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20話 支配の片鱗

久々の更新です。

只今ゴールデンウィーク何かしら更新中です。

残酷描写ありです。

 

「──ふふふっ! ふはははっ!! うふふふふっ!! ……やったわっ、死んだ、死んだわっ! 私の勝ちよっっ!!」


光線が敵味方関係なく焼いて、白い煙が周囲に立ち込める中女の笑い声が響いた。

下品で不愉快な雑音。


……あのお方とは大違い…………。


あのお方のお声は笑い声は勿論、お怒りになった時も不愉快そうな声までもが美しい。

どんな高価な宝石より美しく、その棘は薔薇より鋭い。

頂点に立つのが当然のお方。


「いい加減、その不快な雑音を止めてくださいませんこと? 私、まるで豚小屋にいるようで不愉快ですわ」


そんな雑音をこれ以上あのお方のお耳に入れる訳にはいかないと、シュレーヴァは睨み付けた。


「な、何でアンタ達が無事なのよっ!!? アンタ達が生きていていい筈がないでしょっ! いい加減、悪役らしくとっとと死になさいよっ!!!」


「何故と言われましても……貴方の攻撃を私の持つ駒で防いだ、としか言えませんわ。流石は女神の加護、というところでしょうか。もうこの駒は駄目ですわね?」


シュレーヴァがそう言うと、桜はたった今気が付いたかのように視線を下に向けた。


「──え……レト君?」


敵味方を焼き殺した桜の光線。

その先には小さな身体があった。

身体半分が焼き爛れたレトと呼ばれていた少年魔術師の身体が。


「腐っても天才魔術師と呼ばれていただけはありますね。さぁ、ゲームまだ終わっていませんわ。天音様をお楽しませる為、続けるとしましょう」


それは確かな狂気。

レトと呼ばれた魔術師とシュレーヴァは見知らぬ仲ではない。

幼い頃より共に過ごした友人だ。


「……ひっ、あんた、アンタ達何なのよ、イカれてる、バグよ。消えてよ、よくもレト君を。なんでアンタ達が生きてレト君が死んでるのよっ!?」


動揺する事もなく笑みを浮かべるシュレーヴァに、桜は初めて恐怖した。

今までも敵味方多数の死者を出していたが、身近にいた少年が死んで初めて桜は本当の意味でこの遊戯が命懸け(デスゲーム)である事を理解したのであった。


「──おや、次は()が出たぞ。シュレーヴァも随分と運が良い……まだまだ見ていても良かったが、ルールはルール。仕方がないな」


それは桜にとって無慈悲な宣告だった。

2人が話している間に、天音は再びルーレットを回していた。


「まっ、やめ──」


止めようと桜の手が天音がいる方へとと伸びる。

だが、2人の間には決して埋められぬ距離がある。

伸ばされた腕は空を切るだけであった。


「“ロザンド王国軍は光属性の魔法の使用の一切を禁じる”」


告げられたのは死刑宣告にて、ゲームセットの合図。

天音の言葉()は絶対。

これまでのゲームで嫌と言うほど桜はその事を理解していた。


「出ろ、出ろ、出ろっ!! 見ているんでしょう、女神っ、何とかしなさいよっ!! 私を助けなさいよっ、ねぇ、ねぇってばっっ!!」


桜は手を宙へとかざし先程の光線を何度も放とうとしたが、その手から魔法が放たれる事はなかった。


「いや、……いやよ、私は、……死にたくないっ!!」


光魔法は桜の聖女としての力だ。

それを封じられては、桜は普通の少女に戻ってしまう。

殺される、そう思った桜は戦場を背にして逃げ出した。

ロザンド王国の兵士達が桜を呼び止めるが、桜は足を止めなかった。

前回の敗走と違って、桜は王太子達を見捨てて1人で逃げた。



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