁ、僕も苺の好きな人を知ってるから、言いふらしはしないだろうけど……。


 そして僕は中間テストの前日まで毎日、莉夜とテスト勉強をし、ついに中間テストの日を迎えた。せっかく莉夜に毎日、テスト勉強を手伝ってもらったからには良い点数を取って、莉夜を喜ばせないとね。


 僕は学校に着くとすぐに席に着き、テスト用紙が配られるギリギリまでノートを見て復習した。学校のチャイムが鳴る十分前になると、先生はテスト用紙を配り始めた。それと同時に僕もノートを片付けた。

 チャイムが鳴るまでの十分間、僕はひたすら莉夜に習ったことを思い出していた。

 そして……


キーンコーンカーンコーン


「始めっ!」


 僕にとって、高校生活初のテストが始まった──。

ついに中間テストが始まりました!

学生に、共感できる内容だと思います。

ブクマ、評価、感想等くれると喜びます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ