表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

11話 女王様のおなーりー

 

桜やジン達は力を合わせて、シュレインを救いに公爵領、もとい神聖スメラギ王国に侵入しようとしたが……やはり、ノリだけで上手く行く筈がなく早々に囚われの身となった。


「離せっ! 俺を誰だと思ってるんだっ!? この国の王子だぞっ!!?」


「我が領は神聖スメラギ王国ですので、王子など知りません」


取り押さえられたジンが喚くが、背中を押す兵士は知らん顔だ。

兵士達は雑に桜やジン達を、なかば引きずりながら玉座のある部屋へと進んだ。

スタンガルト公爵家の屋敷も、この数ヶ月で様変わりしていた。

ジン達の暮らしていた城より、何千倍もの防御力、そして絢爛さを誇っていた。


「女王様がお前達の顔を見たいそうだ。光栄に思え。お前達のような卑しき者が、至高たる女王様をお目にする事が出来るのだ」


「……女王? 女?」


桜達の頭に、燃えるような赤い髪を持った傍若無人なあの女の姿が過った。


「ほら、女王様の御前だ。頭を下げろ!」


桜達が何か問う前に、兵士達に広い部屋へと通され無理矢理頭を押さえ付けられた。


「くくっ、相変わらず無様な姿だな。似非聖女よ。シュレーヴァ、実に笑えると思わんか?」


「えぇ、天音様。すかすか頭の彼等には、地べたがお似合いでしょう」


玉座にあるのは、桜と供に召喚された皇 天音であった。

天音は桜達を嗤い、シュレーヴァもそれに倣った。


「くっ、お前っ! シュレーヴァっ!! 俺はお前の婚約者だぞっ!! 何を呆けているっ! 早く、俺を助けろっ!!」


ジンはシュレーヴァの声に顔を僅かに上げて、喚き散らして助けを命じた。


「ふふ、おかしな事を仰いますのね。そこな聖女様と婚姻がしたいからと、先月婚約破棄を使者に伝えられたのですが?」


地べたを這いずり回る虫のごときジンに、シュレーヴァは何時も通りの微笑みを浮かべた。


「それは、……だがお前は俺達を助けるべきだろうっ!? そんな女に騙されていないで、さっさとしろっ!!」


ジンは自分の身勝手さを棚に上げて、シュレーヴァに叫んだ。


「……あの、女?」


しかしその一言は、シュレーヴァの地雷を踏みぬいた。


「がぁっあああっ!!?」


「お前ごとき家畜風情が、あのお方をあの女よわばり? ……有り得ませんわ!!」


シュレーヴァは、ジンの頭を靴で踏みつけた。


「以前から、馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたが、こんなことも理解出来ないなんて……いいですか? 天音様は、天上にして至高の存在なのです。お前ごときがその名を、姿を見ることも不敬なのです。身の程を知りなさい」


シュレーヴァは、変わってしまった。

以前は、ジンに従うだけのつまらぬ女であったのに。

ジンはただ頬を赤く染め恍惚と語るシュレーヴァを、呆然と見詰める事しか出来なかった。



王子もドン引きですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ