冒険者ギルド
駄文、散文ではありますがよろしくお付き合いをお願い致します。
第2回目のお題は『冒険者ギルド』です。割と不思議な組織ですよね、冒険者ギルド。大抵は世界各国に支部を持つグローバルワールドワイドな組織でギルドの名が示すとおり相互扶助組織であり、食堂のおばちゃんから国王まで幅広い顧客と冒険者達を依頼と言う名のクエストを提示し結び付けて報酬の授受や根無し草である冒険者の管理なども行う訳です。
そして、その活動は主に馬車が主な移動手段として使われている文明レベルの世界において行われている訳なのですが……。
まず、声を大にして言いたい!
補助されないと活動できない冒険者ってどれだけゆとりなんだよっ!!!
何と言うか、上に挙げた他の項目も不可思議な部分がふんだんに盛り込まれているのですがこの冒険者の定義を覆す部分がね、もう何ていうか気持ち悪いのです。安全マージン取るのなら冒険に出るなよお前らって。
百歩譲って、異世界転移やら転生やらしちゃった日本人が安全マージン取るのは理解できるのです。そりゃあけそけそも痛いの嫌ですしね。でも、その世界で生まれ育って一般の職にあぶれてドロップアウトしたような方々がですよ、生まれたその日から魔物やら獣と隣り合わせで生きるのが常識な世界で、剣を頼みに生きる事を決意し荒事に揉まれて生きている方々がですよ、ギルドが無いと冒険に出られないという逆説的説明をこなしてしまう『冒険者ギルド』と言う組織がけそけそは堪らない程嫌いな訳です。
そして、そんな冒険者ギルドはゲームでも良くある設定、なんて説明されてる事が多いのですが現実のゲームでそんな組織があるゲームって良くあったかしら?と。
少し考察しただけで割と矛盾しか生まないこの組織、商業で活躍されているクリエイターの方々が安易に採用するとも思えないのですが、最近のゲームはそうなのでしょうか?酒場や宿などがそう言った依頼の橋渡しをするのは良く聞くのですけど、あくまでも地域ローカルなものですし、どちらかと言うと副次的なサービスであって主要施設を使ってもらうのが目的なんですよね。
更には世界各国に支部があり、と言う部分がもう致命的ですね。
世界統一されてます。統一してる組織は冒険者に便宜を図る組織です。あまりの事に文章も箇条書きっぽくなってしまいます。
びっくりする事に定職に就けないドロップアウト組でアウトローである冒険者達によって既に世界は支配されている訳ですね。もう国王やら貴族やらが貯金箱にしか見えない世界です。そりゃあやさぐれてあくどい事もし始めますよ。
そして、最大の深刻な問題は先に挙げました“よくある設定”として割と多くの作者さんに認知されてしまっていると言う部分ですね。
ええ、異世界冒険ものの小説ですと十中八九は出てきます。若干深い考察に基づいた設定を練っている作者さんも居られるのですが、大抵はそのままポンと世界規模で、国王から貴人、庶人の区別無く人脈を持ち、オーバーテクノロジーと言って良い情報統括能力を持ち、毎日多くの依頼に溢れかえって活気があり、どれだけあるか想像もつかない程の財力を持って。……作者さん、あなたの世界はこの組織があるだけで破綻してませんか?
人、物、金、そして情報。全てが世界規模で揃う組織なんです。使い捨てに出来る戦力もまた掃いて捨てるほど居て、しかも全員勝手に育って行ってくれてるんです、自主的に。
もちろん、冒険譚を紡ぐには欠かせない性質はありますので全てを否定するものでもありませんが、多少は考察を行った上で設定して頂きたい次第なのであります。
例えば、単純に世界単位ってのを削ってローカルな組織にしてみたり、逆に世界単位ではあるが既に当然のように貴族に乗っ取られていて機能不全を起こして居るが組織として巨大化しすぎている為に、止まれずに走り続けているとか。
このように一味付け加える事で、冒険者ギルドもただの世界設定の破壊者から冒険譚のネタに早変わりするのです。
それでも、保護を受けないと働けない冒険者と言う不思議な生き物は生まれて来てしまうのですが、仕方が無いので心の中で「お前ら冒険しろよ」とツッコムに留めて置く事にします。
この文章があなたの一助になれば幸いです。
お付き合い頂いてありがとうございました。