お菓子くてたまらん
お腹が減りました。
次はオスカー〜。涙は使い回しやさっきと同じ要領で〜。
オスカーは鍛錬場に行く時にエドワルドとマリアの密会を目撃する〜
あっ、居た居た！
ッシャ！行くぞ！
バダン！
オスカーとぶつかった。
「申し訳ございませんわ！」
涙をチラつかせながら立ち去ろうとするアリス。
その手をオスカーはつい掴んでしまう。
「なんですの！わたくしは謝りましたわ！離してくださいまっし！」
手を振り払う。
「泣いてる女を放ってける訳ないだろ！」
「離して下さいませ！貴方には関係有りませんわ！」
チラリとエドワルドたちの方を見た。
そしてオスカーの手を振りほどき走り去った。
それをオスカーはただ見つめていた。
オスカーはマリアとエドワルド事を目の端にとらえながら演習場へと向かった。
先程の泣いていた令嬢が気にかかる。
ご令嬢はすぐに泣きつくのに彼女は自分の手を振り払った。
悲しみを孕みながらも気高く泣く姿を見せまいとする強い姿。
彼女とはすぐに会えた。
演習場の端に座り泣きながらお菓子を食べていた。
その足元には先程まで振られていたであろう木剣が置いてある。
「お嬢ちゃん、こんな所で泣いてないで俺に話しをしてみたら？」
自然とそんな言葉が出た。
「また貴方ですの？放っておいて下さいませ！」
目元を隠す。
ご令嬢の持っていたバスケットの中から手作りであろう菓子を取り出し口に放り込む。
その菓子は食べた事のある味だった。
マリアが良く作ってくる菓子と味がそっくりだった。
だがその菓子は今までマリアが今まで持ってきた物ではなく新しいものでオスカー好みの味だった。
「お前この菓子どうしたんだよ？」
「勝手に食べないでくださいまっし！」
オスカーから菓子を奪いバスケットに放り込む。
「お前その菓子どこで手に入れた！」
「手に入れたも何も私が作ったお菓子を私が持っていて何か不都合でもありますの？」
「不都合も何も……これは誰に教わった！？」
「教わって居ませんわ！レシピの精霊さんなどと呼ばれて馬鹿らしく紙に好み通りのレシピを書いてカフェテラスに置いておくことはありますけど……。」
「レシピの精霊さん……本当に居たのか、そして君だったのか……。」
そうなのであるレシピの精霊さん。それはマリアが攻略対象達に振る舞うお菓子のレシピを教えてくれる手紙である。
ゲーム内だと誰々好みのお菓子をと書いておくとレシピが貰えてお菓子を作れるようになるがあれ実は私がやっていたのである。
マリアが使ってるとは知らずに！
私の趣味はお菓子作りである。
だが公爵令嬢という手前お菓子作りなど趣味としては外れている。なのでこっそり作っていた。
ある日私はカフェテラスでレシピノートを忘れ取りに行くと無くなっていた。
そして次に行くとレシピの精霊さんこんなお菓子が作りたいですという要望が書かれた紙が置かれていた。
私はマリアに使われていると知らず。
自分の埋もれているレシピが誰かの口に入っているという喜びからレシピの精霊さんとしてお菓子のレシピを提供していた。
つくずくあの女ひでぇわよく考えると盗作した菓子のレシピで男共落としてるんだよ？
菓子でだいぶ好感度上がるんだよ？
マジで絶許。
「お菓子の事誰にも言わないで下さいませ！貴族の令嬢がはしたないと笑われますわ！」
「はしたないなんてこのお菓子とっても美味しいよ……。そうか、今までのお菓子も……。」
「ブツブツうるさいですわ！」
木剣でオスカーに殴りかかった。
油断してるオスカーの横を木剣が掠める。
アリスはもう一本の木剣をオスカーに投げるとオスカーは受け取った。
それを合図にアリスはうちこんだ。
前世剣道をやっていた経験でオスカーを押す。
オスカーは訳が分からないが剣を受ける。
「私の恥ずかしい姿ばかり見て！貴方なんてぶん殴ってやりますわ！」
「俺に1発入れる？面白いこと言うじゃねぇか！」
暫くアリスの息が切れるまで撃ち合いは続いた。
「今日は勘弁して差し上げますわ！さようなら！」
乱れた息を整えるとバスケットを置いたままアリスは鍛錬場を後にした。
「おもしれぇご令嬢だ。」
自分の惚れたマリアより気が強くてでも恥ずかしがり屋で負けず嫌い。
そして今まで作ってくれたお菓子は彼女の物。
気づけばオスカーはマリアよりも名も知らぬおかしな令嬢の事が気になっているのであった。
疲れた！でもこれでオスカー初対面イベと差し入れイベやったわね。初対面イベはマリアよりも効果的に気が強くてでも涙を見せたから強いけれど弱い一緒に戦いたい系女子になれたわね。
そしてお菓子の事もこれからのいい取引材料だ。
マリアからのお菓子は全てアリスからだと分からしてやった。
これは次にリアンにもやろう手作り菓子を添えて暴露や！
待ってろよクソハーレム要因共！
読んで下さりありがとうございます
