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1話「ルーチェ・クロイツは諦めない」

新連載です☆


不遇系悪役令嬢が幻のハッピーエンドを目指して頑張る物語です。

攻略対象とイチャイチャしつつ腐敗した国家をぶっ壊ーす!


「ルーチェ様! 今日も美しいわ……」

「あれが噂の【鮮血令嬢(ブラッド・レディ)】?」

「例のあの豚貴族の領地を丸ごと奪ったらしいわよ。それに帝国の侵略も防いだとか」

「見て! お隣の殿方は……騎士団長のエルドア様! ああ、あんな素敵な殿方を侍らせるなんて羨ましい……」

「本命は、ビルゼン商会の若旦那って噂よ?」

「そうなの? なんでも竜族の王と婚約を結んだとか。帝国の皇子とも交流あるらしいし……召使いのハーフエルフ君も可愛いなあ……」


 王宮内で私が歩くたびにひそひそと、もしくは堂々と皆が私について噂した。


 気にせず歩く私に、無精髭と青い長髪がトレードマークの騎士団長がからかうように話しかけてくる。


「相変わらず人気者だな」

「まあね〜。あっ、あの廊下の窓から多分毒矢が飛んでくるので、エルちゃんよろしくね」

「そっちの人気も相変わらずか……任せとけ。あとエルちゃんは止めろ」

「僕もルーチェ様を守ります!」


 私を守ろうと窓側を歩くのは、緑髪に緑の瞳そして何より耳が細長く尖った中性的な少年。気合い十分と行った感じで、持っている盾を掲げて窓を親の敵のように睨んでいる。

 

 そんな二人に挟まれて、悠々と歩く私の姿が廊下の鏡に映る。


 鏡に映っているのは、真っ赤なドレスを着たまごうこと無き美女だった。

 その顔には、命を狙われている者とは思えない自信に満ちあふれた表情が浮かんでいた。


 光の当たり具合によっては深緑に見える黒髪。意志の強そうな眉の下に、茶色の瞳。可憐な唇は桜色で、紅を付けずともみずみずしく輝いている。


 全体的に華奢な身体も、女性らしい丸みを帯びていて、胸もお尻も順調に育った。

 ふふん、やはり栄養バランスと適度な運動がキモだったね。


「さて、私を暗殺しようと企むのにも飽きられた頃合いでしょうし……そろそろあの老王(おいぼれ)にも引導を渡してあげましょうか」

「おお怖い怖い……」


 私の名はルーチェ・クロイツ。


 牢獄で死にかけたり、婚約者に暗殺されかけたり、国家反逆罪で処刑されそうになったりと、死亡フラグと破滅フラグに愛され、それでもなお生き続ける——悪役令嬢だ。


☆☆☆


 私が前世の記憶を思い出したのは10歳の時だった。


 私の家……クロイツ家は代々王に仕える王宮魔術師の家系だ。

 貴族としての血筋は弱いが、類いまれなる魔術の素質が有るおかげで、貴族達の間でもそれなりに発言力はある。


 父はこの国、ミールディアの王に仕える王宮魔術師で、母は元冒険者で若い頃は実力派クランに所属していてブイブイ言わせてたとか。


 そんな二人の元に長女として産まれた私は、幼い頃から魔法や魔術書が身近にあった。


 そして私は、なぜか()()()()私の自室にあった禁術書を興味本位で開いてしまい、呪われた。


 その禁術書には、使えば国を傾けるほどの魔術が記されている一方で、本を開けるだけで魂が逆行するという呪いが込められていた。


 魂の逆行。それはこれまで生きてきた時を巻き戻し、ゼロにする——つまりこの世に生まれたという事実がなくなるので、実質的に死と同義なのだ。


 読めど、使えず。故に禁術書。


 私は大量の禁術の知識が頭に流れてくる一方で、死を感じた。


 世界が黒く濁っていき、私は死んだ。そう——()()()()()()()()()()()()


 記憶がぐちゃぐちゃに入り交じる。ミールディア……日本……王宮魔術師……社畜……私……あたし……。


 私の魂がゼロまで逆行し、私の存在は消えた。しかし消えた瞬間に別の魂が私の代わりとなり、記憶が蘇る。


 ……()()()は、21世紀後半の日本で生まれ、そして育った女性だった。大学時代に乙女ゲームに嵌まり、アラサーの時に出会ったのが人気VR乙女ゲー【ラブ☆ビルドファンタジー】だ。


 10人のヒロインがいて、皆が同じ学校に通う学園パートと卒業後の政争パートの二つがあり、女王になればゲームエンドとなる。


 そしてどのヒロインを選んでも、必ず悪役として立ちはだかるのが悪役令嬢、ルーチェ・クロイツだった。


 しかしネットでは彼女について、


『死因の種類が全キャラの中で一番多い。女王エンドがない唯一のキャラで、どのルートを行っても破滅エンドしかない。死亡フラグが雨後の筍のように建つので、回避方法を全て暗記しないとそもそもラストまで生き残れない』


 こう書かれており、ダントツで不人気ナンバーワンのキャラだった。


 私はそれが悔しかった。なぜなら、ルーチェがどことなくあたしに似ていたからだ。唯一あたしが自分自身で誇れる部分である黒髪と茶色の瞳。顔のパーツは全然違うのに、妙にあたしはルーチェに自己を投影したのだ。


 だから……自分が小馬鹿にされているようで、腹が立った。


 だからあたしはそれこそルーチェの全てのルート、エンディングを見れるまでにこのゲームをやり込んだ。


 そして私は、攻略サイトにも載っていないルーチェの隠しルート、女王エンドの存在を知った。

 しかしその証拠である動画やそのルートを出す方法はいくら探しても見付からなかった。


 ただ、唯一それらしきエンディングの動画を見た時に私は気付いた。これは()()()()()()()()()()()()()()()()()だ、ということに。


 そしてそれをヒントに方法を模索するうちにあっさりと事故で死んだ。日々のゲームと社畜生活による寝不足で注意力散漫だったのもある。


 目の前にプリ〇スが突っ込んできた時は、まあ死んだだろうと思った。でもあたしは生きていた。いや、生きていたのではなく——転生していたのだ……ゲームの世界に。


 こうして10歳にして私、ルーチェ・クロイツは前世の記憶によって自身の暗澹(あんたん)たる未来に絶望——しなかった。


 前世と違って、私はえらくポジティブ思考なのだ。そういえばゲームの時もNPCの時はうざいぐらいポジティブだったっけ。


「こうなった以上は一か八か、女王エンド目指して頑張るしかない!」


 息をするだけで死亡フラグが建ち、歩くだけで破滅フラグが徒党を組んでやってくる未来。

 それでも私は前世の記憶とポジティブさで、それを乗り切る決意をしたのだった。


 あの隠しルートに入るには……おそらくメインヒロインルートをなぞるしかない。

 それはつまり……。


「この国を——ぶっ壊さないとっ!」


 私の生存戦略が——始まる。


【特に知らなくても問題ない設定やアレコレ】

ルーチェさんはめちゃくちゃポジティブで割と天然ちゃんです。性格が良いと言われるより、いい性格してるよなあと言われるタイプ。割と根に持つけど、許す時はあっさり許す。恋愛面では惚れっぽいが深くは踏み込まないし踏み込まれると嫌がる。

前世では巨大商社で営業しており、物を見る目があり、セールス力が高く、わりかし有能だったとか。


この作品タイトル長いので作者は勝手に悪スクと略しています。もっとセンスが良い略称があれば感想にでも投げてください!


というわけで毎日数回は死亡フラグが立ってしまう系悪役令嬢が成り上がる話です!

2話で家族紹介、3話で攻略対象?が登場します!お楽しみに〜


少しでも気に入っていただいたらブクマと広告下の評価をどうぞ!

励みになります! 感想もお気軽に!


【同じ世界の違う大陸ではこんな事が起きてます!】


なろうで同時連載中の異世界転移ハイファンタジー作品、

【サキュバス村の色魔王 〜煩悩まみれの俺、性欲を魔力へと変える力とスキル【賢者タイム】で無双してたら魔王扱いされたのでちょっと異世界征服してくる〜】

https://ncode.syosetu.com/n1445ge

良ければ是非読んで見てください♪

同時進行なので作中でリンクする可能性も?

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