空腹時食べるとなんでも美味しいよね!
今更ながらキャラの外見考えてなかった!とこじつけのように外見を考えて書き出す……。
昼休みの初め図書室に本を返しに来たターゲットを確認し行動を開始した。
「リリア様よろしいですか?」
リリアがコクリと頷いた。
「GOです!」
リリアの背中を軽く押す。
リリアは本棚と本棚の間の狭い通路を曲がり目的の人物に軽くぶつかる。
「あっごめんなさい。」
リリアがおずおずと見上げるとルークはなんでもない顔をしていた。
「いえ、大丈夫です。」
「わたくしダルサスの水路の歴史の本を探しておりまして、上の方にあったと思って上ばかり見ていましたの前方不注意ですわ……。」
「それならもうひとつ先の本棚にありましたが……。」
「まぁ本当ですの?教えて頂いても?」
「あぁ、構わない一緒に探そう。」
シャッ!接触成功!そのまま計画通り。
「あれ?おかしいなたしかにこの辺で見たんだが。私も昨日読んだばかりだから間違うはずないのだが……。」
しばらく探しても見つからない。図書委員に貸し出したか聞いてみても貸し出してはいない。一緒にと言った手前途中で抜け出さないルーク。
「おかしいな……。歴史書はこの棚の筈なのだが。他の棚に混ざっているのか?」
「困りましたわねぇ……。」
無いよね〜だって私達が持ってるもん。ローゼリアと2人が探す様子を見ている。
「そろそろ良さそうですわね。ローゼリア様お願いします。」
「ええ。」
ローゼリアに本を持たせる。
「失礼。」
すれ違いざまに本を渡す。
「あっ!ありましたわ!」
リーンゴーン〜リーンゴーン〜
昼休み終了の予鈴が鳴った。
「まぁこんな時間までもうし訳ございませんわ。」
「いや、私が一緒に探すと言い出したんだ、構わない。」
よし!これでルークは昼食食べ損ねたわね。
放課後には腹ぺこよ!
ルークにお礼を言って戻ってきたリリア。
「お疲れ様ですリリア様。」
「ドキドキしましたわ。」
「本をうまく渡せて良かった。緊張した。」
「お二人共ありがとうございます。後は放課後ですわ。あっこれ休憩時間に召し上がってください。お二人も昼食食べ損ねてしまいましたでしょ?」
手作りのサンドイッチを2人に渡した。
「食堂では見ないサンドイッチだな美味しそうだ。」
「わたくしの手作りで申し訳ありませんがお腹は膨れますわ。」
「まぁリウォンダー様の手作りですの?」
「ええ、わたくしお菓子だけでなく軽食も作りますの。はしたないので内緒ですよ?それから私のことどうぞアリスとお呼びください。これからマリア様に制裁を加える仲間他人行儀では寂しいですわ。」
「ええ、アリスわかったわ。」
「あぁ、アリス。サンドイッチありがとう。」
2人と別れ授業を受けた。
そして放課後……。
今日はイベントが発生する日なのよね。
予定通り進んでいればそろそろ図書室にルークが来るはず。
しゃ!来た!
ルークは窓際少し他の席とは死角になる席でノートを広げ本をめくる。
はぁ〜さすが攻略対象、夕陽が水色の髪を照らしてキラキラして藍色の瞳にを縁どるまつ毛は影を落としお美し顔でまぁ。
おっ、イベント通り居眠りこき始めたな。
図書委員も帰ってそろそろ見回りさんが鍵を締めに来る。
マリアはリリアとローゼリア2人が足止めしてる予定だし。
「お待ち下さい!まだ話は終わっていませんわ!」
「私用事があって急いでるの!」
「とにかくわたくし達の話を」
「明日聞きます今日は大切なイベントなんです!」
廊下から話し声が聞こえると思ったらくそ女とローゼリア、リリアじゃないですか!あやつら足止め失敗してる〜
くっそ!こうなったら。
ドアノブに椅子を引っ掛けドアを開かないようにする。
ガチャガチャ
「開かないわ……。そんな。」
「図書室に何の用ですの?今日はもうしまったようですけど!」
「あなた達のせいで大切な用事が台無しよ!それで話って何なのよ!」
「いえ、もういいですわ!」
「はぁ?その程度の事で私の大切な用事を潰してくれたの?どう責任取ってくれるのよ!」
「とっ図書室に行くことが大切な用事とは思えませんわ失礼!」
なんやあの女本当に攻略対象以外には当たりきついな。
威嚇されてローゼリアとリリア逃げてしまったじゃないか。
ガン!
おっ扉蹴りよったぞバカ女あぁ、帰っていく。
しばらくして見回りの人が鍵をかけた。
さてルークさんと二人っきりだぜ!
図書室に閉じ込められるイベントやで!
薄暗く月が昇る頃ルークは目を覚ました。
目覚めた場所が図書室で驚く。
扉ににむかい開けようとするが鍵がかかっていて開かない。
「鍵がかかってるからこっち側からは開かないわ。」
凛とした声が図書室に響く。
「どうやら私達居眠りしてるあいだに閉じ込められてしまったみたい。姉弟揃って閉じ込められるなんて間抜けな話よね。」
まぁ私がわざとその状況を作ったんだがな!
テラスのへりに座るアリス。
月の光を受けて輝くすみれ色の髪と瞳。細身の身体は少し明るい月明かりがその線の細さをくっきりと映し出し華奢な体躯が良くわかる。
テラスのヘリギリギリ落ちてしまうのでは無いかと危なげな位置に座って居るのに、月明かりに照らされるアリスはまるで花の茎に座る妖精のように幻想的で愛らしい。
「姉様……。何故ここに?」
「貴方と同じよ、図書室で本を読んでいたらウトウトしてしまって気がついらたらこのざまよ。」
「そうです……。」
ク〜っ
小さくルークのお腹が鳴った。
よっしゃ期待通り!
アリスはポケットからクッキーを取り出しルークに投げる。
咄嗟に受け取るルーク。
「お腹減ってるんでしょ?お食べなさい。」
「ありがとうございます……。」
しぶしぶと言った様にクッキーを食べるルーク。
「この味!!」
それは懐かしい味だった。
マリアの作ってくるお菓子もどこか懐かしい味がして好きだったがこれはまさに求めていた味そのものだった。
「姉様このクッキーどこで!?」
「あら?私が作るクッキーの事忘れてしまった?まぁもう随分作っていませんでしたからね。」
「姉様が作った……。」
懐かしい味!そうなのであるゲームの中でマリアがルークに差し入れすると手に入るCGの中のセリフで『懐かしい味がする。優しくてあったかい味。マリアの作るお菓子は不思議だ、私の心を癒してくれる。』と言う。懐かしいのも当たり前だルークが公爵家に来て勉強などで疲れている時寂しそうな時叱られて泣いている時等にこっそり私がクッキーを焼いて励ましていたのだ。このクッキーレシピが簡単すぎて子供の頃作ったものだから味も他のものに比べて劣る。空腹は最高のスパイス。
「無理もないわね貴方は私が励まさなくても立派になった。子供の拙いクッキーなんて必要に無いくらい。……でも時々作ってしまうの。貴方が無理をしてるのを知っていて。……渡せないクッキーを……。」
「……思い出した。姉様はいつも私が辛い時クッキーを焼いて笑ってくれた。大丈夫だよって……。でもなぜマリアの作るお菓子がこの味を?」
「さぁ?……あっ、わたくしレシピノートを無くしたのそしたらノートは帰ってこなくて代わりにこんなお菓子が作りたいですレシピの精霊さんって手紙がレシピノートを忘れた場所においてあるの、それに応えてレシピは書いていたわね。」
「レシピの精霊さん……本当に居たのか。そして姉様だったのか……。……姉様」
「ねぇルーク私が憎い?」
「えっ?」
「最近の貴方のわたくしを見る目はまるで親の仇でも見る様。なぜ?」
「なぜ?それは貴女が一番分かってるはずだ!」
「マリア様をいじめたって言う噂?」
「噂も何も私は怯えるマリアから相談も受けている!」
「そう、ルークは私よりもマリア様を選ぶのよね……。ねぇルーク知ってる貴方達が今なんて呼ばれてるか……。」
「さぁ?」
「マリア様のハーレム達よ……。」
「なっ!」
薄々そう呼ばれていることは知っていた。でも気にしなかった。だが面と向かって言われると心がモヤッとした。
「マリア様は女性のお友達も作らず貴方達といつも一緒。貴方達の気持ちをそばに居て気づかないはずないのに。降るわけでもなく答えるわけでもなくそばに居る。それって残酷ね……。」
「そんな!マリアはそんなつもりありません!」
「そう、ねぇそれじゃぁ聞くけど私からはそう見える貴方達の事をマリア様に注意してそして怖がられる、それをいじめと言うのかしら?可愛い義弟が周りにそんな風に言われて姉として……貴方を慕う者としてどんな気持ちか……。わたくしの貴方へのこの思いは伝えることも出来ないのに、手に入る位置にいるのにまるで気づかない振りをしているかと思うほどに近くに居る。それって許せる?」
悲しそうに俯くアリス。
「私を慕う……、姉様が?」
「エドワルド様との婚約がなければ貴方との未来もあったのでしょうね……。でもエドワルド様との婚約があったから貴方と出会えた……。皮肉なものね……。」
ルーク知ってるぞ設定資料集で昔お菓子をくれた人が初恋って。つまり私やろ?
初恋つまり好みの人がこういってるんやで?どう出る?
「姉様、マリアとエドワルド様が婚約したら姉様は自由、その、私との未来も有るのでしょうか……」
おっ、初恋を思い出しましたね、顔が赤いよルークさん。ちょろい。それにしてもこのゲーム作った人色々言いたい。アリス影で使いすぎやろ?レシピの精霊さんに初恋の人にそれなのに最後に修道院行きって酷すぎる。
「分からないわ。」
「姉様……いえ、アリス……。」
「……こんな所に二人きり夜を共にしたらいかに姉弟でも噂になってしまうわね。」
「私は噂になっても……」
「貴方はマリア様がお好きなんでしょ?そして私が憎い。ねぇ憎いなら私の肩をそっと押すだけで貴方のマリアは救われるわよ?」
「えっ?」
「わたくしがいなくなって貴女が喜ぶのならそれもいいかもしれないわね。」
アリスの身体が後ろに傾く。
そしてそのままテラスの外へと落ちて行った。
「アリス!!!!」
読んで下さりありがとうございます!