開戦前夜
前回のあらすじ
王国「お前ら属国になれ。」
皇国「断る。」
帝国「お断りだ!」
王国「戦争になってもいいのか?」
皇国・帝国「かかってこい。相手になってやる。」
大体会ってる。
王国との開戦日がいよいよ明日になり皇国と帝国はいよいよ翌朝を待つだけだった。
「いよいよ、明日ですな。」
「そうなりますね。」
皇国にあるエルスランド帝国軍駐屯基地。皇国のご厚意で貸してもらった土地に戦争が決まったその日から設営隊が現地入りし、設営したのだ。そこでは、グリーゼ皇国駐屯基地司令の松村秀剛陸軍大将と副司令の山上和重陸軍中将が話していた。
「それにしても皇国はとても驚いておりましたな。」
「そうですね。」
2人は数週間前のことを思い出していた。
~1か月前~
「お待ちしておりました。私、案内役を任されましたグリーゼ皇国のエイケルスです。」
「どうも。帝国大使館から来ました榊山正英です。」
エイケルスの案内に従ってついて行くとそこは、広い荒地だった。
「申し訳ありませんがここしか、広い土地はございませんでした。」
「構いませんよ。ここは自由にして構いませんか?」
「ええ、皇王陛下より許可はいただいております。」
「そうですか。では、早速準備に入ります。」
「わかりました。」
すると、正英は軍隊で使われる最新の通信機を取り出した。
「・・はい。場所は確認しました。座標を送りますので早速・・・・はい、わかりました。」
1週間後エイケルスと皇国軍の将軍たちが帝国大使館より駐屯基地の設営が完了したとの連絡を受け見に行った。
「な・なんだこれは!?」
そこは、荒れ地だったころの面影はなく、エルスランド帝国陸軍の立派な基地になっていた。
「まさかこれほどまでに立派な物をたった1週間で作り上げるとは・・・・。」
「エイケルスさん。お待ちしておりました。」
「榊山殿!これは、一体どんな魔法を使ったのだ。」
「いえいえ、魔法など使っておりません。ただ、我が国の建築技術が優秀だったということです。もちろん設営隊の努力もありますが。」
「そうですか。それにしても立派ですな!!」
「ありがとうございます。もう間もなくわが軍がこの基地に到着するころだと思われますのでよかったら見ていきますか?」
「ぜひそうさせてもらおう。」
少しすると続々と帝国軍が基地に到着した。
「帝国でパレードを見たときにも見たが、間近で見るとこんなにすごいものだったか。」
皇国の将軍が見ていたのは帝国で新設された第1軽装機甲軍の35式軽戦車(35t軽戦車)だった。
軽装機甲部隊は軽戦車や装甲の薄い戦車を中心に編成されている部隊だ。
エルスランド帝国軍の戦車は第二次世界大戦から現代まで様々だが、実際のスペックは当時の物よりはるかに高い。そこに目を付けたのが大山多喜男陸軍中将とハミルトン陸軍参謀総長だった。
転移した後、何が起こるかわからなかったため政府が軍拡を行った際に新たな戦術として実験を行ったところ機動力を生かした包囲戦や電撃戦などに最適であることがわかった。
これらのことをふまえ、今回のイリース王国戦に軽装機甲軍を投入して実際の実力を図ろうと言うのが参謀総長の思惑だ。
駐屯基地には滑走路も整備されており、グリーゼ皇国内からイリース王国へ空爆などが可能だ。
軽戦車以外にも主力である中戦車や重戦車、わずかながら帝国近衛師団の87式偵察警戒車や89式装甲戦闘車も見受けられる。
皇国の将軍や士官たちは間近で見る同盟国軍の兵器を子供のようにはしゃぎながら見ていた。
そんな光景から3週間が過ぎた今日、いよいよ王国との戦いが