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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編

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第311話 ティリオと買い物①







そして現在────


クラウディたちは疲れた身体を休めるため、各々休暇を取っていた。


アイラは最初の数日以降は、相変わらず酒場に入り浸っているのか全く宿に帰って来ず。


少女は1人で宿のベッドに寝転んでいた。


失くさないようにと懐に入れたアーティファクトを取り出して眺める。


煌めく宝石のような勾玉は光にかざすととても綺麗に映った。ずっと眺めていられるほどに。


しかしその勾玉の羽はあと1枚のみ。つまり『転移』は一度きりだ。


「はぁ……」


寝起きで頭が回らないのもあるが元男の少女は無気力気味であった。長いダンジョン攻略の疲れもあるのだろうが、結局帰れなかった残念さの反動が大きい。


何もやる気が起きなかった。


記憶についてはまだ自分の名前も思い出せない。しかし転生前は常に金がなく、ボディーガード兼、アパートの管理人をしていたことは思い出した。


それに金髪黒ドレスがどこかのお嬢様というのと、そのメイドの姿もはっきりし、猫の被り物をした男も姿は思い出した。他にも誰かいたが、あやふやだ。


だが、それだけ。


それ以上思い出そうとするとまるで鍵がかかったように記憶の扉が閉まり真っ暗となる。無理に思い出そうとすれば再びあの激痛が襲うのだ。


少女は気怠く寝返りを打った。再び目を閉じて2度寝しようと微睡む。


そして再び目を開けたタイミングでドアが激しく叩かれた。


「おーい!クローいるか?!寝てんのか?!」


ティリオの声だ。


クラウディは居留守を使おうとしたがなかなか止まないため、仕方なく起き上がってドアを開けた。


「お前、いるじゃん!って、なんて格好してんだよ?!」


少女は言われて自分の姿を確かめた。薄い白いシャツにショーツの姿だ。


「…………ああ」


「ああ……じゃねーよ!着替えてこいよ!今日は服買いに行くんだろ?!」


────そうだったな


いつかダンジョンで約束したことを彼は覚えており、先日再度約束したのだ。それが今日だったのをすっかり忘れていた。


「まあ、入れ」


「入れじゃねー!さっさと着替えてこいって!下で待ってるから!」


顔を赤くし目を逸らすティリオは足早に階段を降りて行った。


少女はのろのろとエルフの衣装に着替え、胸サポーターやらを装着し、刀を両腰に下げて外に出た。


宿の外では、ドアのすぐ横に小さなリーグットがおり、待たせたなと声をかけた。


ティリオは視線を合わせず、行くぞと足早に歩き出す。


────怒ってるのか?


約束をすっぽかそうとしたことに憤慨しているのだろう。少女は謝って彼の隣に並んだ。


リーグット族は小さいので早足だろうがすぐに追いついてしまう。


「アイラは一緒じゃないのか?」


約束した際にアイラも一緒に行きたいと言っていたのだが、姿が見当たらない。


「……アイラは来ない」


「酒か?」


「まあそんなとこじゃね」


返答に少し素っ気なさを感じたが、すっぽかそうとした手前それ以上は言わなかった。


2人は宿の前の下り坂を降り、冒険者が行き交う大通りに出るとダンジョンのある方へと進んでいく。


────なんか視線を感じるな


大通りは出店が多くあり人通りも多いのだが、すぐ側を通る冒険者からやけに視線を感じた。


チラリと後ろを振り返ると視線が合うほどだ。


「ティリオ……何か狙われてるか?」


「は?……あぁ、違うって。お前の格好と顔だろ。美人はそりゃ振り向かれるよ」


「……顔、格好」


「気になるなら違う道行こうか?」


「頼む」


あまり目立ちたくない少女はガイドポーターに頼みそうしてもらった。


すると彼はすぐ横の路地に入り進んでいった。


流石マッピングが得意なだけあって地図も見ずに迷いなく進んでいく。人通りはかなり減ったが、それでも幾人かとはすれ違い、やはり視線を感じた。


嫌な予感がするなと感じ始めていた少女だったが、やはり悪いことは起こるもので、大柄な男衆3人とすれ違った際に声をかけられる。


「おぉ?ねーちゃんいいねぇ~。別嬪じゃねーか!どうだ?俺たちと一緒に遊ばねーか?」


「うおっなんだその格好!誘ってんのかぁ?」


どれも冒険者なのか一番大柄な男の背には大剣、その次に大きい男はロングソード。後の1人はブロードソードを腰に差している。おそらく同業のものだろう。


「先を急いでるんだ、また今度な!」


ティリオは一瞬たじろいだが、そう返答して少女の手を引くと先に進もうとした。


しかし男3人は2人を挟むようにして道を塞いだ。


「おいおいチビ……何してんの?お前には用は無ぇ。その女置いてけや」


一番ガタイの良い男が小さなリーグットの腕を掴んだ。


その瞬間少女は目にも止まらぬ速さで両手に刀を抜いた。


「ま、待て!クロー!問題は起こすな!」


素早く背後に回り、致命傷は避けて腹に穴を開けようとした少女はその言葉にピタリと動きを止めた。


切先が少し背中に触れ血の筋を作る。


「は、え?は?!」


状況が理解できていない大男は消えた少女を背後に見つけて怯んだ。


「な、なんだ今の動き……く、くそ!やっちまえ!」


「やめとけよ!そいつはダンジョン攻略組の1人だぞ!」


男たちが武器を構えるのを見てティリオは叫んだ。


「ダンジョン攻略っ?まさかこの間クリアしたって奴らか────確か」


「こいつはあの『闘神アイラ』のダチだぜ?!手を出したらどうなるんだろうなぁ!」


アイラの名前を出した途端に男ども3人の顔が青くなった。特に背中に刀を突きつけている男は本物だと分かったのか冷や汗がダラダラと垂れていた。


やがて大男は降参だと手を上げ、クラウディが刀を納めると仲間を連れて一目散に逃げ出した。

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