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我楽くたくた万博漫遊記  作者: 小椋夏己
2025年6月17日(火)三回目
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フィリピーナとフレンド

 水も汲んで一息ついたので、ちょっと休もうということになりました。


 水を汲んだのは大屋根リングの下の給水スポット、その気になればいくらでも休める場所はあります。


 あるんですが、ただ、お昼の時間、おひさまさんさんと当たる席はやっぱり人が座ってない。みんな影に座りたいのは当然です。


「どこかちょっとでも日陰のところないかな」


 と見ていたら、半分ほど日陰の場所が空いてたんですが、その隣の日陰のところに座ってるおばさんがちょっと変な座り方をしてる。


 ベンチの端っこに座ってベンチの内側、この場合は大屋根リングの内側から外の日の当たる方向に向かって座ってるんですが、右足を普通にベンチから降ろしているのに左足を斜めに伸ばしてる。足先だけがベンチの先に出て、靴が乗らないようにしてる形。


 なんだろうと思いました。前回、アメリカ館の巨大ベンチで靴のまま座ってたおじさんを思い出したんですが、足が疲れたから伸ばしてるのかな、痛いのかな、靴を上げてないだけあのおじさんよりましだなぐらいの考えで、そのおばさんの座ってるその先に座ることにしました。半分ほど日陰だったし、十分座れる場所だったので。


 そこのおばさん側にT氏が座り、その隣に私が座ったら、そのおばさんがまた妙な動きをしたのです。

 

 赤っぽい色のついたファイルをうちわ代わりに持ってたと見えるんですが、それで自分の足の先のあたりを叩くんです。


「おい、座るんじゃないよ」

  

 的に見えました。軽い形でなんですが、何回も何回も叩くので、


「なんだ、この厚かましいおばさんは」

 

 と、不愉快な気持ちにもちろんなりますよね。


 そしたらその方が、


「フレンド、フレンドフレンド」

 

 と言ったので、


「ああ、お友達が来るって言ってるのか、それで足を伸ばして場所を取ってたわけね。海外の人か」

 

 と理解できたので、T氏が席を立って向かい側に座り直そうとしたら、


「そうじゃないの」

 

 みたいにジェスチャーして、


「ここからここだけ空けておいて」

 

 と、一人分だけ、友人の分だけ空けておいて、みたいなジェスチャーをしました。そういうことね、納得。


 ということで、ちょっとだけ詰めてT氏も隣に座り直しました。何しろそこ以外はおひさまがガンガン当たってたので。


 それでどこの国の方かなと、アヤシイ英語で聞いてみたら、


「カントリー? フィリピン」


 と教えてくれて、


「フレンドは水を汲みに行ってる」

 

 と言うので、なるほどとこれまた納得。さっきまで私も並んでいた給水スポットの列にどうやら並んでいるようです。


 言われて気がついたんですが、私たちが並び始めた起きよりずっと列は長くなってました。あれは下手したら30分ほどかかるんじゃないだろうか。


 なので、


「列長いですね」


 みたいに話しかけて二言三言、ぶっこわれた英語もどきで話してたんですが、こちらもそう得意じゃないというか、海外行っても半分は関西弁でいってるような部分があるので、あまり話が続かない。


「イングリッシュオンリー」


 と、おばさんが自分を指して言うので、


「ジャパニーズオンリー」


 と、お互いに言って終わりました。


 しばらくしたらお友達が帰ってきたらしく、そのままどこかに行ってしまった。


 短い時間、数回のやり取りですが、こういうのも万博だなとちょっとうれしかったです。もっと英語がペラペラだったらもっと楽しかったかも知れないですが、まあこのレベルなのでしょうがないですな。

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