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ラストエピソード

彼女と知り合って30回目のバレンタイン。

彼女は毎年欠かさず手作りチョコを作ってくれる。

「ありがとう」

そのたびに、そう言って僕は彼女の頬に口づけをする。

「くすぐったいよ」

いくつになっても、初々しい。

けれど、僕はホワイトデーにお返しをしたことはない。

「愛してもらっているから」

彼女はそう言う。


結婚して25年。

銀婚式を迎える。

「二人で旅行に行こう」

「無理はしなくていいのよ」

「30年分のチョコのお返しだよ」





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