皇国との交渉
3日後、ミリー村長の案内で皇国の町にいた。
町にはいたるところに兵士がおり、厳戒態勢であることがわかる。
そんな町の一角にある元老院議員や貴族が使用する宿の中にエルスランド帝国の使者の姿があった。
「・・・・と言うわけでの。国交を結んでほしいそうなのじゃ。」
ミリーは元老院議員であり、親友のアリエルに頼んでいた。
「あなたの頼みでも、相手の国力を見て判断しないことには何とも言えないわ。」
「それじゃったら安心じゃ。まだ、わずかしか見ておらぬが妾が思うに皇国より技術力ははるかに上じゃ。どうにかならんかの?」
「わかったわよ。村を救ってくれたわけだし、私の目で見て判断するわ。もし、皇国と良い関係が築けそうなら元老院に報告してあげる。」
「すまんのアリエル。」
「それじゃあ、使者に会いましょうか。」
ミリーはアリエルを連れ別室にいる正武大使のもとに案内した。
「はじめまして。私は元老院議員のアリエル・ミクロシュです。以後お見知りおきを。」
「これは、どうもご丁寧に。私、エルスランド帝国陸軍第5機械化親衛軍司令官の松村正武陸軍少将です。今回は全権大使としてやって参りました。」
「正武さんは、軍隊の司令官なのになぜ?」
「私、外務省と言う所で外交関係の仕事を一時期務めておりまして、外交に精通しているのが、私だけだったためです。」
「そうですか。単刀直入に聞きます。貴国の国力はいかほどですか?」
「そうですね。正確な資料が現在手元にありますのでそちらをご覧ください。」
そう言うと正武は革鞄から国力が記載されている書類を取り出した。
「あまり詳しいことは機密ですのでお見せできませんがこちらに基本的なことは記載されています。」
そう言うって書類を渡した。
アリエルは書類を一通り見ると、青ざめた顔で書類を机に置いた。
「この書類に間違いはないの!?」
「1週間前に作成された書類ですので間違いはありません。」
「そう・・ですか。」
「それで、今後のことですが、」
「すぐに、元老院に報告しますのでこの町で1週間お待ちください。」
「わかりました。よい返答をお待ちしております。」
1週間後アリエルが数名の元老院議員を引き連れ戻ってきた。
「お待たせして申し訳ありません正武大使。」
「いえいえ、こちらこそこの町の皆様によくしていただいて感謝です。」
「それで、国交のことにつきましての返答ですが、貴国との国交を結ぶことに決定しました。」
「そうですか!それは、よかった。」
「早速ですが交渉に入りたいと思います。」
本来ならば皇国の首都で行うべき交渉だが、首都には人間嫌いの住民も多数存在するため辺境の町で交渉が行われた。
交渉がまとまり次第、首都に赴き皇王の了承を得るという予定になっている。
交渉が思ったよりスムーズに進んだため、その日のうちに首都へ入ることができた。
翌日、皇帝と会談を行い了承を得ることができた。
内容は領土の不可侵・互いの国を認める・通商条約の締結などだ。
近いうちに帝都にてグリーゼ皇国との国交樹立を記念したパレードが行われることが決まり、エルスランド帝国を訪問する形で元老院議以下数十名の使節団とグリーゼ皇国皇王が直々に来ることがわかった。