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生きてるだけじゃ
翌朝。
俺は、孤児院の寝床を抜け出した。
《灰鴉》の荷は、すでにまとめられている。
「……やはり来てしまったか。」
ロランの声。
俺は、深く頭を下げた。
「お願いします。連れて行ってください。」
マルセルが、苦笑する。
「ほんと、面倒なガキだ。」
「ですが。」
ピエールが、静かに続けた。
「この子は、逃げません。」
「逃げる選択肢を、もう捨てている。」
ヴァンサンが、腕を組む。
ロランも腕を組み、目を閉じて眉間に皺を寄せしばらく考え、やがて長く息を吐いた。
「……分かった。」
全員が、驚く。
「正式な弟子じゃない。あくまでも同行だ」
「荷物持ち。」
「使い走り。」
「最悪、囮だな。」
「それでも、よろしいですか。」
ピエールが、念を押す。
「はい!」
即答だった。
「……仕方ねぇな。」
マルセルが、頭を掻く。
「ついてこれるとこまで、だ。」




