Dialogue Theater いのちのあかし・その三
説明の方の話を聞いて、
「銀杏の木がシンボルやから、これの裏にもいちょうのスタンプ押してあるんやなあ」
と、軽い気持ちで説明を聞いていました。
最初に配られた黄色い今日のテーマのカードの裏側、ぽしょんといちょうの形にスタンプが押してあったんです。
その押し方がなんか不自然だなとは思いました。全部にマークが付いてるのなら、もうちょっときちんとした形のデザインになりそうなのに、後からぽしょんと押したような感じです。
そして係の方の次の言葉にまたびっくりすることになります。
「最初にお渡ししたカードの裏にいちょうのスタンプを押してある方が五名いらっしゃいます、手を上げてください」
って、ええっ! これ、全員にあるんちゃうの!
恐る恐る手を上げたら、あっちこっちから私のも含めて手が五本。五名と言われてるので当然ですが上がりました。
「その中からお一人の方に今日のテーマについて対話をしていただきます」
って、嘘やん!
「では五名の方、廊下の方にいらっしゃってください」
ということで、廊下に呼ばれて行ったのが五名です。
若い女性、そこそこ年配の男性、中年らしい女性、若い中年の男性と私の五名です。
「これから話し合って対話する方を決めていただきます」
係の若い男性がニコニコして言ってくれるけど、どうやって!
まずは強制ではないので、どうしても嫌だと言う人は言ってくださいと言われ、他にも色々と注意がありました。
「対話をする方は舞台の台に後ろ向きに立って顔とかが分からないようにします。そこで画面に映る方と対話をしていただきます。その映像は後に利用するかも知れませんので、その承諾書にサインをいただけない方はおっしゃってください」
なんかめんどくさいことになってきたなと思いました。
この時の私の正直な気持ちはこうでした。
「ええ、それに選ばれたら立ったままでおらんとあかんのか。せっかくゆっくり座って見られると思ったのにそれは嫌やなあ」
一日中歩いてて、パビリオンに来てからもしばらく立って待っていて、二階に上がってからも映像を見たり説明を聞いたりしてちょっと疲れてきてました。座って映像を見るという話だったので、ゆっくり座って見られるのがいいなと思っていたもので、本当にこれが正直な気持ちでした。
知らない人と対話する、そういう経験はしてみてもいいかなと少し思ってましたが、本当にこの時、
「できたら座って見てたいからやりたくないなあ」
と思う気持ちがかなり強かったです。
こんな風に当たりの人にはスタンプが押してあります。
手で押してるという感じなのでちょっと違和感はありました(笑)




