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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第3章 精霊の森

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第28話 霧立つ森







草原を進んでいくと大きな川が見えた。流れは緩やかで浅いが広い。ガイド沿いには橋が掛かっておりそのまた向こうは森となっている。川へはなだらかな斜面となっており、降りる事ができた。


川の中に魚を見つけた少女は陽はまだ傾いたばかりだが下に降りて休むことにした。


荷物を置くと、乾いた草と枝を集め石で囲って焚き火をつくった。


周りに誰もいない事を確認し、魚を捕まえる為に腕をまくり、ズボンの裾を折って入る。


大分南に来たのかこの辺りは暖かく、川の水もひんやりとして丁度いい温度だった。


魚は10~15cmの群れがそこここに見える。人間が入っていくと散り散りになるがまた別の場所で群れをなした。


クラウディはナイフを構えて、近くに群れが形成されるまで石を放った。1番近い魚にナイフを投げ刺す。


それを何度か繰り返して魚を獲った。魚は細長い身体をしており、体半分より上が黒く、下は銀色。尾ビレは大きく上下で分割されていた。



それから少女は丁度良い大きさの石を探して叩きつけて割り、表面を洗うとその上で魚の内蔵を取り除いてローランドルで手に入れた串に刺した。


────これ、食えるよな


捌いている途中疑問に思うが死にはしないだろうと火打石で火を起こし魚が焼けるのを待った。


待つ間、肉体と剣の鍛錬を行う。


いつかのイメージトレーニングの相手は女性だったが、今度は男の時の自分を想像した。うっすらとした影のイメージが目を閉じると現れる。


この訓練は元男の時のもので、記憶している敵をイメージして戦うと言うものだった。本来はかなり詳細に再現できていたはずだが、こちらではただのシルエットでしか再現できなかった。深くイメージしようとすると影が揺らいだり頭痛がする為、そうならないよう現れるのは影だけになった。


今回の影とはスピードはほぼ互角まで行けるが、どうしても力で押し負ける。そして徐々に追い詰められて敗北するのをその後何度も繰り返した。


日が暮れる頃、訓練に集中するあまり魚のことが頭から抜け落ち思い出した時には真っ黒になっていた。







夜────

再度魚を獲って焼くまで小一時間かかった。


魚を頬張ると淡白な白身が口の中に広がった。毒はなさそうだった。


少女はそういえばとインベントリからフロレンスが持たせてくれた調味料のセットを取り出した。細長い木箱に入った調味箱。


開けると大小の小瓶が並び、左から砂糖、塩、胡椒、ハーブ、その他スパイスや香料といったものがあった。


クラウディは塩を少しふりかけて食べると更に旨みが出たので獲った魚全て平らげた。


その後剣の手入れをし、火から少し離れたところで水浴びをした。


それから少し周囲を歩いて危険がない事を確認すると火を消した。そして橋の下にて寝袋に入り、眠りに落ちる。







その日は何事もなく朝まで眠ることができ、次の朝に橋を渡って森へと入った。


街道に沿ってしばらく歩くとゴロゴロと転がる大きな球が街道のど真ん中を突っ切ってくるのが見えた。


咄嗟に茂みに飛び退くが、球は通り過ぎると方向転換しクラウディの方へ向かってきた。


────なんだそれ?!


慌てて再度街道の方へ飛び出ると球は大きな木に当たって回転を止める。球は少し間静止すると前後に揺れ、身体を広げた。


見た目は黒い身体を持った巨大なアルマジロ。内側は白く、立ち上がると5mはあった。


目の前の人間に威嚇するよう更に大きく身体をひろげる。


剣を構えて戦おうとした時、黒アルマジロはビクリと辺りを見渡し、クラウディが来た道をゴロゴロと凄い勢いで転がっていった。


────何だったんだ?


武器を納めながら少女は首を傾げた。


また歩を進めるも今度はハイエナのようなモンスターが群れで現れた。頭に毛がなく、鋭い牙と前後の足には2本ずつ長い刃物のような爪が生え動くたびにカチカチと音を立てた。


向かって来る1頭の刃を剣で打ち上げ、地面にひっくり返った所で、反対の剣で首を切り裂いた。


他も一斉に襲いかかってくると身構えたが、ハイエナは威嚇しただけで辺りを見渡すと少女の脇を通り抜けていった。


「?」


彼女は倒したハイエナから素材で買い取ってもらえそうな刃を8本剥ぎ取り、インベントリに入れた。


────ん?雨?


その時に霧のようなかなり細かい雨が降り始めた。


この世界に来て初めての雨にしばらく空を見上げていた。


見た目には大したことないように見えるがすぐにずぶ濡れになる。


小走りで何処か雨宿り出来そうな場所がないか探すも霧が濃くなっていくばかりでまともに見つけられない。


『あの霧やべー。シャドウレインが出るとは聞いてないよほんと』


『本当にね。逃れたの奇跡ね』


『ああいう見たことない現象は迂回すべきだったんだ』


ふと徐々に濃くなっていく霧に、冒険者たちの会話が脳裏によぎる。


────霧


クラウディはてっきり霧の街に近づいているから霧が発生しているのだと思っていたが、どうやら違ったらしい。


それを裏付けるようモンスターが現れては彼女を素通りしていく。


先程出会ったアルマジロやハイエナも脅威から逃げていたのだ。


バチバチという音が聞こえ、雷が鳴ったかと思えば小高い崖の上に何かがいるのが見えた。


虎のようなシルエット────


クラウディは気配を消して静かに木の幹の裏に身を潜めた。


────動いてはいけない、戦ってはいけない


本能がそう告げ脅威が通り過ぎるのを待つ。


やがて脅威の気配が消え安堵した、その時だ。


不意に空を切る音が聞こえ、少女の脇腹に衝撃が走った。


────何だっ?!


吹き飛ばされた少女は濁った水溜りに突っ込んだ。


激しく咳き込むが、直ぐに立ち上がり剣を構える。


────なにかいる


気配は感じないが何かが目の前にいる。脇腹を押さえながら五感に神経を集中させる。


僅かに水を跳ねる音がしてその場から飛び退くと背後にあった木が薙ぎ倒された。


「っ!」


やがて低い唸り声が響きそれは姿を現した。少女は姿は見たことないがそれがシャドウレインだと本能的に理解した。

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