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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編

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第299話 追う2人③







カイザックたちは体力がある程度回復すると、約半日、同じ方法で崖下に降りて行った。


これだけ深く降りて行って、果ては探知にも引っかからないとなると、やはり少女は死んでしまったのではないかと不安になってくる。


今は再び休憩しており、カイザックは定期的に『探知』スキルを発動していた。


「っ!」


その内に探知範囲にかなり動くものが引っかかる。


彼は敵影の正体を察知し、すぐさまランタンの火を消した。


「うぉ!なんで消すんだよ見えねーだろ!」


休憩中に干し肉を噛っていたアイラが文句を言う。


「フロントワームがかなりいる。悪いが手探りで進むぞ」


「まじかよ……」


9階層のことでも思い出したのか声音が小さくなる。


カイザックはアイラの手を引き、『探知』スキルを使用しながら移動した。


しばらく歩いていると当然フロントワームにも遭遇したが、息を殺して何とかやり過ごす。


アイラが心配であったが、きちんと言うことを聞いてくれたので難なく躱す。


それを繰り返し、約30分ほど壁伝いに進んだが、やはり少女は見つからない。


────もっと下に降りるべきか……


落ちた位置を計算するといっても目視なのでかなりズレがある。


その旨をアイラに伝えると了解し、2人はさらに降りることにした。


ただ今度は掴めそうな部分はないので、アイラの2本の大斧を交互に壁に叩きつけてぶら下がることを何度か繰り返した。地面が近づくと斧を回収し、一気に飛び降りる。


音を聞きつけてフロントワームが集まってくるが、抜き足差し足で移動しながらやり過ごす。


「…………」


「…………」


消しきれていないアイラの足音と装備の擦れる音が聞こえる。


「……こうして2人きりになるのは久しぶりだな」


カイザックはふとそう言葉を発した。アイラとは過去に身体を重ねた仲だが、散々面倒くさいことになったのでもうそんな気は起きない。


あの鬼のような形相を思い返すだけで顔が苦虫を潰したようになる。


「きめーこと言うなよ。てめーとはもう終わったんだ」


「はは……あんなに可愛かったのにな。どこで捻くれたんだが」


可愛かった。これは本当の事だった。故に声をかけたのだが、これがまた簡単に堕ちるものだ。


しかし、あの筋肉が胸の中でしおらしくなる姿は今では想像したくなくなっていた。


「うるせ!何でかてめーの胸に手を当てて聞いてみろや」


「やれやれ……」


2人はそれ以降は余計なことは話さなかった。


そうして壁伝いに歩くこと数時間。地形を確認するためにランタンに火を灯すと、あるものを壁に見つけてカイザックは立ち止まった。壁にナイフで傷をつけたような跡がある。


「はは……さすが。あいつ痕跡残してるぜ?」


「お!まじ?!じゃあ取り敢えず生きてんな!」


火を消し、時々灯りをつけながら、さらに辿って行く。途中、モンスターと戦った跡などもあり確実に生きていることがわかる。


それから急ぎ足で辿っていくがそれでも1日以上、次の変化があるまでかかった。


変化といっても少女の意図的に残していた痕跡が消えたという嫌なものだ。


「痕跡が消えたって……どうすんだよ!」


その旨を伝えると女戦士が吠えた。カイザックは耳を塞ぎ、舌打ちして黙っているよう伝えて辺りを見渡した。


意図的な痕跡は消えたとはいえ、何かがあった痕跡が充分に見える。


複数の横穴や何かが這いずったような跡が多数。どれも新しく、その中で小さな、それでいて力強い足跡がある。


おそらくクローはフロントワームの群れに遭遇したのだ。


────どうするかな……


ずっと睨んで今にも殴りかかってきそうな女戦士を尻目に、カイザックは顎に触れて考え込んだ。


探知スキルで探そうにも引っかからないし、マナを追跡しようにもあいにく少女にはマナがない。


個人を追跡するようなアイテムも今は持ってきていない。


────いや、マナか……


カイザックはふと足跡がもう一つあるのを確認した。


それを見てニヤリと笑う。


「きもっ!」


アイラが眉間に皺を寄せるが、カイザックは気にせず、指先に集中した。同時にインベントリから簡易的な追跡アイテムを取り出す。手のひら大のビートル型のおもちゃのようなものだ。


────もしあいつがスライムを使っているなら……


「当たりだな……」


「え?!いたのか?!」


少女が使用したスライム。それにはカイザックのマナも含まれている。ならばそれを辿るのは不可能ではなかった。


指先にマナを集中させ、追跡アイテムに注ぐと方々と動き出し、一度カイザックの方へ寄るが、探索方向を指定するとそちらの方の地面を這って行った。


「追うぞ!」


「おう!」


2人はビートル型の追跡具を追ってゆっくりと歩を進めていった。追跡具は本来ならマナを感じ取ればまっすぐに向かっていくはずだが、フラフラと反応が弱い。


もしかしたら一度マナが尽きてその残滓を追っている可能性がある。それでも確実に追えているので十分役割は果たしているが。


2人は辺りにモンスターの気配がないことを確認しながら、再びランタンに火をつけて進んでいく。


ビートルはふらつきながらも崖から崖に移動したりして追跡が大変であった。


やがて崖下に飛んでいきとある崖で動きを止めた。


2人が追いつくとそれ以上動かないビートルを回収するカイザック。


崖下を覗くと岩棚はもう無く、長い斜面が見えた。


────これを行ったのか


生憎と先が見えないが、そこから嫌な気配を感じる。探知スキルを改めて発動して下まで伸ばしていくと、思わず顔を歪めた。


「ははっ……」


思わず乾いた笑いが出る。


「な、なんだよ……」


アイラは不安そうに眉間に皺を寄せた。


「あいつはこの先に行ったらしいな」


「この先って……この下……か?」


「ああ、魔道具がここで止まったなら確実に下に行ったな」


「嘘だろ……これ以上は帰れる気がしねーぜ?」


そう、今ならまだ上層階の穴の位置もわかるし、壁をよじ登っていけばなんとか戻れそうである。


しかしさらに下に行くとなるとより帰還率は下がる。


「なら引き返すか?今ならまだ帰れるぜ?」


「……いや、行く。クローを連れて帰らないと」


「はは……」


2人は崖を降り始め、斜面に到達すると、それに沿って滑らないようゆっくりと降りて行った。ここまできたらもう行くしかないのだ。

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