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13話 女神様はゲーム脳

きっと、薄々予想していたでしょうが…

只今、毎日何かしら更新中です。

 

「一体、アレ(・・)は何なのですかっ!?」


数多の球体が浮かぶ部屋で、女性の甲高い声だけが響く。

彼女はこの世界を管理する、所謂女神という存在であった。


「折角、私が舞台を整えているというのに、何故思い通りにならないのです!」


彼女には、ある悪癖があった。

いや、悪趣味と言った方が適切であるのかもしれない。


「ハーレムも悪役も加護も与えたというのに、何故あの漫画やゲームのような展開にならないのですっ!?」


彼女の趣味、それは別世界にある娯楽の再現。

つまり、彼女は漫画やゲーム、アニメを愛するが故に、その世界を自らの世界で再現してそれを観賞しようというものであった。

彼女は自分の手で、物語を生み出したかった。


「召喚に混ざりこんだ異物も、悪役としていいスパイスになるかと放置していましたのにっ……いいえ、そもそもアレだけではありません。()も、何故か途中でシナリオに破綻ばかり……私の加護まで与えたというのに……っ」


そう、女神が世界で遊び始めたのは、今回が初めてではない。

彼女は愛する娯楽のある世界から、彼女と同じ趣味を持つ同士を連れてきては主人公としての立場を与えていた。

初めは上手くいっていた。

けれど、ここ最近はてんで上手くいかない。

ヒーローがヒロインを愛さなかったり、悪役令嬢がヒロインを殺害してしまう事もあった。


《女神様、私に力を、力を力を! ヒロインの私があのクソ女に負けるなんてあり得ないのよっ! とっとと、力を寄越しなさいッ!!》


球体の1つから、彼女へと呼び掛ける声が聞こえる。

彼女が加護を与えた少女の声だ。

実は女神といえど、世界に好き勝手に干渉出来る訳ではない。

自分が加護を与えた者を通して、彼女は世界を観賞していた。


「……五月蝿いですね。彼女を選んだのは、失敗だったのかもしれません。それとも過ぎた力が、人を歪ませるのか……次は加護の形を変えてもいいかもしれません」


ある程度、物語の方向性を操作する為に、ヒロインや主人公というものに執着の強い者を選んできた。

彼女は女神の肩書きに似合わず、ハーレムや逆ハーレムものを好んで読んでいたからだ。

そういった執着が強いものは、高確率でハーレムを望む。

中身はヒドイものだが、表面上は少女漫画やゲームのように美しいスチルが仕上がる。

女神にとって、性格が悪かろうと大した問題ではなかったのだ。


「このまま放置してもいいのですが……私の作り上げたシナリオを壊されて何もしないままなのは、癪ですね。いいでしょう、貴方の望み通り更なる加護を与えましょう……人の器には過ぎた血からですが……まぁ、いいでしょう。若い内に散った方が、スチル的には美しいというものです」


これだけあればあんな小娘など問題ないという位の加護を、女神は桜へと与えた。

それは過ぎた力であった。

桜は、この力のせいで若くして命を燃やす事になる。

けれど、女神にとってそんなことは知ったことではないし、興味もない。

その頃には、とっくに別のゲームを始めているだろう。

桜達はあくまでも、女神にとって替えのきく玩具だ。

桜は自業自得とはいえ、この時点で後数年の命となってしまった。




⎯⎯⎯まぁ、それもその時まで生き残っていればの話なのだけれど。




「それよりも、此方の方が問題ですね……」


女神が視線を向ける先、そこには他の球体が浮かんでおりその中で物語がバッドエンドと呼ぶべき結末を迎えようとしていた。

球体も黒に近い灰色へと、色を変えてしまっていた。


「もうコレは駄目ですね……折角、平凡ヒロインというジャンルに手を出そうとしたところですのに」


ギリっと、女神は歯ぎしりをして吐き捨てる。

そして殺意のこもった目を、奥に配置されている球体へと向ける。


「全てはこの物語からですね……」


それは既に黒へと染まり、彼女の目たるヒロインが死んでしまった物語。

そして、ある乙女ゲームをそのままに再現した世界でもあった。


「悪役令嬢マリア……」


彼女は死ぬ筈だった。

ヒロインを虐げて、最後には皆から石を投げられ処刑される。

そういう役割、そういうシナリオ。


「それが、ヒロインを殺す?」


ただの人間が女神たる彼女の邪魔をするなど、到底許せる事ではない。


「もう、これ以上イレギュラーを起こさせる訳にはいきません」


そうして彼女は、自身の駒を通じて世界へと干渉する。










女神は自分の優位を確信していた。

人間が自分を越える事などないと、思い込んでいる。

その慢心が、最悪の事態を招く事になるのだ。

故に彼女はマリアと同等のイレギュラーが、後6回は続く事など考えもしなかった。



憤怒は男の子で書こうかなーと、思い始めたこの頃です。

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