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14.異世界人

という訳で、謁見の間から今は会議室に移動し、王様、第三王女様、俺の家族のみがいる。ウェイルさんとエスタノールさんは迷ったがやめておいた。口は硬いんだろうけど…はぁ、こんなにも早く話す時が来るなんてなぁ。

「それでは、これでいいかな?」

「はい、でもひとつ魔法を使わせてもらいます。自分の秘密を話すのでね」

「よかろう、ベルマーレの子供じゃしわしを殺そうとはせんだろう」

「ありがとうございます。それでは、【サイレント】」

ハルトが魔法を行使すると部屋に半透明の薄い幕が広がる。

「それでは、始めましょうか」

にこやかにハルトは言ったつもりだったが、王様たちは唖然としていた。

「な、なんだ、今の魔法は?」

「ハルト、いつの間にそんな魔法を覚えた?」

「今から話す内容はかなり(自分にとっては)重要なので音を漏らさないための魔法を貼らせていただきました。今度こそ始めましょうか」

さて、みんなはどう反応するだろうか?怖がって俺を遠ざけるだろうか?まあ、王女様だけはない気がするが…だって目をキラキラさせながら早く話せと言わんばかりに身を乗り出してるんだぞ…王女様、それでいいのか…

「まず最初に、僕は、いや、俺は転生者だ」

ハルトがいつもと違った喋り方をしたことに、家族は驚いた表情をする。

「な、なんだと?!全くそういう素振りは見せて居ないだろう?!」

「そうそう、喋り方はこっちの方で行かせてもらうよ。あと勘違いしないで欲しいのは俺がこの世界の人間じゃないってことさ。そうでしょう?シストリナ様「リナでよろしくてよ」リナ様」

俺が、話をふるとリナ様は生き生きとしながら語り出した。

「はい、わたくしが魔眼で魂の記憶を読み取りましたら空へ続くぐらい高い全面ガラス貼りの高い建物、馬車よりも早く移動する何か、生物ではなく空を飛ぶなにか、その他にも沢山見たことがないものがありましたわ。ふふふふふふ研究のしがいがありますわ!!」

あ、リナ様が暴走し始めた。まあ、放置しとくか。

「ま、まあ、そういう訳だ。俺が死ぬ前にいたのは地球と呼ばれる星で、その世界に魔力は存在していない。いや、正確には認識されていないだけかもしれないがな」

「そ、そんな世界が…」

そう呟いたのはお父様だった。さっきからお兄様達は話について来れてないのか目を白黒させている。妹は…よく分からん。まあ、まだ3歳だしついていけなくても仕方はないだろう。正直、大人となぜかリナ様だけだ。いや、リナ様は未知のものが好きなだけなのかもしれない。

「しかし、そんな世界でどう生きていくというのだね」

今度は王様がいった。

「その世界に魔物も居ない。"魔法"とは別の"科学"が発達しているからこっちよりも暮らしは快適だ」

「科学、わたくしの知らないことが沢山!!これはぜひ知りたいですわ!」

「リナ様が暴走しかけているんですが?」

「気にせんでよいリナは未知のものを既知にしたがるのでな…そうだ、これからその相手をしてくれんか?」

え、とてつもなくめんどくさそうなんですけども?!ってかさっきからお母様が何も喋ってねぇし。どうしたんだろ?

「え、遠慮できるならぜひ遠慮した…「ハルト様?わたくしに色々と教えてくれませんの?」…」

ぐっ、なぜかリナ様に逆らえない…

「…遠慮したいです。まあ、この話は一旦置いておきましょう」

「ハルト、さっきから口調がグチャグチャですよ?」

お母様?!今すっごい関係ないこと言ってない?!やっぱ抜けてるよね?!

「まあ、あの話は一旦置いといて、俺はその世界で15年ぐらい生きて事故で死んだ。そしたら、神様に転生させられて今に至るってわけだ。これで説明終了!」

「そ、そうであったか。それでだな、リナの事なんだが…」

「国王、王命とすればハルトは背きませんよ。私の息子はそういうものです」

お父様?!それはちょっとやめて…

「ふむ、そうかそうか。ではフレア王国、国王レスティア=フレアが、アルフォード辺境伯爵家3男ハルト=アルフォードに命じる。汝は我が娘の好奇心を満たすための新たなおも、世話係として住み込みで働くように」

ぬぉい!!!ちょっと待てぃ!!今新たなおもちゃって言おうとして言い直したよな?!どうなってんだよ?!

「いやで…(リナ様のキラキラした目)…断れねぇよちくしょう!!」

ああ、引き受けてしまった…もう嫌な予感しかしない…

「そうかそうか、受けてくれるか」

「はっはっは、だから言っただろう」

「あらあら、ハルトちゃんもいなくなっちゃうなんて寂しくなるわねぇ」

「ハルトがもう、王城に…だと?!」

「…しかも、王女様の傍に…」

「?」

上からお父様、お母様、サカキお兄様、トーリお兄様、エレナである。

「だが、そうするとハルトの訓練ができなくなってしまうんだが?」

「む?そうであったか。では1週間の内の4日ということにしておこう」

何勝手に決めてんだ。

「それでしたら当人に聞いてみてはどうでしょう」

リナ様、そこでふってくるなぁ?!

「そうですね、そこは大人に丸投げで」

「「おい」」

よっし、逃げよ。【ロングワープ】あ、お母様たち置いてきちゃダメだった。っち、戻るしかないか。

ぶすぅ。

あ、リナ様がへそ曲げてる明らかにわかる雰囲気だし。

「あらあら、ハルトちゃん、ダメじゃない女の子を置いていくなんて」

えぇ…説明あんまできないんだけど…

「ハルト様?いろいろと教えていただきますわよ?」

うでを掴まれてしまった…

「とりあえずお母様とエレナを送らせてください」

「離しませんわよ?」

「いえ、しかし…「は・な・し・ま・せ・ん・わ・よ?」…はい」

こうして、王女様のお話相手にされたのだった。

つか、この世界って婚約前の男女がこんなことやっちゃダメだったんじゃ?



<hr>

【サイレント】

音を遮断できる。薄い幕は二重になっている。中は真空にしているため音が伝わらない。

3話を少し修正しました。

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