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36.平和な1日……になるわけないんだよなぁ

翌日、ここ数日 (ハルトにとっては)ちょっと、いや、かなり辛いエロフプレスから【ショートワープ】で抜け出し、顔を洗いに行く。

(ほんと、あの感触は精神年齢が高校生な俺にとって毒でしかねぇよ…まあ、気持ちいいし、楽しんでる自分がいるから強く拒否できないんだけどさ…でも毎朝窒息死しそうになるのは勘弁して欲しい)

と、思いながら朝の支度を済ませ食堂に降りていった。いつもならハルトよりも早く起きているはずの詩織も起きていないことから昨日のことで余程消耗したらしい。

「今日は誰も起きてないし、1人で動けるかな…」

ハルトはそう言ったが、昨日の出来事を思い出しやめることにした。

1人で朝食を済ませて部屋に戻ると…5人はまだ寝ていた。あまりにも暇だったので適当に木材を取り出して、遊具を作り始めた。もちろん、そこまで複雑なものは出来ないので定番のオセロにした。

「うーん、丸く切るのって難しいな…」

2時間ほどかけて10数個目を削り終えた辺りでみんなが起き始めた。

「んぅ、ハルトしゃんおはようごじゃいましゅ」

1番最初に起きたのはやはり詩織だった。ただ、まだ完全に目が覚めていないからか呂律が回っていない。なんというか、普段キッチリしてる感じがあるので新鮮だ。と思っていたら他のみんなも起き始めた。宿での朝食の時間は終わっているので、空腹で機嫌があまりよろしくない5人を連れてギルドへ向かった。途中にサンドウィッチを売っている屋台があったので、それを買って食べさせた。

ギルドに入ると、すぐにギルドマスターの部屋に案内され、報酬を渡された。

「まだハルトが冒険者じゃねぇし、討伐依頼もあったわけじゃないから純粋にオークの素材分の金額になるけど、問題ねぇな?」

「えぇ、問題ありません。それに、そうなるだろうなとは思っていたので」

「そりゃよかった。じゃあ、これが報酬、というか、売却値分の金だ。また討伐とかしたら持ってきてくれよ!」

「えぇ、ありがとうございます」

そう言ってハルトは中身も確認せずにアイテムカードの中にしまった。

「おいおい、それは人を疑わなさすぎじゃねぇか?騙されてる可能性もあるんだぞ?」

そのことに驚き、アルドーヴァは忠告したがハルトは

「冒険者ギルドで代金をちょろまかしているのは大問題だと思いますけど?それに、僕はアルドーヴァさんのことを信頼してますので」

と言った。

「はははは!!言ってくれるじゃねぇか!まあ、俺の目が黒い限りは不正なんざさせねぇさ。だがな、ボウズ、世の中にゃギルドマスターって地位を使って悪いことしてる輩が居ないわけじゃねぇからな」

「ご忠告、ありがとうございます。肝に命じておきます」


ハルトが去った後、アルドーヴァは

「おもしれぇガキだったな…にしてもありゃ近いうちになんかやらかしそうだな…」

と一人(つぶや)いた。





ギルドを出てハルトはしばらく考えたあと服屋に行ってみることにした。

さすがに今のボロボロの状態の服のままというのは都会だと目立つらしく、周りの目が怖いんだよな…

実際は奴隷の首輪が着いていたのならそこまで視線を気にしなくてもよかったのだが、奴隷の首輪を付けていないのにボロボロの状態の服というのは違和感を覚えたので見られていると言うだけなのだが…

<hr>

時は少し遡り、ハルトがまだ王国内でひたすら【ショートワープ】を使って移動している頃…

「なんでっ!」

ドンッ!

「いつもっ!」

バンッ!

「わたくしをっ!」

バキッ!

「おいてっ!」

メキッ!

「どこかへ行くんですのっ?!」

ドォンッ!

…シストリナは激おこだった。まだ、6歳で力も弱く、さらに、女の子なので、ぬいぐるみに当たっていた。

「姫様!おやめ下さい!いくらお怒りでも人形に当たらないでください!」

メイド達も乱暴になるシストリナを見てそれを止めに入った。この行き場のない怒りを人形にぶつけていたシストリナはメイド達に止められて

「じゃあこの怒りをどこにぶつければいいんですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!!」

と叫んだのであった。

<hr>

街に繰り出してから思ったんだけど、ギルドでおすすめの婦人服店聞いとけばよかった…

ギルドを出たとしても店の場所を知らなかったのでかなりの時間を費やしてしまった。そして、ようやく見つけた店で、あーでもないこーでもないと服選びにも時間をかけ…服選びを終わらせたのは店に入ってから3時間ほどあとだった。

「…お腹空いた」

チラッ

「空きましたね…」

チラッ

「そうね」

チラッ

「…」

チラッ

「というわけで〜お昼ご飯買ってください〜」

お昼時を過ぎているためか、飲食店に入っても混んでいなかった。ちなみに、服のおかげで持ってきていたお金とオークを売却したお金を合わせてギリギリだったため、懐に余裕が無い。

「夜まで我慢して…あ、そう言えば…さ迷ってる間に見つけた広場に行きましょう」

そう、ハルトにはお金が無くても大丈夫なように(というか、旅で楽をするために)【アイテムカード】の中に料理を沢山入れていたのである。一行は、広場でシートを敷き昼食を済ませた。あとはやることも無いのでまた、帝都内をブラブラしようと片付けていたのだが…

「キャァッ?!」

「ッ?!」

「んっ?!」

「っ?!」

「?!」

「おっと、危ない」

突然、背後から何者かに襲われた。白昼堂々の犯行である。ハルトだけがその奇襲を逃れ、逆に襲撃者の手を掴み投げ飛ばしていた。

「ガハッ!」

「さて、5人は……いた」

連れ去られた5人を見つけると直ぐに【ショートワープ】を使い、襲撃者の前に現れる。

「なッ?!」

あまりにも常識外すぎて驚きの声が出た。次の瞬間には襲撃者達の意識は闇の中だった。

誰かが通報したのか、兵士達が駆け寄ってきた。

「一体なんの騒ぎだ!」

ハルトは少し怒りの篭もった声で、

「この人達に襲われたんですよ。あ、そこの広場にももう1人います」

と言った。とりあえず午後のお散歩は取りやめとなった

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