15話 悪辣遊戯
残酷描写あり?
戦闘がちょい入ります
「あーちゃん、コレがりーちゃんだよ。仲良しなのっ!」
やって来た少女に腕を絡めて、天音に笑いかけるミュウ。
「お前も変わらないな……先に言っておくが、妾のモノに手を出すのなら、お前であろうと容赦はせぬぞ」
何故、態々この国に来たのか理由は不明だが、どうせろくな用ではないだろう。
天音は、自分のモノに手出しされるのを嫌う。
例え殺し合う事になるとしても、天音は決して許さないだろう。
だから、天音は先にミュウへと釘を刺した。
まぁ……門番や兵の幾人かは既に手遅れだろうがな。
天音は愛らしい容姿をしたこの少女の悪辣さを、よく知っていた。
こやつに比べれば、あの似非聖女の何と可愛いげのあることか。
「容赦しないって……そんなの、ヒドイよ。あーちゃん。みゅーはただ……あーちゃんや……皆が大好きなだけなのにっ」
天音のつれない態度に、泣きそうに顔を歪めたのは一瞬。
次の瞬間には、天音に向かって巨大なハンマーを振り下ろしていた。
「天音様っ!!?」
シュレーヴァは、一瞬の出来事にただ叫ぶしか出来なかった。
警戒はしていたが、天音の友人ということで何処か油断していたのかもしれない。
「大丈夫だ、シュレーヴァ。そのような不意討ちが、妾に通じる筈がない」
こうなる事を読んでいた天音は、するりとミュウの攻撃から逃れていた。
「あーっ! あーちゃん、逃げないでよぅ。みゅーは、あーちゃんに愛を教えてあげようとしただけなんだよ?」
首をこてんと傾け、不満そうに唇を尖らせたミュウが不満そうに天音に言う。
「貴方達は何をぼさっとしているのです! 早くあの不届き者を始末しなさいっ!!」
シュレーヴァは兵士達にそう指示を出すと、自らもスカートの中から淑女に似合わぬナイフを取り出した。
「あれ? あなたもみゅーと愛し合いたいの? んー、でもちょっと待ってて? さきにあーちゃんに、みゅーの愛を分かって欲しいから。ね?」
そう言うと、ミュウはシュレーヴァや他の兵士達に目も向ける事なく天音へと向かって行った。
「“風よ、こやつを切り裂け!”」
迫るミュウに、天音は力を発動した。
天音の力は、ミュウを始め他の6人に直接干渉する事は出来ない。
けれど、万物に宿る精霊には天音の力は有効だ。
天音の言霊の力で、漂うだけであった風が刃となりミュウを切り裂く。
「流石です、天音様っ!!」
天音の他とは隔するその力に、シュレーヴァは歓喜の声を上げた。
「……いや、この程度でこやつ、ミュウは死ぬ事はない」
けれど、天音はそれに応える事なく、散り散りになったミュウを睨みつけるだけであった。
「え、……っ!!?」
驚愕に声を漏らしたのは、シュレーヴァであった。
「もーぉ、あーちゃんたらヒドーいっ!」
そこには、全く無傷のミュウ居た。




