距離
「雪ーー!水持ってこー」
「あー、少し待ってー」
今日の部活のメニューは、近くの山道を走る事!マネジャーの私達もその近くの 山まで行かなければいけないんだけど、、、
「さすがにキツいね、、」
「うん、、ハァ~、、、」
運動神経が良い薫は、まだ大丈夫そうだけど私は大分キツイ、、、重たい水は薫が運んでくれているけど保健バックとビブスは、私が運んでいる。2つ合わせるとほぼ同じ位の重さ。やっぱりキツイ。
しかも山道だから歩きにくい。
「あっ雪!やっと選手が集まっている場所まで来たよ!」
「あー、やっと着いたー」
光君や片桐君も私達に気付いて手を振ってくれている。
「雪ちゃーーん、薫ー」
「雪、急ごう」
薫は、一人で走って行ってしまう。薫は、光君が好きなんじゃないかな。最近そう思う。話していると凄く楽しそうだし私と居るときも良く光君の話してるしな、、、良いな、、好きな人がいて。
何かキラキラしてる。元々薫は、綺麗だけどもっと綺麗に見える。
私は、、、少し走りながら視線を彼に向けてみる。片桐君と目が合う。私は、すぐに目をそらしてしまった。
何で私片桐君を見たんだろ、、?
ドタンッ
「雪!」
ぼーっとしながら走っていたから石に詰まずいて転けちゃったみたい。
「いたたた、、、」
「待っててすぐ行く。」
速く走っていた薫とは、もう大分離れてる。
「良いよ~大丈夫ー」
ハハッと笑いながらぶちまけてしまった保健用品を拾おうとしたら誰かが先に拾ってくれた。
(あっ、薫早いな。)
「ありがとー!かぉ、、」
私は、驚きすぎて言葉を発することが出来なくなった。
「、、、薫じゃねーよ。」
「片桐君、、」
私が放心状態で居る間も片桐君は、保健用品を拾ってくれてる。慌てて私も拾い始める。
「あっ、私も手伝う、、」
「いいよ、俺がやるから」
その優しい言葉には、私に有無を言わせない迫力があった。
「あ、ありがとう。」
手際良く散らかっていた用品をバックに詰めていく片桐君。普段は見ない片桐君の一面にドキドキする。
「ほら、行くぞ。」
ぼーっと見つめてたらもう終わってたみたい。だけど 私の頭は、上手く働かなくて黙っていたら片桐君が
「おい、大丈夫かよ?」
そう言いながらしゃがんで私の顔を覗き込んできた。
「どっか痛いの?」
「だ、、大丈夫、!」
まだドキドキとうるさい心臓の音が聞こえない様に出来るだけ大きな声で言った。片桐君は、一人であたふたしてる私を見てハッと笑った。
「なら行くぞ!」
片桐君が、手を差しのべてきた。恥ずかしくて自分一人で立とうとしたけど片桐君の手がスッと私の手を掴んだ。
「よいしょ!」
グイッと上に引っ張られて私は立った。「もぅ、一人で立てるのに。」
頬を少し膨らませながて言ったら片桐君が私の頭をポンッと叩いた。
「可愛いな、、」
「えっ、」
私が驚いて片桐君を見たらハッとしたように片桐君は、頭に置いていた手を離した。少しの沈黙の後、片桐君がおもむろに保健バックを持って走り出した。手を繋いだままだったから私も自動的に動いてしまう。
繋いだ手が凄く恥ずかしかったけど嫌じゃなかった。片桐君を少し見ると耳が赤くなってる。それを見てこっちまでもっと恥ずかしくなったけど自然と笑ってしまう。
まだ、薫や光君ほど片桐君との距離は、近くないけどこれからもっと近くなる。私は、そんな気がしていたの。