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PTSD


「今回も就職試験落ちたの?」

「あぁ、どこも前科持ちの殺人犯は雇いたくないらしい...」

 自分は川崎茜、龍神と人間の混血だ、現在『川崎薬局』の経営をしている女だ。今、元自衛官の特殊作戦群の夫の宅間大智が企業の面接の結果が封筒に入って来た。日本人は身勝手だ。昔は軍神だ英霊だの騒いでたのに、ただの殺人犯って。薄情な国民だなぁと思った数週間前のある夜、ベッドの上で寝ている時に「殺してやる!」と言われ、突然首を強く締め付けられた。私虐めたいとかそういう目じゃない。戦争で敵の兵士を殺すときの表情をしていて、それがカーテンの隙間から入ってくる月明かりに照らされていた。

「どこも駄目だ、テレビやネットで連日報道されていたからな...」

「だったら私が貴方を雇ってあげるよ」

「何だと?俺が怖くないのか?!DVをしたんだぞ!」

「戦争はもう終わった、もう銃弾に怯える必要はない」

「違う!まだ終わっちゃいない!今でも仲間が夢に出てくるんだ、あいつは良い奴だった。面白い話してくれた。けどあいつは地雷を踏んで俺の目の前で木っ端みじんに飛び散ったんだ!」

「落ち着いて、もう大丈夫だから」

「すまない、取り乱してしまったな...」

 私は子供をあやす時のように優しく大智を抱きしめた。これしが方法が無いから。これが恋愛小説に出てくるDV男に見えるか?。いいやそれは大きな間違いだ。人差し指一本で簡単に人を殺せる武器を持った人間に対してそれは侮辱ぶじょくそのものだろう。そいつはそのおかげで平和に暮らせてるんだから。その時にその友人に拳銃(一七式半自動拳銃/Glock 17第七世代)を向けた幻覚を見てしまったという。

「辛かったね、もう大丈夫私は貴方を守るから」

「あいつは、もうこの世にいねぇ、あの時俺が死ぬべきだったんだ」

「軽々しくそんな事言わないで!貴方は死んだ仲間の分生きなければいけないの!」

「......あぁ、そうだな。落ち着いたらお参りしていいか?」

「いいよ、だけど今はゆっくり休んで。その間の給料出してあげるから」

「防衛省から退職金届いたろ?あれで欲しい物好きなだけ買え」

「それは出来ないよ、あれは私が貰う権利はない」

「そうか、けど俺にはあんなの慰めにもならん。遠慮なく受け取れ」

「......分かったそうする」

 後にその退職金は子供の将来の養育費になった。私が使うのは何か罰が当たるような気がしてた。たぶんそれが良いんだろう。彼の父親も自衛官祖父は昭和の大日本帝国海軍という軍人家系だった。だから自分もそうなるのは必然だと自覚してたんだろう。他の道もあったはずだけど。結局あの男もそれを選んだ。


 


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