一方的な戦い
戦闘描写ダメかもしれないですが、温かい目で見てください。
「前嶋曹長!準備は完了したか。」
「既に準備は完了しております。いつ、敵が来ようと大丈夫です。」
「わかった。全員警戒を怠るな、敵軍はもうすぐ来るぞ。」
兵士たちは今か今かと敵を待っていた。
「将軍閣下!敵は防壁を利用してこちらに抵抗しようとしています。」
「そうか。弓騎兵を防壁周辺に展開させろ。奴らは所詮は亜人の寄せ集めだ。屈強なる王国軍には勝てまい。」
「先ほど斥候が防壁の途切れている部分を発見しました。」
「そこから亜人共の村に攻めるとしよう。」
「お待ちください!!そのようなところがあるなら相当数の敵がいるのではないでしょうか?」
「その心配はありません参謀閣下。むしろその部分には15人ほどの敵しかいませんでした。」
「参謀は気にしすぎだ。所詮は寄せ集め。我らが負けるわけないだろ。」
「そう・・ですね。」
この騎兵隊の参謀であるブレッドは王国の人間至上主義には非常に反対的な立場だ。だが、そのことを公衆の面前で口にすると処刑されてしまうため口にできない。
ブレッドは騎士団の中でもかなり位が高かったが、ミーリエルと仲が良かったためその結果今ではしがない騎兵隊の参謀となってしまった。
「それでは、亜人狩りと行こうか。」
将軍がそう言うと作戦どうり弓騎兵が防壁に展開している村人たちと弓で撃ちあいを始めた。
「王国軍だ!!撃て撃てーーー!!」
村人達は次々に矢を撃ち始めた。だが、所詮は村人。弓騎兵にはあまりあたっていないが、防壁の上にいるせいで弓騎兵もあまり矢が当たっていない。
その間に王国騎兵隊は第15偵察分隊が受け持つ地区に向かっていた。
「砂埃が見えます、敵軍かと。」
「よし、全員戦闘態勢に移れ!!」
兵士たちは土嚢の中に隠れたり、装甲車の機銃から敵軍に狙いを定めたり、一式重機関銃を構えた。
しかし、彼らは捨て駒扱いされているのを知らなかった。
後方には即席の馬防柵が作られており、その内側に槍を持った村人が展開していた。
向こうからこちらは見えないが、こちらから向こう側は見えていた。
エルスランド帝国とかいう国の兵士は我々とは勝手が違っていた。
砂の入った袋を積み上げ、王国でも見たような小型のバリスタを構えていた。
時々、鉄の馬らしきものも見え隠れする。
だが、私は方針を変えなかった、あの時までは・・・・・。
「報告どうりだな。やはり亜人は亜人か。我々を舐めているとしか思えんぞ。」
「そうですな。亜人などさっさと滅ぼしてしまいましょう。」
将軍の言葉に将軍の側近が同意する。
「全軍突撃!!!!王国軍の力を愚かな亜人たちに見せてやれ!!!!」
「「「おおーーー!!!!」」」
将軍の激励が終わると騎兵が敵陣に向け突撃を開始した。
その時までは、誰1人王国軍の勝利だと思っていた。そう、その時までは・・・・・
「敵騎兵間もなく射程圏内に入ります。」
「しっかりと狙いを定めろ。私の命令なしに撃つなよ!」
「はっ」
騎兵はその間にもこちらに迫ってくる。
「距離300を切りました。」
「今だ!撃てーー!!!」
その瞬間兵士たちは一斉に引き金を引いた。1分くらいの間銃声は鳴り続けた。
砂埃が晴れた先にあったのは、痛みに苦しむ王国兵たちだった。
「い・痛てぇ・・・・。」
「た・・・・たす・・けて・・くれ・・。」
銃弾が当たれなかった王国兵も馬が銃弾に脅え暴れだした。
「こ・コラ、言うことを聞け!!!」
そんな状態の馬を乗りこなせる者はおらず、無事だった王国兵も落馬した。
私は将軍の側で待機していると突然雷鳴のような音がした。
「な・何が起こった!!!」
将軍が怒鳴るが兵たちも何が起こったのかわかっていない様子だ。
「も・申し上げます!!」
1人の兵士が駈け込んで来た。
「先鋒部隊が全滅しました。」
『全滅』たった15人に対しこちらはその10倍の兵力を差し向けたはずなのにたった1分足らずで『全滅』してしまったのか!?
「何だと!?間違いではないのか!!」
「間違いございません、この目でしかと確認しました。」
「ええい、信用できん。ブレッドついて来い!!」
「はっ、将軍閣下。」
将軍と共に戦場を確認すると、そこには王国兵の屍だけだった。
どの兵士も何かしらの部分がなかった。ある者は頭が、そしてある者は両腕を無くしたまま死んでいた。
「こ・これは何なのだ!!我々が亜人ごときに負けるだと!!そのようなことが許されるものか!!弓騎兵を呼び戻せ。再編成が完了し次第、全力を持って攻撃する。」
「はっ」
最初は怖気づいたかと思うと突然雷が落ちたかのような音が1分近く響き、その後見えたのは壊滅状態の王国兵だった。それでも落馬した兵士は果敢に突撃したが近づくことすら許されず、死んでいった。
私はそこで思った。もしかしたら、とてつもない者たちを捨て駒にしようとしていたのではないのかと。
「少尉!もう間もなく援軍が敵を背後から攻撃するようです。」
「よし、我々も攻撃を仕掛けるとしよう。」
「「了解!」」
「正武少将、もう間もなく前方に敵が見えます。」
「そうですか。ですが、なぜ私が指揮官なのでしょう?」
「それは、閣下が皇族だからです。」
「まあ、そうでしょうね。それでは、全員索敵を密にしてください。」
「了解」
松村正武陸軍少将指揮する第3機械化中隊は王国軍を後方から奇襲しようとしていた。
「亜人ごときが・・・・・・・。」
将軍は怒り狂っていた。
「全員皆殺しにしてくれる!!王国に歯向かったことを思い知らせてやる!!」
「将軍閣下!再編成が完了しました。」
「すぐに亜人共に攻撃だ!!!1人残らず生かすな!!!!!!」
「は・はっ」
将軍の気迫に兵士もビビり気味だ。
そのすぐあと先ほどのような雷鳴が響いた。
「敵襲!!敵襲!!背後だ気を付けろ!!!」
兵士たちは30年式装甲車(OA vz.30)に向け矢を放つがあたっても弾かれる。
「鉄の馬だ!!」
「ダメだ!全く歯が立たねえ。」
「その程度か。こちらからも銃弾をお見舞いしてやれ。」
「了解」
30年式装甲車から次々と銃弾が放たれる。
「に・逃げろ!!!」
「お願いだ。助けてくれ!!」
そんな願いも叶うはずはなく銃弾が吸い込まれるように兵士の体を蜂の巣にする。
「どうすればよいのでしょうか将軍!!」
「どうか、ご命令を!!」
士官たちが将軍の指示を求め集まっている。
「ハハハ、王国軍が敗北・・・、屈強なるわが軍が・・・・」
将軍はすっかり混乱している。
すると、突然立ち上がった。
「どうされましたか将軍?」
将軍は剣を持ち天幕を出ていった。
「将軍!?お待ちください!!」
士官たちは将軍を追いかけた。
「こ・このような・・ことが、あってたまるか。」
そう言うと将軍は30年式装甲車に突撃したが、すぐに7.92mm弾の餌食になった。
「将軍が討ち取られました!!!」
その報告だけで十分士気は下がった。
「ブレッド参謀!我々はどうすればよいのでしょうか。」
「もう、降伏するしかないだろう。」
「しかし・・・」
「しかし、何だ。貴様は勝てると言うのか!?」
「いえ、そう言うわけでは・・・・」
「とにかく降伏だ。異論はないな。」
士官たちは黙り込んだ。
「では、降伏だ。白旗を挙げろ。」
「少将!敵軍が降伏しました。」
「よくやった!!」
「それでは、村に向かうとしようか。」
「了解」
私達はエルスランド帝国の軍人に続く形で王国軍に攻撃しようとしていたが、王国軍はエルスランド帝国軍の攻撃でいとも簡単に降伏してしまった。元王国の騎士としてこれには、驚いた。
その後、降伏した王国軍の捕虜やエルスランド帝国軍と共に村に帰還することにした。