技術力の差
エルスランド帝国にグリーゼ皇国から皇王他数十名からなる使節団がやってきていた。
「ここがエルスランド帝国の帝都ブルクサムになります。」
帝都には高層ビルがあちこちに立ち並んでいる。エルスランド帝国は初代皇帝のころから軍事以外の技術はもともとあったが、今回転移と言う緊急事態に陥ったため皇帝の遺言の場所を掘り返すと兵器の設計図と模型・実物があった。
これらを解明・製造したため、エルスランド帝国は軍事の面でも高水準の兵器を使えるようになった。転移から1か月近くたった現在では、初代皇帝が転生してきた2013年の兵器の配備も進んでいるが、製造時間やコストが大幅にかかるため軍の主力武器は第二次世界大戦レベルだ。
グリーゼ皇国の使節団は専用の車に乗り、警察の厳重な護衛を受けながら帝都に来ていた。
使節団の到着に市民は大歓迎している。
使節団の中には元老院議員に復帰したミリーやエルスランド帝国との交渉を行ったアリエルの姿もあった。
「書類だけでは現実味はなかったがこうしてエルスランド帝国にくるとどれだけ強大な国と関係を結んだのかがよくわかるわ。」
「そうじゃな。この高層びる?とかいうやつは皇国では、何百年たっても出来そうにないな。」
「そうね、この車と言う機械も今の皇国では考えられないくらい最先端なものですものね。」
「軍隊の力も強大じゃ。迂闊な対応をすれば戦争に発展するかもしれぬ。そうなれば間違いなく皇国は敗北すぞ。」
「ええ、だからこそなんとしても友好的な関係を築かなければいけないわ。」
「そうじゃな。」
使節団は帝都中央にある迎賓館に到着した。
「本日から数日間この迎賓館で皆様にはお泊りしていただきます。部屋割りの方は既にこちらでご用意しております。本日はすべて自由時間となりますので御用がございましたら近くにいる係員に遠慮なくお申し付けください。それでは、お部屋の方へどうぞ。」
使節団の議員たちは部屋割りされた部屋に入っていく。皇王は迎賓館で最高級の部屋に案内された。
部屋に荷物を置いた議員たちは仲の良い議員の部屋に行き話をしたり、係員を呼び止め観光案内を頼んだりしていた。
そして最終日、いよいよグリーゼ皇国との国交樹立を祝うパレードが始まった。
帝都最大の大通りでパレードは行われた。
国交樹立を記念してはいるが、実際は軍隊の新兵器のお披露目も兼ねている。
軍楽隊のきらびやかな音楽を背に戦列歩兵が行進を行う。
その後ろからは、ようやく製造が軌道に乗ってきたライフル小銃を手にした歩兵、大幅な軍隊の兵器変更の際に製造が比較的短い期間で済んだため一時期軍隊の主力として配備され、現在も軍隊で重要な位置にある装甲車部隊、そして、エルスランド帝国陸軍主力の戦車部隊、最後を飾るのは、皇帝が直々に指揮を執る皇帝近衛兵と皇族司令官が軍部とは別で最低1個師団以上指揮している近衛師団が最後を飾った。
「どうでしたでしょうか。今回のパレードは?」
外務大臣の正木武親が使節団に訊ねた。
「なにからなにまで驚かされました。やはり貴国と関係を築けてよかったと思います。皇王陛下もとても関心しながらパレードを御覧になっておりました。」
「そう言っていただけるとは感謝です。」
その後、使節団は無事グリーゼ皇国へ帰還した。