第十六玩 『仕向けられたもの』
カラスのジョイーと共に、雪女を助けるために『猛渤草』を探すエロオタ。そして鎌倉では咳に苦しむ雪女を介抱していた【無意加舞】は、実は雪女の古き友人である【朝倉柚子乃】であった。だが柚子乃はずっと昔に雪紀と別れたはずだったが、柚子乃の体は昔と全く変わっていなかった。シリアス展開第二話のはじまりはじまり~(下ネタ有り)
カラスの【ジョイー】の案内の元、【エロオタ】は雪女の病を抑える『猛渤草』という草を求めて、雪山の中を随分と歩きました。厚い雪の層が地上を純白の綿で埋め尽くし、地面を踏むと、膝から下が雪の中に埋没してしまいます。その中では走ることもままならず、エロオタは少しでも早く進もうとするのですが、中々思うように前に進むことができません。
「ぜえ・・ぜえ・・・足の感覚がない・・・まるで石じゃないか・・」
エロオタは自分が地蔵から生まれたことも忘れ、愚痴を零しながらも必死にジョイーを追いかけます。ジョイーは背後から追ってくるエロオタを、時折チラチラ振り返っては、向き直って飛んでいました。そしてふと眉を顰めると、小さな声で言いました。
「なんでまあ、こんなに必死になるのかねえ・・あの小娘の何がいいのやら」
「聞こえてるぞー」
「ぎぇええ!」
エロオタの鋭い返しにジョイーは、羽を大きくばたつかせながら、エロオタから逃げる
ように、更に遠くへ飛び去って行きました。
「おい!・・・・・・・・・もう見えない」
右も左も同じ雪景色。何時まで経っても戻ってこないジョイーにエロオタは、すっかり途方にくれました。驚かさなければよかったと後悔しても、後の祭り。ジョイーという唯一の案内役を失ったエロオタは、一人で『猛渤草』というどこに生えているかもわからない草を探すことになりました。
その頃、鎌倉には病で苦しむ【雪紀】を、【朝倉柚子乃】が膝枕をして介抱していました。ところが柚子乃の雪紀を見る目は、愛おしいさとは少し違うようです。
「雪紀ちゃんって言うんだ・・・あの人から付けてもらったのかなあ」
“あの人”、それはもちろんエロオタ少年です。そして柚子乃はキュッと唇を噛み締めると、激しい咳を続ける雪紀に向かって、こう問いかけました。
「結構気に入ってるんだね。雪紀」
そう言うと柚子乃は左手を上げ、パチンっと指を鳴らしました。途端、ザっと鎌倉の入口の前に、大人の村人五人が横に並んで現れました。手には太い木の棒を持ち、黒ずんだ瞳には恐ろしいほど深い雪紀への恨みが籠っています。彼らは柚子乃によって連れてこられた村人です。そして・・
「今のあなたは好きじゃないの。元の一人でゲームを楽しむ雪女に戻らなきゃ―」
柚子乃の二度目の指が鳴った時、五人の村人は雪紀の周りを取り囲みました。村人は無言のまま、木を持つ手を震わして、じっと柚子乃の命令を待っています。柚子乃は雪紀を残したままスッと立ち上がると、雪紀と村人を残して鎌倉を後にしました。
柚子乃は去り際、村人にこう告げました。
「後はお願い。雪紀を元の可愛い雪女に戻してね?」
五人の村人は柚子乃に対し、何の返答もありませんでした。ですが柚子乃の命令には従うようで、木の棒を振り上げると、苦しみ続ける雪紀に向かって躊躇なく振り下ろしました。
「あぅ!」
雪紀の小さな悲鳴は、村人の耳には一切聴こえることはありません。もし聴こえたとしても、それはこの村人にとってはこの上なく嬉しいものなのです。
「雪紀ちゃん!」
エロオタは直感で、すぐ後ろを振り返りました。ですが雪紀の鎌倉とエロオタの今いる地点は、おおよそ五キロの距離。雪紀の声は聞こえる筈がありません。
ですが、エロオタは胸の中がザワ―と嫌なざわめきを感じました。胸を嫌な物でかき混ぜられる感触。エロオタはその時、真っ先に雪紀の顔を思い浮かべました。そして今まで探していた『猛渤草』のことも忘れ、雪紀の元へ駆け出したのでした。
「おい」
ところが、エロオタの振り返った背後に何者かが立っていました。その姿はまるで、エロオタそのものです。エロオタは鏡を見ているかのように驚き、困惑しました。
「お前は・・・」
エロオタはあまりの事態に、その言葉しか口から吐き出すことができません。そんなエロオタに対し、エロオタに似た人物は不敵に笑ってこう言いました。
「驚くなよ。・・・俺はお前の・・これだぜ?」
その人物は、自分の股の方を指差して言いました。エロオタは更に何を言っているのか理解できないでいると、エロオタ似の人物が更に付け加えて言いました。
「だからぁ、お前の性欲を司るち〇こであり、き〇〇まって奴だ」
「・・・・・・・・え?」
エロオタの頭は真っ白になりましたとさ。
いやあ~下ネタを最後にぶっこんでしまい、本当にごめんなさい。ですがこの展開は、私が描くほとんどの物語にも影響を及ぼすことになるでしょう。男とその象徴との戦いは、物語に大きな成長と覚悟を見せることになると、私は確信しております。相手の言っていることが本当なら、エロオタの下は一体どうなっているか、雪紀の運命は、柚子乃の目的は、ジョイーの行方は・・・・では次回。




