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第51話 ラントルとスコット








「男物の下着を着けるなんて下品」


小一時間すると2人は部屋へ帰って来た。ついでに結構な量の食事を支度してくれ、テーブルを囲っていた。


かなり空腹だったためクラウディは常に咀嚼している。


「そうか?動きやすんだが」


クラウディが着けている衣類はラントルが適当に用意したものだった。ヒラヒラとしていかにも女性らしい。


「いや、ノーパンで歩いてるようなものでしょ……」


何ともないと言わんばかりの少女にラントルは呆れた。


「男装はいいとして下着は女性のものにした方がいいわ、絶対」


────どっちでも結果は変わらなかったと思うが


そうは思ったが魔法使いが酷く睨むので少女は頷いた。


「してお前さん、これからどうする?また金を稼ぐのか?」


ドワーフもガツガツと肉やらスープやらを頬張っていた。あれだけの筋肉なのだから当然その分補給が必要なのだ。


「『ベルフルーシュ』に行く」


そういうと2人は吹き出した。少女の顔にモロにかかりラントルは慌てて拭くのを手伝った。


「ベルフルーシュ……お前さんはやめた方が良くないか?」


「?なぜだ?」


ドワーフと魔法使いは顔を見合わせベルフルーシュについて話した。


娯楽と快楽の街ベルフルーシュ────

街は大きく、娯楽施設が沢山ある。特にそこでの賭けごとは絶対的な力があるとの事。レイボストンよりは警備隊もしっかりしているので危険ではないが、心と金を毟り取られると言われている。


クラウディは話を聞いて別にそうでもないのではと思った。元男は賭けごとが苦手というわけではないし、いざとなれば多少イカサマだって可能だった。


「ね?行かない方がいいよ」


ラントルが不安表情を見せた。しかしクラウディは首を振った。


「そこに俺が探しているものがあるらしい」


「らしい?」


少女は例の占い師について話した。ラントルは詐欺じゃないのかと疑っていたが、ドワーフは難しい表情で唸った。


「蒼眼の巫女……か?」


「?」


「いや、何でもない……そうか、なら行くべきだろうな」


「え、本気?」


ドワーフも止めるだろうと思っていたラントルは驚きに声を上げた。彼はジョッキに入った酒をグイッと喉に通す。


「お前さん、どうせ今も1人なんじゃろ」


「まあ……」


「仲間を作れ」


クラウディは食事の手を止めた。ドワーフを見ると真剣な表情だった。


「信頼できる仲間ならなお良い」


「……ならお前が来てくれ」


言われた少女はダメ元でスコットに言った。しかし案の定首を振られ断られる。


「生憎、前にも言った通りわしはローランドルから離れられん。今回はラントルが泣いて────」


「ちょ!それは言わないで」


ドワーフの言葉の続きを顔を真っ赤にしたラントルが慌てて遮った。


────当然か


少女をここまで助けに来てくれただけでも奇跡に近い。これ以上は欲はかけない。そう思い彼女はそれ以上何も言わなかった。


「じゃあ、私が組んだげる」


沈黙が続くと不意にラントルが立ち上がった。


「いやお前自分のパーティ────」


「抜けて来ました!」


「え」


「実は────」


ラントルはどうやら『神速夜行』を抜けてレイボストンへ来ていたらしい。自分への劣等感とユーリの不穏な行動等が相まって限界に来てしまったと。


「────だから最後にユーリに『死ね!』って言っちゃった」


ゲラゲラとラントルが笑うとそれを聞いていたドワーフもニヤリと笑った。


「で、どうなの?」


突然グルリと首をクラウディに向けるラントル。話して調子が上がっているのか、目が爛々と輝いている。


「ああ、よろしく頼む」


半ば気圧された感はあるが、少女は二つ返事で了解した。

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