1話 幸運を呼ぶ、聖女召喚
折角なんでシリーズ化する事にしました。
今んとこ、傲慢、嫉妬、色欲はストーリー展開がもう決まってます。
残りは……今、全員女の子で揃えるか、男の子を入れるかで迷い中です。
だから、シリーズのタイトルが(仮)何ですよね……どっちがいいのかな?
聖女召喚──────
それは異世界物のテンプレ、召喚されし聖女は高確率で逆ハーレムを築く。
そして、たった今地球とは別世界にあるロザンドでも、国王の命により聖女召喚が行われようとしていた。
「……いよいよか」
部屋一面の魔法陣を真剣な面持ちで眺めるのは、この国の第一王子。
先程から中を行ったり来たりと動き回り、実に落ち着きがない。
だが、彼等が緊張するのも無理はない。
──この召喚には、国の命運がかかっているのだ。
ロザンドは昔は緑豊な国であったが、数年前から大地が魔物達により汚染され、作物も育たず不毛の地が多く存在するようになった。
魔物被害だけでなく、酷い食糧難で近年餓死者だけで数万人にも及んでいた。
当然、不満は何も対策をしない王族や貴族へと向かう。
いつ革命が起きても、おかしくはない。
そんな酷い状況にまで、この国は追い込まれていた。
しかし、貴族達は今までの贅沢な暮らしを捨てたくはなかった。
そこで出てきた案が、聖女召喚。
異世界から力あるものを召喚することで、自らは何も捨てる事なくこの問題を解決しようと考え付いたのだ。
「準備が整いました。始めます!」
何日も前から準備して儀式が、この日実を結ぶ。
彼等は聖女さえ現れれば、全てが上手くいくと思い込んでいた。
聖女の人柄や、力がどのような物かを知りもせずに。
目先の道を安易な物たと思い込んでいた。
彼等がこの日の事を後悔するのに、そう時間はかからなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
その日の私はついてなかった。
いや、私の人生についてることなんかなかった。
何をやっても平均以下、顔も中の下。
友達もろくにいないし、家も貧乏だ。
けど、その日は特についてなかった。
横断歩道を赤なのに突っ走る車に、私は避ける事なく跳ねられた。
勿論、ブレーキをかける事なく跳ねられた私は即死。
最後に見たのは後部座席に座る女の、印象的な赤髪だった。
「貴方には、ある国を救って欲しいのです」
死んであの世にいくのかと思ったら、私は女神と名乗る女にいきなりそう言われた。
救うって……何コレ、ラノベのテンプレ展開?
チート貰って異世界無双?
それとも、イケメンを侍らす逆ハーレム系??
どちらにしても、私に不満はない。
「……救うって、何で……」
内心、興奮していたが、そうとは悟らせぬよう努めて冷静に問い掛けた。
「貴方が行くのは、ロザンド王国。この国は近年魔物による深刻な食糧不足を抱えています。貴方には私の加護を与えるので、その力で聖女として人々を救って欲しいのです」
女神は胸の前で手を組み、慈愛に満ちた声で私にそう頼んだ。
聖女……逆ハーレム系か。
まぁ、無双ものより危険はないか。
最近のはチートの筈なのに、敵もまたチート、みたいな感じで命の危機や厳しい環境に追いやられるもんね。
「……その頼み、聞く代わりに条件があるわ」
私、愛され平凡より普通に愛され美少女系の方が好きなのよね。
どうせなら、加護だけじゃなく見た目も可愛くして貰わないと。
「……分かりました。では、頼みましたよ聖女。苦しむ人々を救ってください」
女神は私の要求に頷くと、私を異世界へと送り出した。
やった!
コレで私は勝ち組人生よ!!
ついてないと思ってたけど、今日は最高についてるわ!
私は約束された輝かしい未来に、この日浮かれていた。
けれど、私はいずれ知る事になる。
この日が最悪な運命のきっかけであった事に──
主人公、登場せず……いや、一応登場は微かにしてんですけどね。
次回は、しゃべります。