雪原のバイオハザード
「何だあれは?極寒の地に何で虫の巣があるんだ!?」
雪と氷に閉ざされた白銀の広大な大陸に建設された研究施設の鉄塔に三m程もある蛾の繭を私の夫の宅間大智が発見した。いつかはこうなるとは予想してたけど。想定外のテロリストの襲撃で極秘に研究していた微生物が外部に漏れ出してしまった。
「茜、どうしてお前がここに居るんだ?」
「科学者の私がここに居て何が悪いの?」
「極寒の環境でも生きていける生物の研究をしてるんだったな」
「えぇ、まあ...」
「寒い冬でも農業だっけか?」
「思うような成果出てないけどね」
私は川崎茜、今冬の南極基地(日本支部)で研究と開発を行っている女だ夫の大智は世界中飛び回ってるし。どこかで鉢合わせするのは分かっていた。目つきが人を殺した時の目をしていた。DVと言う言葉が有るけど。彼はそれ以上の事をやっている。本物の中で相手を数えきれないほど仏にしてるんだろう。
「どうして、貴方も居るの?」
「最近南極周辺で未知の集団が活動してるらしくてな」
「そんな情報ばらして大丈夫なの?」
「ただの注意喚起だから問題ない、それにもう分かってるんだろ?」
「まあね、本当は私の事恋敷くなったからじゃないの~?」
突然遠くの方で爆発音がした。最初は何かの花火祭りかと思った。一年中雪と氷に閉ざされた環境は退屈すぎるので月に何回か行われる。鼻腔に強烈な火薬の匂いとアドレナリン出まくっている複数の人間体臭が伝わってきた。廊下に赤い血を流して死んでいる同僚の研究員達の死体が転がっていた。
「え?何?」
「茜、ここは危険だ今すぐに避難しろ!」
「私もついてって良い?」
「いや、駄目だ!」
「足手纏いにならないようにするから!それにこの施設の事よく知ってるから」
「分かった同行を許可する」
「感謝します」
研究所には試作段階とはいえ寒冷地でも生存できる昆虫や植物が居る。もしかしたらと思ったけどその予感は見事に的中した。周囲の研究員やテロリストを肥料に急速に成長していた。ざまぁ見ろと言えばその通りだけど。ここで食い止めないと被害が南極の外に広がってしまう。だから今の私が取れる手段は焼却処分だ。
「もしあれが外に出たら...」
「地球文明の崩壊だな」
「どうすんのこれ?」
「決まってんだろ、焼き尽くすのさ!」
「これで全部?」
「見た限りではな...」
私は魔術で空間型の外部から視認できなくなる結界をを張りその中で服を全て脱ぎ、すっぽんぽんの素っ裸になった。そしてその状態で龍に変身し建物の天井を突き破り口から熱線を吐いて虫や植物を最初こそ寒かったけど、何度も放射攻撃している内に、莫大な余熱で周りの氷や雪が解け、温度も暑いと感じる程急上昇していた。そのおかげで焼却作業早く進んだ。しかしあれだけ暴れまくっておいて海面上昇はしなかった。それはある意味幸運だった。
「うぅ、寒かったぁ」
「どうした、名残惜しいか?」
「全然」
服を着て南極から出る準備を始めた。研究所内の同僚の遺体は大智の部隊が極秘に回収してくれるらしい。自分はまだこの施設に用事が有るので彼等を全員魔術で『居ない』と錯覚さ先に帰ってもらった。幸い自分の実験などの資料は無傷で汚れていなかった。勿論、仕事が終わり次第おさらばするつもりだ。




