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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第6章 娯楽と快楽の街ベルフルーシュ

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第85話 カルザル①










「どこに行くんだよ」


てっきり宿に戻ると思っていたアイラは手を引く少女についていく。


「俺が先日受けた依頼をやりに行く。それなら特に問題ないはず」


「へぇーどんな?」


「カルザルの討伐だ」


「猿かよー」


カルザル────

白い猿。1m~1.5mほどの猿で手が異様に長い。その手を鞭のように扱って狩りをすることから『狩る猿』と呼ばれる。5~6匹の群れを成す。


少女は東門を出ると依頼書を取り出して確認した。


カルザル討伐依頼────


依頼主 仕立て屋

討伐対象 カルザル5~10匹分の毛皮素材

報酬 1匹1000ユーン ※メラニズムは1匹1万ユーン

適正ランク Dランク

推奨ランク D-C


────


情報では東の山脈の森に多く生息しているとのこと。


山脈入り口はベルフルーシュから20kmほど距離があるため準備運動もかねて10kmずつ走って行くつもりだった。帰りは馬車が近くまで往来しているらしく、それに乗るつもりだった。


「げ、走ってくのか結構距離があるぜ?」


駆け足になる少女にアイラは足並みを揃えながら言った。


「きついなら宿で待っててもいい」


「は?お前、私がそれくらいできついと思ってんのか?そっちを心配したんだよ」


「なら心配無用だ」


目的地までは2時間くらいで行けるだろうと、2人は走った。


ブレッドからもらった砂時計を見ながら1時間経って休憩を挟んだ。山脈へ続く街道のど真ん中でアイラは息を整えて汗を拭った。


「やば、ちょっと体力落ちたかも」


「遊んでばかりいるからだろ」


クラウディも水筒の水を飲み一息入れる。身体が大分暖かくなってきて戦闘をするにはもってこいだ。


「違うね、酒が残ってただけだから」


そう言って少女から水筒を奪いゴクゴクと水を飲む。


────自分で体力落ちたって言ってただろ


心の中で思うが、クラウディは水筒を返してもらうと辺りを見渡した。


ベルフルーシュに来るまでの背の高い草の草原に似ている。ただ地面には何回も荷車が通るのか車輪の跡が残っていた。


「アイラはインベントリは持ってるのか?」


素材を持って帰るのにインベントリがないと不便だ。アイラが持っているなら好都合である。


「安いやつなら……ほら」


アイラは自分の荷物から小さな袋を取り出した。クラウディより一回り小さいが手を入れさせてもらい中が広い空間になっているのがわかった。


「容量は?」


「5ℓ」


「5?!」


容量の少なさに思わず驚いた少女。元男はこの世界の常識を知らない。


「安いしな……良いものなら10倍は入るんだけどな。金ないから」


────10倍でも50なんだが


フロレンスからもらったのは500ℓでこれは言わないほうが良いなと黙っておく。


「……ちなみにいくら?」


「私のは5万ユーン。50ℓは500万くらいはしたかな」


アイラは思い出すように唸った。


────単純計算で500なら5億……いやそんなばかな


とんでもないものを持たせてくれたなとフロレンスに感謝しつつ、絶対に無くさないようインベントリがある場所を触り、存在があるのを確かめて安堵する。


彼女らは休憩もほどほどに再び駆け足で出発した。


そしてさらに1時間経つと鬱蒼とした森が見えてきた。その背後は気高い山脈が見える。街道は森に沿って左右に分かれていた。


2人は街道の分かれ道で再び休憩をとった。


「アイラ、大丈夫か?」


「はぁ……まあなんとか」


彼女は手で風を仰ぎ、水分を摂る。体力は戦士だけあって高いようだった。クラウディも水分を摂り眼前の森を注視した。獣道らしきものがいくつかありそこから入っていくつもりだった。


街道に沿って行けば正式な入り口があるかもしれないが探していたら夜になるだろう。


鳥か獣か時折鳴き声が響いた。


「そろそろ行くか……」


「え~腹減ったぜ……何か食べてからにしようぜ」


「戦闘になると吐くかもしれないぞ、なんか作ってやるから」


「へぇ、クロー料理できんの?」


少女が頷くとヘラヘラと笑いながら立ち上がり側まできた。そして2人は森へと入っていった。


森の木は針葉樹っぽく枝の位置が高いものが多い。同じ景色が続き、迷いそうだったのでナイフで印をつけながら奥へと進んだ。


森に入って1kmは進んだだろうか、辺りから視線を感じ、一定距離を保ちながら何かがついて来ていた。姿はないが数は3~5匹。もしかしたらもっといるかもしれない。


「カルザルはおすすめの倒し方あるか?」


クラウディは歩くペースを落としてアイラの側に行くと小声で言った。Aランクともなれば効率的な倒し方を知っているのではと期待する。


「叩き斬ってりゃいーって」


「気をつける行動とか……」


「大した攻撃力ないし受けりゃいーよ」


────考え方が脳筋だな


少しでも戦術を期待したクラウディだが間違いだったとため息をついた。


辺りの気配がより近づいて来ている。


「アイラ、気づいてるか?」


「何が?」


首を傾げてわからない様子だった。以前同行した、同じくAランク冒険者のブレッドはモンスターの気配に気づいていたが同じランクでも職によって違うのだろう。クラウディはモンスターの気配について共有した。


「すげーなクロー……よし、なら任せとけ」


「……?」


アイラは空気を吸い込んで背中を反った。


「『挑発』!」


大声で叫び振動のようなものが辺りに広がった。少女は、間近で衝撃を受けて一瞬目の前が真っ白になる。なんとか踏ん張って意識を保っていると辺りから多くの気配が接近し少女らを取り囲んだ。



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