第十四玩 冬風邪XX(ふゆかぜだぶるえっくす)
お久しぶりです。今度は前後編でやります。雪女の異変に、地蔵はあたふたしていると、そこに現れたのはあやた・・・巫女服の女性でした。
「コホッ・・コホッ・・・」
「雪紀ちゃん?大丈夫?」
ある日の朝のこと。雪女こと【雫白雪紀】は今日、【エロオタ】と一緒に家でずっとゲームをするはずでした。ゲームは昨日のうちに買っておいて、明日遊ぶ予定を組んでいました。そしてその明日である今日、雪紀は朝から喉に何かが絡んだような感覚に悩まされていました。
まだその時は我慢できましたが、いざエロオタとゲームをしようと炬燵の中に足を入れたその時です。炬燵の中からぶぁっと冷たい冷気が雪紀の口の中に入った途端、雪紀は咳をしました。エロオタはゲームの起動ボタンに手をかける直前、雪紀の小さな咳を耳にすると、すぐさま雪紀の方に振り向いて言いました。
「だい・・じょうぶ・・・」
雪紀の顔は苦虫を噛み潰したような顔色をしながら、エロオタの問いに答えました。エロオタはどこが気になることがあるのかと聞いたところ、雪紀は喉の方を指差しました。
「喉が痛いの?」
「あんか・・ガラガラする・・・」
「ちょっと待ててね」
雪紀はコクリと縦に頷くと、エロオタは雪紀を跨いでキッチンの方に向かいました。そしてコップ一杯分の水を持ってくると、エロオタは早速雪紀に飲ませてみました。
「少しずつ飲んで」
「うん・・ごく・・ごく・・・ゴフッ!」
「雪紀ちゃん!?」
雪紀はコップを持ってゆっくりと飲もうと二、三度喉を鳴らしていると、また咳が出てしまいました。その結果、雪紀は冷水を顔から豪快に被って、コップは手に持ったまま雪紀は何とも言えない感情に浸りました。エロオタは慌てて傍にあった雑巾を持って雪紀の顔を拭こうとして、雑巾を見て再度慌てて、新しいタオルを取りにまたキッチンに行きました。エロオタの居ない間、雪紀は考えました。自分の置かれた状況を再度熟考の末、考えだした答えは・・・
「これは・・『冬風邪XX』!」
「え?どうしたの雪紀ちゃん?」
エロオタは雪紀が名探偵〇〇〇のような顔をしていたので、何やってんだろうと思いつつも、雪紀に熱いお湯で洗った新品タオルを渡しました。雪紀は恍惚な顔をしながら(雪紀曰く、熱湯タオルで苦しむほど弱くないとのこと。寧ろ気持ちいい)熱いタオルを顔に被ると、首筋を拭き、首回りから胸、そして腹の方まで零れた水を綺麗に拭き取りました。雪紀の服は少ししか濡れていなかったので、自然乾燥することにしました。
それから雪紀はゴホンっと本当の咳をした後、エロオタに向かって正座のち、『冬風邪XX』の説明を始めました。
「冬風邪XXとは、雪女が成長期の時に陥る流行病」
エロオタは流行病ではなく、別の言葉に脊髄反射で驚きました。
「成長期ってことは・・・雪紀ちゃん・・・ついに・・あの小さかったおっぱいが大きく・・・!」
「なるかも」
「おお・・」
雪紀はエロオタは服越しでも女性のスリーサイズが分かるという謎の特技を知る由もなく、適当にエロオタの言葉に合わせて言いました。
「この風邪は三日間で収まるけど、その間は激しい咳とくしゃみ、そしてお腹の痛みに幻覚症状を耐え抜かなくてはいけない」
「風邪って幻覚症状なんてあったんだっけ?」
「雪紀も初めてでよくわからん」
雪紀はバッサリと言い切りました。
そんな時。
「私がお答えしましょう」
「「!?」」
玄関前の暖簾を潜って、巫女服を着た眉毛が勾玉の長い髪をした大人の女性が何の前触れもなく現れました。雪紀とエロオタは突然の事態で、瞠目したまま巫女服の女性を凝視しました。
「なんだ。舞か」
その中で一人、雪紀だけが女性の顔を見た途端、ホッと胸を撫でおろすように声を漏らしました。エロオタは「え?・・誰?」という顔で雪紀を見つめると、玄関前の女性はニコリと笑って言いました。
「私の名前は【無意加舞】と言います。舞と呼び捨てで構いません。その炬燵をお届けした配達員のような仕事をしています。勿論バツイチです」
舞は今雪紀とエロオタが入っている炬燵を指差して、ニコニコした顔で答えました。
「勿論って聞いてないんだけど・・・」
未だに動揺するエロオタに、雪紀は終始憮然とした顔で答えました。
「しつこくて困る。そんなタイプ」
「もう!雪女さんったら!」
―バフッ
「むぐっ!」
舞はいつの間にか雪紀に抱き着いて、自ら頬を雪紀の頬にスリスリと擦り付けていました。雪紀は舞に苦しめられながら、ついに「ゴホゴホゴホッ!」と更に大きな咳を出しました。舞はハッと我を取り戻すと、苦しみ始めた雪紀を自分の膝に座らせて、エロオタに顔を向けてこう言いました。
「あなたに【猛渤草】という草を探してほしいのです」
「もうほつそう?」
「雪女さんを助ける唯一つの草です。あなたにしか頼めません」
先ほどとは違う舞の真剣な顔に、エロオタは唾をゴクリと飲みました。そして雪紀の苦しそうな顔を一瞥した後、エロオタは静かに頷いて言いました。
「分かった。雪紀ちゃんのためなら・・」
久々に頭に思い浮かんだので書きました。雪紀の可愛さは今も健在です。エロオタは今もこそこそ深夜にエロゲーをして毎日楽しんでいます。そして新キャラ【無意加舞】。彼女は名前が名前なので、子供の頃「米の名前だー!無意加米~!」と虐められていましたが、舞のニコニコ顔でそいつらをバッタバッタと倒してしまい、いつの間にか『殺戮の舞い』と畏れられるようになりました。小学四年生の話です。




