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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編

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第304話 代償の代替







『…………え?何だここ?』


アイラは先程までクラウディの横にいたが、気付けば見たことのない真っ白な空間に来ていた。


不思議と体が軽く、立ち上がって辺りを見渡す。辺りには物という物がなく、真っ白な地面とそれが続く地平線しか見当たらない。


『貴様……』


『ん?』


声がし、背後を振り返った。そこには白い和服を着た女が立っていた。和服といっても男物だが。


────ん?男か?ていうかワフクって何だっけ?


目の前の人物は白く長い髪を持ち、身長はアイラと同じくらい。しかしその頭には獣の耳が生え、腰からは二股の尾がうねうねと動いていた。


『誰だよ……ここはどこだ?』


『ここは我と主の世界────ああ、クローの剣の力の世界。と言った方がわかりやすいか』


『え?』


────何言ってんだこいつ


目の前の人物の顔がぼやけてよく見えず、話す内容も上手く理解できない。


『く、クローの世界って何だよ。クローはどこだよ』


『クローはあの男に命を捧げようとしている』


『…………は?クローが?あの男って……カイザックに?』


『そこでお前に、主の代わりに寿命を半分差し出して欲しいのだ』


突拍子のない内容にアイラは黙った。最後に少女を見たのはカイザックに口づけをする場面だった。その時は裏切られたような感覚に陥ったが、確かに少女は何かしようとした風であった。


目の前の人物の話と少女の行動を照らし合わせるに、おそらく経口で命を渡そうというのだろう。


そのシーンを浮かべて少し苛立ったが、アイラは何とか落ち着き、目の前の者の言葉を考えた。


────目の前のやつはクローの剣の力の化身というわけで、つまりクローが命をカイザックに移そうとするから、私の寿命の半分を寄越せと。


『それで合っている』


心を読んだかのように目の前の人物は言った。


『クローが命を渡すと、クローは死ぬのか?』


『そうだ』


『私が寿命の半分を差し出すと助かるのか?』


『いかにも』


『…………』


アイラの質問に淡々と答える。目の前の人物は腕組みし、指で二の腕を叩いている。


────もう、時間ねーのかな……


急ぐのかそんなイメージを受けた。


『ああ、主は渡し始めている』


『そっか……』


正直、好きな人の危機に考える時間なんて要らない────と言えば嘘になるが、それでももう少し考える時間は欲しかった。


────クローがいない世界なんて、考えられねー。カイザックとチューしちゃったけど……


しかしそのためのものならアイラは仕方ないと許した。


そしてその程度では恋情は決して消えない。


『わかったよ……持っていってくれ。私の寿命の半分でクローが助かるなら』


アイラは笑ってそう答えた。目の前の人物の口元がニヤリと嗤い、彼女に近づいた。


『貴様なら、そういうと思っていた……なら、もらうぞ』


辺りの空間が激しい光を放つ。


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