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3話 妾こそ、頂点

 

「ちょっと、足どけなさいよっ!? アンタなんなのよっ!!??」


「答えよ、有象無象。ここは何処か?」


喚く女に見向きもせずに、彼女は彼女達を呼び出した男達に問い掛けた。


「貴様……誰に向かってそんな口をっ!」


周囲はそんな彼女の態度に、不快感を示した。

男は腐ってもこの国の王太子だ。

聖女でも何でもない彼女相手に偉そうにされるなど、我慢できなかった。


「“答えよ”」


彼女は再度問うた。

今度は彼女自身の力を込めて──


「っ!? こ、ここはロザンド王国、です」


男は自分の意思と関係なく動く口に恐怖を覚えながらも、抗うことは出来ない。

何らかの力が、彼女の言葉に従う事を強制するのだ。

それこそが彼女の力。

彼女の言葉は命あるものを、強制的に従わせる。


「ロザンド? ……ここは、異世界か。ふむ、何故妾はこんな蛮族の暮らす、程度の低い国に来たのか……まさか、あやつ等(・・・・)が何かしたのではあるまいな……全く、面倒なことよ」


彼女はチッと舌打ちをすると、苛立ちで足にこめる力を強めた。


彼女の頭に浮かぶのは、6人の顔。

その6人もまた、世界の頂点と言える場所にある存在であった。

そんな6人の誰かの影響であるならば、彼女がこの世界に召喚された事も納得がいく。


「痛っ! ちょっと、何時までやるつもりよっ!? 早く退きなさいよっ!」


更に力を込めて踏みつけられた女は、何とか彼女の足を退けようともがいた。

理想通りにてんで進まないこの状況に、女は苛立ちしか感じていなかった。


「五月蝿い」


彼女はそんな女の腹を蹴りあげると、呆然と此方を見ている男達の元へと視線を戻した。


「まぁ、済んだことはよい。どうやら、元の世界へは戻れぬようだからな。そんな事よりも妾は腹を空かせておる、今すぐにこの国の最上級の食事を持って参れ」


彼女はあたかも蛮族の出す物に大した期待はしていないが、妥協してやるとばかりの上から目線で男達に命じた。


「何故、俺達が聖女でもない貴様の為に、そんな事をしなければならないっ!? この国は今食糧難に陥っているんだ、貴様に出すような無駄な食材は存在しないっ!!」


普段贅沢三昧をしている自分達の事は棚に上げて、彼女を責める王太子。

言っている事は間違ってはいないが、まずは自身が省みる事だ。

彼女はそんな王太子を見て、馬鹿にするように嘲った。


「何故? そんな事は決まっている。妾こそ頂点であり、有象無象、下々であるお前達が妾に尽くすのは当然。世界の理である。お前達も賤しき存在に関わらず、妾に尽くす事が出来るのだ。光栄であろう?」


だが、彼女もまた普通の常識など持ち合わせてはいなかった。

彼女は至極真面目に、常人には理解しがたい事を言ってのけた。




この話は力こそ正義で進みます。

なので……

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