インドネシア館・その三
映像の部屋を出たらそこにはインドネシアの伝統的な織物が何点か飾ってありました。
「バティックじゃないの」
「なんか違う織物の名前書いてあるよ」
見てみたら同じ伝統的な織物でも色々あるんですね、一言でバティックとくくってはいかん気がしました。日本だって西陣織もあれば黄八丈もあれば大島紬も越後上布も、数え切れないほどの織物がありますもんね。勉強になると同時に、インドネシアと言えばバティックと思った短絡的思考をちょっと反省。
織物の前で少し休憩し、下の階のジャングルを上からも見てみたりしました。そして次の部屋に進むと、そこは階段状の上映空間で、バリ島の「ワヤン・クリット」という影絵芝居の短い映像を上映していたので、それも座って見ていました。
面白かったのは、映像がもうちょっとで終わるというところで、係のお兄さんが後ろから、
「はい、ありがとございましたー」
と、観客たちを追い立てたこと。映画のラストシーン、登場人物が情感たっぷりに海を見つめているところで「終わったよ」と追い出しにかかったような感じです。そして同じこと繰り返してるのかなと思いつつ席を立ち、出口に向かった頃に最後のエンドロールが流れてきたもので、終わる前から追い出しにかかったのがよく分かって笑いました。
「やっぱりここはそういうパビリオンなのかな」
と妹と笑いあったんですが、ここで入った時のことに戻ります。
インドネシア館に入ろうと行ってみたら、パビリオンの前の道を挟んで大屋根リングの下の方に並ぶ列ができていました。
「ここも並ぶんやな」
「でも早く進んでるみたい」
と、行列の最後に付いたんですが、とにかく進む、どんどん進む、立って待ってる時間がないぐらいどんどんと進む。
「これ、列にする必要あるのか」
と思うぐらい進んで進んで進みまくります。
そしてステージでは楽しいショーをやっていて、前にいる妹がその音楽に乗って踊りながら進んでいるのがもう面白くて、ずっと後ろから動画を撮りながら付いていきました。
行列の歩みはさらに早くなり、通路を渡る頃になるともう走ってます。
その音楽や歩みに合わせるようにパビリオンの方たちが、
「早くっ! 早くっ! 早くっ! 早くっ!」
と拍手で楽しそうに追い立てるのももう面白くて面白くて。
パビリオンから出る時にも、入る方ではそうやっていて、私たちのように出た人を通すために、通路に差しかかったインドネシア館に入る人たちを、やっぱり拍手で追い立ててて、見てるだけで笑ってしまいます。
大屋根リングの上からもその様子を見て笑ってました。本当に楽しいパビリオンです。もちろん展示も面白かったんですが、あの「早く早く」を見るためだけに行っても楽しいかも。
聞くところによりますと、元々並ばなくても入れたのが、この追い立てるのが面白くて、行く人が増えているとか。今度行ったら止まって並ぶぐらいになってるのかなあ。なんにしても見てきたいと思います。行ってないIちゃんやT氏にも経験してもらいたいですし。
写真はどちらもインドネシア館の前、パビリオンに入る人たちを係の人たちが「早くっ! 早くっ!」と追い立てて、一定数を通したら通路の人を通してくれます。
思い出すだけで笑ってきます(笑)




