愛を願う
この物語はノンフィクションである。
あの日の出来事を昨日の事のように覚えている。
確か、7両列車の一番後ろの座席に座っていた時のことだったか、
俺の目の前に(俺と同じくらい世代の)少年少女が座り込み、お互いに笑いあいながら指で体をつつきあい、じゃれあっていた。2人の空間が車掌室の窓に反射していたと共に、それを微笑みながら眺めていた。
お互いに音楽のジャンルが異なっているにも関わらず、顔を伏せ合いながらイヤホンをお互いに分け合い、
お互いに曲を共有していた。そんな2人の幸せな様子を単に見ていても、あまり感銘しないと思い、端末に残していたデイヴィッド・サンボーンの曲をこの2人に捧げた。彼が奏でる泣きのサクソフォンが2人の愛を深めていくような感覚がした。「お幸せに。」と言葉に出したかったが、この空間を壊すのを恐れ、心の奥底にしまい、列車を後にした。
変な話だと思うかもしれないが、他人同士の愛を願うのが人間の役目ではないかと俺は思う。
その少女はとても美しい顔立ちをしており、傷跡1つもない美しい肌を持っていた、
その肌を傷つけずに愛を深めるのは難しい事であり、一つの試練でもある。
この先、将来への愛を心から願う・・・・・