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19話 公平な天秤

此方もお久しぶりです(-_-;)

後編視点変わります。

 

「ほぅ、今度は雷か」


天音は階下で広がる戦場を前に、ルーレットの出目を見てほくそ笑む。

随分と一方的な戦いになってしまったものだ。

いや、最早戦いですらないだろう。


「“ロザンド王国軍は雷属性の魔法の使用の一切を禁じる”」


天音は出た目に従い、力を使ってロザンド王国の戦力を封じる。


一度目は炎、二度目は水。

三度目は駒の奪取、そして四度目は雷だった。

そしてその全てが、ロザンド王国を指していた。

このルーレットに細工などしていない。

至って公平だ。


「ちょっと、また私達なんておかしいじゃないっ!!? インチキよっ! インチキっっ!!」


風の魔法で声を届けさせているのか、騒々しい戦場のさなかでもハッキリと此方まで聞こえた。


「く、くくくっ、本当に愚かで愉快な奴だな」


天音は笑いを抑えきれずに、腹に手をあてた。


「……本当に頭が悪い女ですね。耳障りです」


天音が気にかけているのが気に入らないのか、シュレーヴァはむっとすると魔導具を使って戦場へと指示を飛ばした。


愉快、愉快。

敵に向かってインチキとは……全くなんの冗談だ。


運は偶然によるものでは決してない。

強者は運すら引き寄せる。

あの有象無象よりもシュレーヴァの方が強かった。

ただそれだけの事だ。


「……いや、気に入りの駒を奪われて吠えているだけか?」


シュレーヴァの陣営で、先陣で魔法を放っている少年に目を向ける。

その目は虚ろだ。

三度目のルーレットで、シュレーヴァが選んだ駒。

過去にあの有象無象と共に、天音の国にやって来た。

シュレーヴァはあの有象無象の取り巻きの1人だと言っていた。

魔法に対して天才的な才能を持ったものだと。


「まぁ、妾から見ればどれも大差はないがな」


この遊びももう数順のうちに、此方の勝利で終わるだろう。

シュレーヴァも手加減をするつもりはないようだ。


「そう言えば、アヤツが居らぬな……」


天音はいつの間にかシュレインが、この場から居なくなっているのに気付いた。

天音は双子ではあるが、シュレーヴァとシュレインの自分を見る目が違う事を理解している。

故にこの場を離れて行動する目的は──


「くくっ、まだまだ妾を愉しませてくれそうだ」


中々いい拾い物をしたと、天音は嗤った。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「こんなのひどいっ、卑怯よっ!! レト君が、レト君が可哀想っ!!」


桜は当初の余裕から一転、言いようの無い焦りを感じていた。

天音の言葉など、一ミリも信じていなかった桜だが言葉通り魔法が使えなくなるのを知ると徐々に戦線も押されていった。

そして何より、自分の結界で守られ安全域にいた取り巻き(レト)が三度目のルーレットで桜を裏切り、敵に付いた事も不安を増大させた。


だって、もし、レト君が盗られたって事は……もしかして、ジン達も……。


桜は仕組みはともかく、天音の言った事が全て実現するのは理解した。

そして、自分がそれを拒めないのも。

レトは優秀な魔術師だったらしいが、あっさりと天音の術にかかった。

そもそも、公平だと言ったルーレットは桜に不利な目ばかり出ている。

時間が来る度に、桜は恐怖に震えた。


何よ、何なのよっ!

こんなの卑怯よ、私は女神の加護を受けた聖女なのよっ!?


次々と大量の怪我人が桜達のいる結界に担ぎ込まれて来る。

治しても、治しても、治してもやって来る。

不利な戦場に怪我人や死傷者は続出だ。

折角治しても、戦士達はこの圧倒的な差に既に戦意を喪失していた。

これでは治した意味がない。


「……こんな、守りじゃ駄目だわ……攻撃よ、攻撃。何でもいいから女神、こいつらを一瞬で倒せる力を私にっ!」


もうこれしか桜に勝ち目はない。

桜は天に祈った。

そして、祈りが通じたのか桜に空から一筋の光が降り注いだ。


「ふふっ、私の勝ちね! 死になさいっ!!」


桜は手を前に出し、与えられた力を思いっきり使った。

辺りが光に包まれる。

その光は強力で目の前の自軍ごと、焼き尽くしていた。




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