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4話 私がヒロイン!

まだ、名前すら出てきてないっていう……

 

何なのこの女っ!!?

やたら偉そうだし、初対面の私の頭をいきなり踏みつけるしっ!!

それにさっきはお腹まで蹴ってきたし!

痛いし、超痛いしっ!!?

何処の女王様よっ!!

あんな女が一緒なんて聞いてないっ!!

どうなってんのよ、女神っ!!??


私は床で横たわりながら、私を痛め付けた真っ赤な髪が印象的な服も靴も赤い女を睨み付けた。


初め目にした時、この女は女神の用意した悪役令嬢ポジか何かだと思った。

ヒロインには、悪役令嬢が必要だし盛り上がりにもかけるから、女神が用意したキャラクターだと。

ヒロインたる私に巻き込まれたせいで、悪役令嬢ポジのあの女が私を恨んで嫌がらせする、みたいな。

それで私は巻き込んだ負い目から、健気に堪えるの。

そんな心優しい私のために、王子達が悪役令嬢をざまぁするのがデフォなのに。


しかも、この女は図々しい事に私の王子達に要求を突き付けた。


何て図々しい悪役令嬢なのっ!!?

聖女の私を差し置いて、最高級の食べ物を要求!?

意味わかんないっ!


当然、私の王子はこんなふざけた要求は拒否した。

けれど────


「何故? そんな事は決まっている。妾こそ頂点であり、有象無象、下々であるお前達が妾に尽くすのは当然。世界の理である。お前達も賤しき存在に関わらず、妾に尽くす事が出来るのだ。光栄であろう?」


周りがドン引く中、女は堂々とそんな事を言ってのけた。

ここまで来ると、寧ろ病気か何かを疑ってしまうレベルだ。


「ふふふ、とても面白い方ですね、お兄様もそうお思いになりませんこと?」


静まり返る室内の中で、鈴の鳴るような笑い声が響いた。

深窓の令嬢という言葉が、実に良く似合う女だった。


「あぁ、そうだね、シュレーヴァ。流石、異世界のお方、いや聖女様かな?」


お兄様と呼ばれた男は、王子とは別タイプなイケメンだった。


彼も私の逆ハー要員!?

ぶりっこ清楚な妹は邪魔だけど、彼は合格ねっ!

でも──


「聖女は私です! 女神様にだって会いましたっ!!」


これだけは言っとかないと。

あんなイカれ暴力女が、私と同じ聖女扱いなんて許せないっ!!


「そうだぞ、シュレイン。こんな女が聖女の訳がないだろう!」


王子も私の方を聖女と認めてくれた。


まぁ、本当に私が聖女だから当然なんだけど。

逆ハー要員の彼は、シュレインって言うのね。


「ふふ、ならあの方は私達の家で保護致しますわ。何にせよ、私達の勝手な都合でお呼びした以上、不自由をさせる訳にはいきませんもの」


「そうだね、王家がそのつもりなら、我が家でお預かりしたほうがいいだろうね」


ぶりっこ女が余計な事を言い出して、私のシュレインもそれに同意してしまった。


何余計な事言ってくれてんのよっ!!

あんな暴力女は、追放か処刑、最悪でも牢屋にぶちこむ位しなさいよっ!!!


「まぁ、お前達でよかろう。そこなゴミよりは、随分とマシそうだからな」


「なら、決まりですわね。私はスタンダルト公爵家が長女、シュレーヴァ・スタンダルトでございます。以後、お見知りおきを」


「僕はシュレイン・スタンダルト。一応、嫡子だよ」


けれど、そんな私の心の叫びとは裏腹に暴力女がシュレインの家で預かる事は決定してしまったようだ。


あぁんの、クソ暴力女ぁっ!

あのふざけた態度だけでなく、私のシュレインにまで手を出す気なのっ!?

悪役令嬢ポジなんて、もういらないわっ!

とっとと退場させてやるんだからっ!!




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