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5話「エルちゃんを巻き込む」


「でたらめ? 平民の娘孕ましまくってそのたんびにゼンギル卿に泣きついて尻を拭かせているとか」

「……その語彙はどこで覚えたんだ?」

「貴族の嗜み?」

「女は怖いな……」


 ブルブルと何かを思い出したのかエルドアが割とガチで震えている。

 ふむ、さては何かトラウマがあるな? 脳内にメモしとこ。


「それも全部嘘だ。そもそも親父が俺の為にそんな事をする訳がない。そうやってワシが面倒みてやってるアピールだよアイツの。ここの家庭教師だってそうだ。俺は、嫌だって言ったのに……あ、いやすまん、今のは聞かなかったことにしてくれ」


 吐き捨てるように言っていたエルドアが頭を下げた。ふむ、親子関係にも色々ありそうだ。

 あーそういう陰があるとこが……いかんいかん。


「だけど、火のないところに煙は立たないと思うけど」

「面白い表現だな。火のないところね、確かにそうだ。そこで話が戻るのだが、まあ俺が王都のしかも平民のいる下町に良く行っているのは本当だ」

「恋人がいると」


 ああ、さようなら私の初恋。冗談だけど。


「すぐにそういうとこに繋げるから女子は苦手なんだよ……そうじゃねえ」

「そうじゃない? だけど大貴族のしかも、かのゼンギル家の次男様がわざわざ下町に? あ〜れれ〜? おかしいぞ〜?」

「お前、絶妙に相手を腹立たせる演技上手いよな?」


 エルドアが笑いながら私の頭を拳でぐりぐりと押さえ付けた。

 目が笑ってないんですけど!


「痛い痛い! 児童虐待! ロリコン!」

「ろりこん? 時々よく分からん言葉を使う奴だ。あれか、竜言語か?」

「ううう……いじめる人には教えない!」


 私が拗ねたフリしてぷいっとそっぽを向いた。ちなみに竜言語とは、魔術で使う言葉でその名の通り竜が使う言葉と言われている。まあもう竜なんてとっくの昔にいなくなったんだけどね。


 ……いやまだいるんだった。そうか……あいつとも会わないといけないのか……


「拗ねたり落ち込んだり忙しい奴だな。それで、なんで王都に行きたいんだ?」

「っ! なぜそれを!」


 あれ、私、王都にこっそり行きたいって伝えてないよね?


「分かるだろそれぐらい。んで、そっちの理由は? 一応俺もお前の身を一時的とはいえ預かっている立場だ。無条件に連れ出す訳にはいかん」


 んー薄々気付いてはいたけど、エルドアは恐ろしく察しのいい男だ。母も割とそういうところあるし、剣士にはそういう勘が養われるのかな?


 さて、理由か。正直に言っても理解してくれるとは思えない。

 牢獄にいる老人と少年に会いたいと言っても意味分からないだろうし。


「えっと、行った事がないので、色々と興味が……」

「目線が泳いでいる。呼吸が荒くなった。嘘を付くな馬鹿。いいから言ってみろ。誰にも言わん」


 ぽかりと私の頭を優しく叩いてそう見つめてくるエルドア。

 その目線に宿る真摯さを、私は信じる事にした。


「えっと……王都地下牢獄に会いたい人がいて」

「はあ!? お前な、そこがどういうとこか知っているのか?」

「そりゃあもう。マップも頭に叩き込んである。目を閉じてでも歩ける」

「……はあ……お前……ほんと変な奴だな……」


 呆れた様子でエルドアがため息を付いた。ため息の多い男だ。


「……良いだろう。連れていってやる。ただし、絶対に行ける保証はないぞ? それと絶対に俺の言うことを聞く事。俺から離れない事。これを守れるか?」

「やった! エルちゃん好き!」


 私は思わずエルドアに抱き付いた。


 案外、がっちりとしている身体に、少しだけ安心感を得る。


 よし、だいぶ予定が変わったけど、これでイベントをこなせそうだ!

 まあ不安は多少あるのだけど。私はエルドアの戸惑う顔を見上げながら、これはこれで悪くないかと思う。


「じゃあ今夜早速行くわよエルちゃん!」

「行けるか! 導火線の短い花火かお前は! 準備と手回しがいるから、しばらく待て」

「はーい」


 こうして、私とエルドアによる地下牢獄潜入ミッションが始まった。


【特に知らなくても問題ない設定やアレコレ】

竜言語について。後々本文でも出てきますが、ここでさらりと説明しておきます。

この世界における魔術とはそもそもなんぞやと言う話ですが、世界の理を変える術という認識で大丈夫です。

ではどうやってそれを行使するのかというと、魔力という不思議な力で世界の理へ変異する指示式を出すことです。

その指示式を組み立てる為の言語が竜言語です。

もっと雑に言い換えると、世界の理=パソコン、魔術=プログラム、竜言語=プログラミング言語(作者ITに弱いので正確には違っているかもしれませんが雰囲気は伝われ!)

詠唱は、人の言葉を竜言語に翻訳してる作業なので必須なのですが、そもそも竜言語が使える魔術師はその手間が必要ないので魔術の発言スピード、精度が段違いだとか。

本文での出来事は現実で言えば会話途中でいきなり機械語喋り始めるようなもんです。そりゃエルちゃんもびっくりしますね。まあ結局勘違いなのですが……。


応援ありがとうございます!



【同じ世界の違う大陸ではこんな事が起きてます!】


なろうで同時連載中の異世界転移ハイファンタジー作品、

【サキュバス村の色魔王 〜煩悩まみれの俺、性欲を魔力へと変える力とスキル【賢者タイム】で無双してたら魔王扱いされたのでちょっと異世界征服してくる〜】

https://ncode.syosetu.com/n1445ge

良ければ是非読んで見てください♪

同時進行なので作中でリンクする可能性も?

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