Dialogue Theater いのちのあかし・その四
集められた五名から台に上がる一名を選ぶ。
「それでは、このカードを見た時の第一印象を話してください」
係の人から言われて端の若い女性から順番に話をしていきます。
カードを受け取った時、妹と何かなと話をしていて、冗談で、
「真面目に言うと、最後に持ってるもんって多分呼吸器かなにか付けられてると思うからそれかな」
「私はメガネ」
と笑ってたんです。妹は目が良かったもので、かなり早くから老眼がきつく、手放せないのでそれだそうです。
そんな感じだったもので、本当は何を考えたっけと思い出していて、最初の女性が言ったことは忘れてしまいました。
二番目の男性は色々と活動をされているということで、
「信念を最後まで手放したくないです」
とおっしゃってました。
三番目の女性は、
「命がなくなる時に家族にそばにいてもらいたい」
と、そして私を飛ばして五番目の男性は、
「三番目の方とかぶりますが少し前に父親を亡くして最後までその手を握っていたので」
とたくさんその時の経験を語ってくださってので、
「誰を選びますか」
となった時に、全員一致みたいに五番目の方と決まりました。よかった、座って見られる。
私はですね、正直に話したんですが、こんな感じです。
「私はなかなか物が捨てられない性格で物を処分できない。最後の時に手放せない物が一つということは、それ以外の物は全部なくてもいいという物。もしもこの対話を聞いたらその一つが何か分かるかも知れない、そうなったら色々と処分できるようになるかなあ」
係のお兄さんに、
「なかなか変わった視点ですね」
とちょっと笑われた気がしますが、正直な気持ちなのでしょうがない。




