18章 介入開始
戦艦アクアマリン
特連艦隊が進出できない内陸部をカバーするために生まれた航宙艦隊の旗艦である。
アクアマリン級と称される3隻の戦艦姉妹の長女なのだが、搭載されているA.I.は結構おっちょこちょいで、のんき。略称はマリン。アクアと呼ぶと、マーライヤーナ州の長と名前が被ってややっこしいのでこういう略称。
全長は、最初は王国軍の星軍における艦船定義に基づいて、450mとされた。が、航宙艦は宙軍担当だろと星軍がごねにごね30kmにのびた。
その艦橋で。
『過保護ですいません。生まれたての艦隊なので作戦開始時までに何か不具合起きないか心配で。』
『ウェリアスさんは心配性ですね。大丈夫です。』
自分の胸をどんと叩くマリン。その勢いでよろける。
『一番はあなたのことが心配なんですけどねぇ。』
「どうでも良いけどきたのはコーウェリアと?」
『伊勢、日向、アマテラス、ツクヨミ、アネル、ミカボシ、ミーシャ、ヒイロカネ、サジマ、シグサワですね。』
「最後の二艦でとんでもないのが来たな。」
サジマは、とんでもなく変態的な魔導砲の運用方法を独自に編み出した巡洋艦。シグサワは、もう、同名の作家の作品から想像してください。
『それと、瑞穂海軍第一航空戦隊は次元境界面を抜けるのは今回が初めてと言うこともあります。先進界の中でも若手のこの世界がほぼ独力で設計建造した、航宙艦に次元境界面突破や次元境界面間空間航行がいかなる影響を与えるのか気になるところですね。』
[神子はどうします?僕は正規さんとコーウェリアに遷りますが。]
瞳に光り無くたたずむ神子に問いかける。
「第二艦隊副司令将長伊勢照美。」
「はい!」
「コーウェリアに座乗し、直掩艦伊勢との連絡任務を取れ。」
[艦隊全艦天舵二十五。戦速四十五。]
『了解。艦隊全艦天舵二十五、戦速四十五天文単位。機関出力定格3%。推力出力12%。艦隊抜錨。出航!』
周囲にウェリアスの声が響く。まあ、中程は自身に向けてなので外には聞こえていないが。
『底部離床。航海喫水に移行。両舷バラスト排水。…航海喫水到達。離水します。』
「了解。コーウェリア離水。天舵45。離水完了。天舵25に修正。機関出力増大。兵装全て出航位置へ。艦体微速前進。出航確認。操艦将長ウェリアスへ委譲します。」
全長600kmもの巨体がゆっくりと大気を切り裂きながら上昇していく。
『恒星系重力圏に入りました。機関出力増大。数値そのまま。単位をPckt/h(パーセクノット毎時)に変更します。』
Pckt/hは一時間に6.66光年進むというもの。
『銀河系重力圏を抜けました。』
[巡航速度に増速。先行して、次元境界面をほぐす。]
「『了解。』」
コーウェリア級の巡航速度は、623EPckt/h。一時間に41亥4918京光年進む…まあ、とんでもなく早いと言うことで。
さて、読んで字のごとく既にこの艦隊は恒星系重力圏に入った時点で光速を越えている。
『艦隊全艦に達します。まもなくMWCN2622号界次元境界面を突破します。
突破後座標は、対象恒星系第3惑星静止第2衛星軌道上最大大陸西部地中海南方赤道上空です。
ウンディーネ艦隊は自由落下準備。
瑞穂皇国海軍太平洋連合艦隊第一航空機動連合戦隊はウンディーネ艦隊離脱後移動する、最大大陸東縁弧状列島南方前線基地にて待機してください。
残存艦艇は突破後座標域にて、待機。
第二艦隊旗艦直掩艦伊勢のみウンディーネ艦隊離脱後すぐにウンディーネ艦隊に続き離脱し、上空4万にて戦場統括を行ってください。』
[正規さん、後は任せます。]
「おう。思う存分楽しんでこい。」
MWCN2622号界大日本帝国海軍援欧派遣艦隊所属黒海監視艦隊旗艦 妙高級重巡洋艦四番艦羽黒艦首
[というわけですが、三輪伯爵はこの会戦が終わったら英国に向かわれるのでしょう?ついていってもよろしいでしょうか?]
「えーっと。スコットランド公に。」
意外と乗り気なスコットランド公。
「姉上もきっと喜びましょう。」
スコットランド公爵家嫡男ヘンリー・スコットは英国王室の王子である。
その姉の一人が、英国王太子イングランド公爵マーガレット・イングリッド・アレクサンドラ・ウィンザーである。
ヘンリーの本名はヘンリー・スコット・ウィリアム・ウィンザー。
王位継承権を持つ王族である。まあ、遥夢の中では、いくら王族で公爵家のものといえどただの跡取り息子よりも伯爵家でも当主の方が扱いは上であるが。
羽黒を守るようにウンディーネ艦隊が展開する。
[そういえば、あの子達も元々はこちらでも常識的な大きさだったんですよ。今は一時的にあの大きさですが、この海戦が終了したらそのまま、入渠して縮小工事を受けて貰うことが決まってます。]
まだ追記しますよ




