表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第6章 娯楽と快楽の街ベルフルーシュ
78/214

第78話 賭博『プッチーウッチー』






夕方────


クラウディは目が覚め、ズレていた仮面を元に戻すと外を見た。オレンジ色の光が窓から差し夕方になっているのがわかった。


アイラは相変わらず戻った形跡がなくおそらくまだ遊んでいるのだろう。


────3、4時間くらい寝てしまったか……


ある程度体力は回復したものの今日はこれ以上依頼は無理だなと湯を浴びた。ついでに汚れた服も手洗いする。


何回も洗ったりしているので傷がついてところどころ破けそうになっていた。同じような服はあと2枚あるが、1枚は新品でもう1枚は同じくらいボロボロであった。


「服か……」


実は他にもフロレンスが服を支度してくれていたが全部女性ものなので元男として着る事ができなかった。


そろそろ新しい服を購入してもいいかもしれないと思いながら服を仕切りに干すと窓に近づいた。


大通りに面しているので人が行き交う姿を多く確認できる。いくらかアイラの姿を探したが見つからなかった。


探しにいくか考えたが道に迷うか、変な者に絡まれる可能性もあり今日は大人しく宿にいようと本をインベントリから取り出して読み始めた。





夜────


クラウディはいつのまにか夜になった外を見て本を閉じた。


食事にでもしようかとインベントリを漁っていると慌ただしい足音と共にアイラが勢いよくドアを開け放った。


「クロー!」


クラウディを見つけたアイラが駆け寄り膝下に抱きついた。


「聞いてくれよー!」


「やめろ!離せ!」


アイラは目を潤ませながら聞き取れないほど早口でまくしたてる。少女は引き剥がそうとしたが力が強くて椅子ごとひっくり返りそうになった。


「ん、お前荷物は?」


ふとクラウディはアイラの荷物と大斧がなくなっているのに気づいた。それを聞いて彼女がおいおいと泣き出し少女の膝に顔を埋めた。


少しして落ち着いて来たのか今度はゆっくりと話し始めた。


「朝から賭博に行ってさ────」


彼女の話では朝別れたあと賭博場へ行き、賭けカードというのをやったらしい。珍しくある程度勝ったのだが、その後調子に乗って賭け続け、ある男にボロ負けしたとか。荷物や大斧も担保として賭けてしまい全て取られてしまったという事だった。


それを聞いてクラウディはため息をついた。


「金はもう貸さないぞ」


「じ、じゃあせめて荷物と武器取り返してくれねぇか?その、無いとクエストも出来ないしさ……」


金を貸さないワードを聞いてぴたりとアイラは泣き止み顔を上げた。


「取り返すって……俺が?」


そういうと激しく縦に首を振る。


「武器なんて適当に買えばいいだろ。そのくらい買ってやるから」


「い、いやあれかなりいい斧だからさ……属性のやつなんだよ」


「」


────確か属性武器はかなり珍しいってスコットが言っていたな


少女は呆れて頭を抱えたが、属性武器は捨てられない。


ため息をつくと立ち上がった。


()()みたいに賭博は得意じゃないが……案内してくれ、やれるだけやってみる」


アイラは待ってましたと飛び跳ねクラウディの手を強く引きながらやられた賭博場へと向かった。





娯楽街のとある裏路地にある『賭博 プッチーウッチー』という看板の店に着くとアイラはドアを蹴り開けて中に入った。


────完全にやくざだな


中は足の高い丸テーブルがいくつも並び、硬貨がいくつも積まれていた。そこには冒険者や豪華な衣装をしたものみすぼらしい見た目の者など様々な人が席に座り賭けに勤しんでいた。


アイラはその中でも1番奥のテーブルへと肩を怒らせて歩いて行き、テーブルを叩いた。


そこには喫煙している小太りの男とその護衛と思われる男2人組が左右へと立っている。


「これはこれはAランク冒険者様のアイラ様ではありませんか。また負けにいらしたので?」


アイラはそれ聞いてギリギリと歯軋りした。


「てめ!イカサマ野郎が!私のもの全部返しやがれ!」


「いやはやイカサマなどしてませんよ……心外ですね」


反対に小太りの男は落ち着いており終始ニヤついていた。その背後にはたくさんの金貨や宝石がありアイラの大斧も置いてあった。


「おや、そちらのお方は?」


「へ!こいつがテメーらを潰すからよ覚悟しろよ」


アイラはクラウディの肩を掴むと何かいう暇も与えず椅子に座らせた。


「私はここの店を取り仕切っているナナイロと申します。どうぞよろしく」


ぺこりと頭を下げながら男はジロジロと目の前の新顔を眺めた。


「クローだ」


クラウディもナナイロという男が指にはめているいくつもの指輪や手の中で転がしている硬貨を見ながら返事する。


────みるからに成金て感じか


『取り仕切っている』というのなら上のグループからの序列があるのかもしれないなと少女は思った。


「これはこれは、男の人でしたか。さてここに来たからには遊びに来たのでしょう?なにをなさいますか?」


ニコリと笑う笑顔の下には何を隠しているのかと思いながら少女はアイラを見た。


アイラの話では賭けゲームでやったのは俗にいう『HiGH&LOW』というシンプルなゲームだ。1から11までのカードをシャッフルし順番に引いて行くもの。


ただ、カードを引く際に『HiGH』か『LOW』 を宣言して相手が引いたカードより高いか低いかを当てていくものだ。当てたものが勝ち数をもらえ、最終的に多くの勝ち数を持ったものが勝利となる。


これの面白いのが後半6枚目からは『HiGH&LOW』を宣言した後にもう1人が数字を宣言する。もしその数字が捲るカードと同じなら勝ち数を奪う事ができるというものだ。


ベットする金額はお互い合意の金額からスタートし、勝つごとに3倍まで上げる事ができる。


このゲームにはいくつか確定勝ちできるパターンがある。そのうち一つはカードの順番を全て把握すること。他にもカードを自分の都合よく配置する事などだ。


前者は単純にその人の能力。後者はイカサマだ。しかしこれらの方法はディーラーか、2回目からしか使えない。


この世界ではどこまでのイカサマが流行っているのかわからないがやれることはやらなければならない。


「『HiGH&LOW』で頼む」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ